バッハ=ラフマニノフ編曲/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番 

2009, 11. 21 (Sat) 17:52

バッハの作品は作曲家の編曲意欲を刺激するらしく、《無伴奏ヴァイオリンのソナタとパルティータ》も、一部の曲(楽章)をブゾーニ、ゴドフスキー、ラフマニノフなどがピアノ独奏用に編曲している。
ロマン派の曲のようにしか私には思えないようなブゾーニ、ゴドフスキーと違って、ラフマニノフの編曲版は、和声の厚みをかなり抑えて、対位法による旋律の動きが明瞭にわかるようにした、とてもシンプルな編曲。
ゴドフスキの編曲版は、あまりにも音が多くて数楽章を続けて聴いていると、かなり疲れてくるものがあるが、ラフマニノフの編曲版は、ケンプのバッハ編曲ものを聴いている時と同じで、とても心地よい感じがする。
バッハに限らず、本来は原曲を聴くのが一番良いのだろうけれど、バッハのピアノ編曲ものは結構好きなので、原曲よりもピアノ編曲版の方を聴いている曲の方が多い気がする。

このラフマニノフ編曲に関する解説が載っているサイトがあって、編曲のポイントや楽譜のサンプルが掲載されている。
《無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番》の編曲版はいろいろあって、サン=サーンスも編曲しているし、ピアニストだとムストネンとカツァリスの編曲版もある。
ムストネンの編曲版はMIDIがホームページの下の方に掲載されている。聴いてみると、調性がころころ変わって、やや調子ハズレになっていく感じが結構面白い。

ラフマニノフの場合は、第3番のうち、「前奏曲」、「ガヴォット」、「ジーグ」の3曲だけ編曲している。
このラフマニノフ編曲版の演奏はいくつか出ているが、Marco Polo盤のセケイラ・コスタは、柔らかい旋律の歌いまわしと軽やかで丸みのある響きで、流れが滑らか。

Rachmaninov: The Complete TranscriptionsRachmaninov: The Complete Transcriptions
(1994/07/14)
Sequeira Costa

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Haenssler盤のアレクサンダー・パレイは、低音や和音の響かせ方とかいろいろ凝ったところがある。
パレイはライプツィヒ・バッハ国際ピアノ・コンクールで優勝したピアニスト。ピアノは珍しくBlüthner concert grandを使っている。
コスタよりも音色・響きが多彩で声部の分離が明瞭なので、それぞれの旋律の動きが良くわかるし、音の切れが良くて、結構面白い演奏。
スタッカートのはねるようなタッチが、ちょっとだけムストネンに似ているところはあるが、あれほど極端ではないので、抵抗なく普通に聴ける。


Alexander Paley Plays BlüthnerAlexander Paley Plays Blüthner

Alexander Paley

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パレイはゴルトベルク変奏曲も録音しているが、ラフマニノフの編曲版よりもずっと表現意欲に満ちたとても個性の強い演奏。
テンポ設定やフレージングが独特。1つの変奏のなかでもよくテンポが揺れるし、装飾の域を超えてフレーズ自体が編曲されている変奏も多い。
変奏曲をさらに変奏しているようなそのユニークさは、今まで聴いたゴルトベルクのなかでは飛びぬけている。(でも、ちょっとやりすぎの気はするけれど)
全曲通しで聴いていると、バッハのゴルトベルク変奏曲ではなくて、ゴルトベルクの編曲版を聴いているような気分がしてくるのが難点。それでも、無難だけれどつまらないゴルトベルクの演奏を聴くよりはずっと面白い。ただし、度々聴きたいかというと、とても濃厚な味つけなので、う~ん...という感じ。

Bach: Goldberg VariationsBach: Goldberg Variations
(2007/05/08)
Alexander Paley

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