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スティーヴン・ハフ ~ チャイコフスキー/協奏幻想曲(ライブ録音)
今日は朝からウェブラジオでミネソタからの生中継のコンサートを聴いていた。現地時間では夜の8時から2時間。日本と違って開演時間がかなり遅い。
今回の曲はチャイコフスキーの《協奏幻想曲 Concert Fantasy》。ピアノはスティーヴン・ハフ、伴奏はオスモ・ヴァンスカ指揮ミネソタ管弦楽団。
この前は、ハフのチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を聴いたので、ハフの今シーズンのプログラムには、チャイコフスキーの協奏曲が入っているのかもしれない。

チャイコフスキーのピアノ協奏曲で有名なのは第1番。
第2番と第3番もあるが、あまりにこの第1番ばかり演奏されるので、他の2曲はあまりコンサートのプログラムに載っているのを見たことがない。
この3曲のピアノ協奏曲以外に、《協奏幻想曲》というピアノ協奏曲的な曲があるが、これもあまり知られていないに違いない。
《協奏的幻想曲》は珍しく2楽章構成で、第1楽章の中間部は長大なピアノ独奏というかなり自由な形式で書かれている。
この曲もチャイコフスキーらしいスタイルなのらしいが、チャイコフスキーはほとんど聴かないのでよくはわからない。
少なくとも、どろ~としたロシア的憂愁や重厚な響きのするピアノ協奏曲第1番とは違って、さっぱりと爽やかでロマンティックな曲(ハフの弾き方のせいもあって)なので、チャイコフスキーにしてはとても聴きやすい。

ウェブラジオのコンサート開演の冒頭は、オーケストラによる米国国歌の演奏。それに合わせて観客が国歌を歌っている。米国ではこういうオープニングが普通なんだろうか?
日本では絶対にありえないが、それはともかく、この米国国歌のメロディはいつ聴いても爽快で、英国国歌の旋律と並んでかなり好き。斉唱が終ると観客自らが拍手していた。

第1楽章 Quasi Rondo
オケとピアノによる主題提示部、ピアノ独奏による展開部、オケとピアノによる再現部という3部構成。
とても可愛らしいトゥッティのオープニング。くるみ割り人形とか、そういう類の雰囲気がする。ピアノはいつもながら粒立ちの良い硬質の音でサラサラと弾いていく。チャイコフスキーのロシア的な憂愁はなく、とても爽やかで楽しげ。
中間部は長大なピアノ・ソロ。ここはとても優雅な雰囲気。ハフのタッチはいつもよりは響きが柔らかめで、音もふくよか。
ウェブラジオ経由の生中継にしてはピアノの音がわりと綺麗だが、ややオケよりも篭もったような音がする。ミネソタから生中継だが途中で途切れることもなく安定している。この前聴いたアンスネスのラフ2はスウェーデンからの生中継で、音がぶつぶつ途切れていた。

ハフの弾き方は、ねっとりとした情緒的なタッチではなく、さわやかなロマンティシズムがあって、チャイコフスキーはこのくらいの雰囲気が重たくなくて好み。
ピアノ協奏曲第1番と違って、ロシア的なウェットな叙情ようなものは感じず(ハフの演奏スタイルのせいもある)、明るい色調で華やかな曲。
ピアノ独奏部分はとても美しい旋律で、少しメロドラマティック。左手伴奏の和音やアルペジオは音のつまった厚みのある響きで、チャイコフスキーらしいところ。
最後はまた可愛らしい主題をオケとピアノが再現。ピアノは中間部と違って、かなり歯切れ良いタッチで、明るく軽快。適度に柔らかいタッチで優雅さもあって、爽やかでロマンティックな演奏。

第2楽章 Contrastes
初めの主題は、憂いの漂うピアノ・ソロ。続いて、チェロ(たぶん)が続くが、この二重奏はとても美しい。やがて弦楽が加わっていくとピアノが伴奏に回り、ピアノのアルペジオを背景に、切々と叙情的な旋律を弦楽が歌う。
次は速いテンポの舞曲風の主題に変わって、ここはピアノとオケが掛け合うように進んでいく。ここのピアノはクレッシェンドを繰り返すパッセージが続き、うねりと躍動感がある。
ハフはとても軽やかで歯切れ良いが、録音環境のせいか、ピアノの音がややこもりぎみで音量不足のような気がする。
終盤に向けて、テンポを落とした静かなつなぎの部分が入って、フィナーレになると速いテンポのピアノの華やかなアルペジオ。オケも一気にたたみかけるようにして鮮やかなラスト。


続いて聴いたのは、またハフのピアノで、同じくチャイコフスキーの《協奏幻想曲》。
今度はBBC Proms 2009での8月28日の演奏会のライブ録音。伴奏はデイヴィッド・ロバートソン指揮BBC交響楽団。
ハフは、イギリス出身ということもあって、英国(と欧州)ではとても有名なピアニスト。BBC Promsのコンサートでよく弾いているので、BBC Promsの常連なのかもしれない。

両方のコンサートとも、ハフ自身が数分間にわたって演奏する曲の作品解説をしている(この解説は演奏前に録音したもの)。ハフは自分で作曲もするし、執筆もするせいか、自分の弾く曲の解説をしている映像をよく見かけるし、CDのライナーノートにもハフが書いた解説が載っている。

このPromsのライブ録音は、ピアノが前面から聴こえてくるので、音が鮮明で煌びやかで、タッチもシャープ。さっきのライブ中継よりも、こちらの演奏の方が明るさと躍動感が増して、ダイナミックで華やかに聴こえる。
第1楽章の中間部のピアノ独奏も、タッチが強めで和音とアルペジオの響きが豊か。優雅というよりは、力強くて華麗。

《協奏幻想曲》のプレトニョフの演奏がYoutubeにあるので聴いてみると、やっぱりハフの弾き方とは違っていて、もっとロマンティックで煌びやかで粘りっこい感じがする。あまり好みのタッチではないが、多分こっちの方がチャイコフスキーのイメージにずっと近いからに違いない。

tag : チャイコフスキー スティーヴン・ハフ

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