*All archives*



クラム/マクロコスモス第3巻 <夏の夜の音楽>
クラムの《マクロコスモス第3巻》は<夏の夜の音楽 Music For A Summer Evening>。
これは、ピアノ2台とパーカッション2台という珍しい構成。
クラムはバルトークの音楽を念頭において《マクロコスモス》を作曲したというから、バルトークの《2台のピアノと打楽器のためのソナタ》の楽器編成を参考にしたのかもしれない。

第3巻はパーカッションも加わっているので、第1巻&第2巻よりも音の種類が多くなって、とてもカラフル。それに5曲しかないので、曲想がそれぞれ違っているので、構成がわかりやすい。
特に、第5曲の<星の夜の音楽>は、この曲集のなかで旋律と響きが最も美しいので、他の曲が苦手だったとしても、この曲だけはすんなりと聴ける(と思う)。

Ⅰ Nocturnal Sounds (The Awakening)
バルトークのピアノ曲の《夜の音楽》にちょっと似ている曲。
真っ暗な(というイメージがする)森で、目には見えないけれど、いろんな生物たちが蠢いているようなピアノのフレーズ。虫の羽音みたいなシャラシャラという音はパーカッション。突如、驚いて鳥が飛び立ったようなランダムな音の配列のピアノの音。増幅されたピアノのアルペジオはかなり不気味に響く。
ピアノとパーカッションの音が他にもいろいろ変化していくので、人間の目にも見えず耳にも聞こえない森の中のなかで動きや音が聞こえてくるような感じがする。

Ⅱ Wanderer-Fantasie
第2巻の「”冠座”からの声」に似たヒュ~~ンという口笛のような音で始まる。光がほとんど届かない深海にでもいるような気がする。
冒頭は浮遊感というものを音であらわしたようなクネクネとした旋律。口笛を吹きながら上下左右のポルタメントをかけたような感じ。
続いては、ポツポツとしたピアノのゆっくりと静かな旋律で、とても不可思議な雰囲気。まるで冷たいガラスに囲まれた世界を歩いているような。最後はまたあの口笛のような音。

Ⅲ The Advent
これはとても厳めしくて、威圧的な曲。シンバルのようなゴーンという音は、映画とかで閻魔大王とか皇帝が登場するときに鳴らされるような音。
低音の増幅されたピアノのやや金属的な響きが主体だが、この響きの種類がかなり多い。だんだんピアノかパーカッションかどちらの音が良くわからなくなる。
ピアノの低音が通奏低音のように同じ音型を鳴らしているが、これがヒタヒタと何かが迫り来るような緊迫感を出している。
途中で曲想が変わって静かになっていくが、これも何かがひそかに様子をうかがっているような不気味さ。旋律らしきもものがなく、さまざまな効果音がランダムに現れてくるような曲。陰謀をたくらむ宮廷の貴族たちのシーンとか、そういう類の映画音楽のBGMに向いているような感じがする。

Ⅳ Myth
これは演奏者が、叫んだり、うめいたりするフレーズが入っている。ピアノとパーカッションは、音の隙間の多い断片的な旋律のパッチワーク。静寂さのなかで、突然フォルテで音が鳴るので、こういうところは不気味。ここも暗闇の森で何かが生まれ出てくるようなイメージ。

Ⅴ Music of the Starry Night
これが聴きたかった目的の曲。”Starry Night”なので、ミルキーウェイのように星々が輝く夜空のイメージ。
冒頭は幻想的ないろんな効果音のような音が、ピアノとフォルテで断片的に流れてくる。
やがて、コラール風の静謐な旋律が流れてくるが、エコーがかかったピアノとパーカッションの響きがとても綺麗。
突如、その静寂さを切り裂くように、フォルテでピアノが、まるでガラスが音を立てて割れるようなイメージのする旋律をぶつける。
このパターンが何回か繰り返される(フレーズは多少変わっているが)。

曲の半ばをすぎると、クレッシェンドしながら、ピアノが弾くコラール風の旋律に、ゴーンという鐘のような響きや、口笛のような音、パーカッションが連打する木質的な音とかが重なり、シンバルがガーンと鳴ったりと、かなり賑やかでカラフル。漆黒の夜空にいろんな星がキラキラと瞬いているようなイメージ。
やがて、ディミヌエンドしながら音が少なくなっていき、ピアノが規則正しく同じ旋律を繰り返しながら(ペルトの音楽みたい)、ヒュ~ンという口笛のような弱音も加わって、とても静寂な雰囲気。
最後は、ピアノが静かに弾く低音のボーンという響きで締めくくり。


『Crumb Edition (Complete)』シリーズのVol.4。第3巻《Music For A Summer Evening》を収録。
George Crumb: Zeitgeist / Makrokosmos IIIGeorge Crumb: Zeitgeist / Makrokosmos III
(2001/04/24)
Susan Grace (piano),Alice Rybak (piano),John Kinzie (percussion),David Colson (percussion)

試聴する(米国amazon)

tag : クラム

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
Secret
(非公開コメント受付中)

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。