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グラナドス/星々の歌
2009年は世界天文年。ガリレオ・ガリレイが自作の望遠鏡で初めて星空を眺めたのが1609年で、ちょうどそれから400年になる。この望遠鏡を使って翌年に発見した木星の4つの衛星が”ガリレオ衛星”。

宇宙にちなんだクラシックの音楽で有名なのは、やはりホルストの《惑星》だと思う。
この《惑星》をここで書くのもありふれているし、そもそも管弦楽曲はあまり聴かないので、ここでわざわざ書かずとも良いような気がする。
あまり取り上げられていないピアノ独奏曲なら、シサスクの《銀河巡礼》(これはわりと聴きやすくて綺麗な響きの曲)、クラムの《マクロコスモス》(摩訶不思議な曲)がすぐ思い浮かぶ。
宇宙や星、銀河というタイトルの曲は結構あって、特に歌曲に多い。モーツァルトとかシューマンとか、時代もいろいろ。
管弦楽・器楽曲に限るとかなり少なくなってきて、現代音楽が多い。(この他にもいろいろある)

 パングー 《宇宙の歌》
 グラナドス 《星々の歌》(これはピアノ・オルガン・合唱が組み合わさった曲)
 ヴィラ=ロボス 《オリオン座の3つの星》
 クロスマン 《小惑星》
 シャミナード 《星のセレナード》
 ブーレーズ 《ピアノ・ソナタ第3番 フォルマン3 星座》
 メシアン 《峡谷から星たちへ》
 スパーク 《Music of the Spheres(宇宙の音楽)》
 菅野由弘 《星群II - チェロとピアノのための》

この中で最も聴きやすく美しいのは、グラナドス《星々の歌(Cant de les estrelles)》。
ヴィラ=ロボスとシャミナードも綺麗な曲だけど小品なので、傑作といわれるグラナドスの《星々の歌》よりも印象が薄い。

グラナドスの作品にはピアノ曲がかなり多いが、《星々の歌》は珍しく合唱曲。ただし、ピアノと少しオルガンが使われている。
ピアノ独奏が入っているせいか、ピアニストのホルショフスキーに献呈されている。
解説によると、スペインの民俗風なスタイルでは全くなく、ポスト・ワグネリアン風の和声でロマンティックなモダニスト的な作風。

”ハイネの詩にインスパイアされたピアノ、オルガン、合唱のための詩”というグラナドスの副題がついているように、冒頭からピアノ・ソロが延々と続き、やがてオルガンが合流して、最後に合唱も加わっていくので、構成から言えば、ピアノ独奏とオルガン伴奏がついた合唱曲。
使われている詩はハイネの詩ではなく作者不詳。この英訳詩を読むと、永遠でピュアな宇宙への憧れをつづった詩で、この詩を歌う合唱の旋律は、敬虔で清らかな雰囲気がする。 [カタルニア語と英語の歌詞が載っているサイト]


”スペインのショパン”、”最後のロマン派”と言われているのも良くわかるほど、詩的な作風で旋律と和声がとても美しく、特に全体の1/3くらいを占めるピアノ独奏は少しエキゾチックで憂いを帯びたショパンを聴いているような気がする。
ピアノ曲が得意だったグラナドスらしく、ピアノ・ソロは、それだけ聴いても満足できるくらいに美しい。
漆黒の宇宙のなかに星々が瞬いているようなロマンティックさがあるけれど、どことなくクリスタルのような冷ややかな肌触りがする響き。
途中でオルガンのソロが入り、そこにピアノが重なって、徐々に感情が高揚していくように激しい曲想になっていくが、やがてそれも落ち着いて、それから女声合唱(あとから男声も加わる)が入ってくる。とても柔らかい女声の響きなので、それがピアノの叙情的な伴奏(アルペジオが結構凝っている)に良く似合っている。
ピアノと合唱の両方とも透明感があってとても美しい曲なので、コンサート映えするに違いない。

1911年のグラナドス自身の指揮による初演では絶賛された曲だったが、なぜかグラナドスは楽譜を出版せず、今まで再演されることもなかった。
グラナドスの死後、相続人の間で出版契約に関してもめていたり、出版社に預けていた楽譜が火事で焼失したりして、紆余曲折があった後、ようやく楽譜が出版され、初演から100年近くが経って、この曲が日の目を見ることに。

楽譜が最近まで出版されなかったため、《星々の歌》の初録音は2007年録音のNAXOS盤。このCDは教会でのセッション録音とあるが、《星々の歌》は拍手が入っているのでライブ録音。
ピアノパートはやや不協和的な和音が混ざっていて、ペダルを多用しているので、高速の和音移動では音が濁るところが少しある。
このアルバムは近代カタルーニャの作品集で、グラナドス、カザルス、モレーラ、ブランカフォート、オルトラの作品を収録。世界初録音も多いという、NAXOSらしい企画盤。

Song of the StarsSong of the Stars
(2009/06/30)
ヴォイシズ・オブ・アセンション・コーラス、ダグラス・リーヴァ(ピアノ)、マーク・クルチェク(オルガン)、デニス・キーン (指揮)

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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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