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シチェルバコフ,グランテ ~ バッハ=ゴドフスキー編曲/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番~第3番(ピアノ独奏版)
バッハのピアノ編曲作品で有名な人といえば、作曲家のブゾーニ、リスト、ピアニストのケンプ。

バッハのピアノ作品および編曲に関して、恐ろしいほど詳しいブログは<Bach with Piano>
そのなかに、”バッハの音楽の編曲曲目データベース”というコンテンツがある。
これを見ると、バッハの作品は編曲意欲を刺激するせいか、編曲した作曲家・演奏家はかなりの数。
リストを眺めていると、意外な名前もいろいろ出てきて、結構面白い。
BWV1001~1006は、無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ。
そのピアノ編曲版ならブゾーニのピアノ編曲版『シャコンヌ』が一番有名。
ブラームスの『左手のためのシャコンヌ』は、ウゴルスキーの演奏が際立って印象的。
編曲物で有名なゴドフスキーのバッハ編曲も、ブゾーニ以上に音が多くて混み入っている。逆にシンプルな編曲ならラフマニノフ。
ほとんど知られていないに違いないピアニストのフィオレンティーノが編曲した《無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番》も、素晴らしい編曲。

ラフマニノフは、無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番の「前奏曲」「ガヴォット」「ジーグ」。
ゴドフスキーに比べると音がはるかに少なく響きも綺麗で、バッハの鍵盤楽器曲に近いイメージ。
ゴドフスキーの方は、重厚な和音を多用するレーガー風。
音が多すぎて対位法もごちゃごちゃした感じはするけれど、緩徐楽章になると長く柔らかな残響がコラールのように響いて美しい。

ゴドフスキが編曲したのは、無伴奏ヴァイオリンソナタの第1番・第2番、同じくパルティータ第1番。さらに、無伴奏チェロ組曲の第2番、第3番、第5番。
無伴奏ヴァイオリンの編曲版は、ピアノ・ソナタとしてタイトルが付けられている。
 ピアノ・ソナタ第1番(無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番)
 ピアノ・ソナタ第2番(無伴奏ヴァイオリンパルティータ第1番)
 ピアノ・ソナタ第3番(無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番)
ゴドフスキにはオリジナルのピアノ・ソナタもあって、これは通番なしのタイトルで《ピアノ・ソナタホ短調》。

ゴドフスキの編曲は、ブゾーニ以上に和音の厚みで荘重な響きのする編曲。
確かに旋律はバッハの原曲のものだろうけれど、聴いているとバッハの世界から遠く離れたロマン派のように思える。
ゴドフスキ自身は、無伴奏ヴァイオリンの編曲版楽譜に寄せた序文では、「私が追加した音・メロディーすべてがバッハの原曲から導き出される音だ」と言っている。
原曲の楽譜自体にはなくてもそれは論理的に”導き出される”ものだそうなので、そういう点ではゴドフスキなりにバッハに対する敬意をもって、編曲している。

                                 

シチェルバコフが、NAXOSではなく、Marco Poloに録音したゴドフスキー作品集の第2巻。
ゴドフスキの無伴奏ヴァイオリンのソナタとパルティータの3曲が収録されている。
タッチは硬質でクリアで、シチェルバコフにしては残響が長めで憂いのあるしっとりとした響き。
透明感のある濁りが少ない音で、ペダリングでもうまく調整しているらしく、混み入った和音多く響きの厚みのわりには、すっきりクリアに聴こえる。
楽章ごとの静動の対比が鮮やかで、強弱の起伏を明瞭につけて(特にフォルテが力強い)、とてもドラマティックな演奏。
シチェルバコフならもっと静かな透明感のある弾き方をすると思っていたので、こういう弾き方はちょっと意外。
切々と訴えかけてくるようで、厳しさと悲愴感が漂い、緩徐楽章になると抑制された感情が静かに流れるような叙情感が美しい。

Godowsky: Piano Music, Vol. 2Godowsky: Piano Music, Vol. 2 Transcriptions of Violin Sonatas by J.S.Bach
(1997/08/05)
Konstantin Scherbakov

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ゴドフスキー全集をM&Aに録音しているカルロ・グランテもこの3曲を録音している。
こちらは柔らかいタッチで滑らかな流れの演奏で、しっとりと静かな雰囲気でとてもロマンティック。
残響がやや短めで丸みがあって、全体的に穏やかな雰囲気が心地よい。

Bach: Three Sonatas for Solo ViolinBach: Three Sonatas for Solo Violin
(1999/02/09)
Carlo Grante

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無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番のライブ録音。ピアニストはグランテ。
Grante at Teatro Ghione - Bach-Godowsky GMinor Sonata Adagio


Grante at Teatro Ghione - Bach-Godowsky G Minor Sonata Fugue


Grante at Ghione - Bach-Godowsky G Minor Sonata Siciliano


Grante at Teatro Ghione - Bach-Godowsky GMinor Sonata Presto



<関連記事>
バッハ=フィオレンティーノ編曲/無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番 BWV1001(ピアノ独奏版)
バッハ=ラフマニノフ編曲/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番

tag : バッハ シチェルバコフ

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好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
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