クラム/マクロコスモス第3巻 <夏の夜の音楽> 

2009, 11. 06 (Fri) 18:00

クラムの《マクロコスモス第3巻》は<夏の夜の音楽 Music For A Summer Evening>。
これは、ピアノ2台とパーカッション2台という珍しい構成。
クラムはバルトークの音楽を念頭において《マクロコスモス》を作曲したというから、バルトークの《2台のピアノと打楽器のためのソナタ》の楽器編成を参考にしたのかもしれない。

第3巻はパーカッションも加わっているので、第1巻&第2巻よりも音の種類が多くなって、とてもカラフル。それに5曲しかないので、曲想がそれぞれ違っているので、構成がわかりやすい。
特に、第5曲の<星の夜の音楽>は、この曲集のなかで旋律と響きが最も美しいので、他の曲が苦手だったとしても、この曲だけはすんなりと聴ける(と思う)。

Ⅰ Nocturnal Sounds (The Awakening)
バルトークのピアノ曲の《夜の音楽》にちょっと似ている曲。
真っ暗な(というイメージがする)森で、目には見えないけれど、いろんな生物たちが蠢いているようなピアノのフレーズ。虫の羽音みたいなシャラシャラという音はパーカッション。突如、驚いて鳥が飛び立ったようなランダムな音の配列のピアノの音。増幅されたピアノのアルペジオはかなり不気味に響く。
ピアノとパーカッションの音が他にもいろいろ変化していくので、人間の目にも見えず耳にも聞こえない森の中のなかで動きや音が聞こえてくるような感じがする。

Ⅱ Wanderer-Fantasie
第2巻の「”冠座”からの声」に似たヒュ~~ンという口笛のような音で始まる。光がほとんど届かない深海にでもいるような気がする。
冒頭は浮遊感というものを音であらわしたようなクネクネとした旋律。口笛を吹きながら上下左右のポルタメントをかけたような感じ。
続いては、ポツポツとしたピアノのゆっくりと静かな旋律で、とても不可思議な雰囲気。まるで冷たいガラスに囲まれた世界を歩いているような。最後はまたあの口笛のような音。

Ⅲ The Advent
これはとても厳めしくて、威圧的な曲。シンバルのようなゴーンという音は、映画とかで閻魔大王とか皇帝が登場するときに鳴らされるような音。
低音の増幅されたピアノのやや金属的な響きが主体だが、この響きの種類がかなり多い。だんだんピアノかパーカッションかどちらの音が良くわからなくなる。
ピアノの低音が通奏低音のように同じ音型を鳴らしているが、これがヒタヒタと何かが迫り来るような緊迫感を出している。
途中で曲想が変わって静かになっていくが、これも何かがひそかに様子をうかがっているような不気味さ。旋律らしきもものがなく、さまざまな効果音がランダムに現れてくるような曲。陰謀をたくらむ宮廷の貴族たちのシーンとか、そういう類の映画音楽のBGMに向いているような感じがする。

Ⅳ Myth
これは演奏者が、叫んだり、うめいたりするフレーズが入っている。ピアノとパーカッションは、音の隙間の多い断片的な旋律のパッチワーク。静寂さのなかで、突然フォルテで音が鳴るので、こういうところは不気味。ここも暗闇の森で何かが生まれ出てくるようなイメージ。

Ⅴ Music of the Starry Night
これが聴きたかった目的の曲。”Starry Night”なので、ミルキーウェイのように星々が輝く夜空のイメージ。
冒頭は幻想的ないろんな効果音のような音が、ピアノとフォルテで断片的に流れてくる。
やがて、コラール風の静謐な旋律が流れてくるが、エコーがかかったピアノとパーカッションの響きがとても綺麗。
突如、その静寂さを切り裂くように、フォルテでピアノが、まるでガラスが音を立てて割れるようなイメージのする旋律をぶつける。
このパターンが何回か繰り返される(フレーズは多少変わっているが)。

曲の半ばをすぎると、クレッシェンドしながら、ピアノが弾くコラール風の旋律に、ゴーンという鐘のような響きや、口笛のような音、パーカッションが連打する木質的な音とかが重なり、シンバルがガーンと鳴ったりと、かなり賑やかでカラフル。漆黒の夜空にいろんな星がキラキラと瞬いているようなイメージ。
やがて、ディミヌエンドしながら音が少なくなっていき、ピアノが規則正しく同じ旋律を繰り返しながら(ペルトの音楽みたい)、ヒュ~ンという口笛のような弱音も加わって、とても静寂な雰囲気。
最後は、ピアノが静かに弾く低音のボーンという響きで締めくくり。


『Crumb Edition (Complete)』シリーズのVol.4。第3巻《Music For A Summer Evening》を収録。
George Crumb: Zeitgeist / Makrokosmos IIIGeorge Crumb: Zeitgeist / Makrokosmos III
(2001/04/24)
Susan Grace (piano),Alice Rybak (piano),John Kinzie (percussion),David Colson (percussion)

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