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クラム/マクロコスモス 第4巻 <天界の力学>
今日は「オリオン座流星群」が最も良く見える日。ネットニュースを見ていたら、21日のピークの前後数日間が見ごろで、今年は特に観測条件が良くて、オリオン座が東方から昇ってくる午後10時過ぎ~明け方に、1時間に30~50個くらい見ることができるらしい。
望遠鏡・双眼鏡がなくても見えるそうなので、視力に自信のある人ならたくさん願い事ができます。

クラムの《マクロコスモス》の第4巻<天界の力学 Celestial Mechanics>を聴いていたら、”第4曲のDelta Orionis/デルタ・オリオニス”が、偶然にも”オリオン座”にちなんだ曲だった。
第4巻はピアノ連弾曲なので、ピアノ独奏曲よりも響きやリズムの組合せのバリエーションが広がっている。
タイトルが<天界の力学>なので、第1~3巻までのようなやや夢想的でファンタジックな曲想は使われていない。
宇宙のなかで起こっている目には見えない現象-天体の内部や天体間で起こる無機質的な物質の生成、衝突、反応、爆発、休止などをイメージしたような、全くロマンティックさのない曲集。
クラムの音楽に多少なりとも慣れていれば、聴きづらくはないけれど、音の響きが美しい曲も入っている第1~3巻の方が曲想に変化もあって、聴いていても面白い。


『Crumb Edition (Complete)』シリーズのVol.5。第4巻《Celestial Mechanics》を収録。
Complete Crumb Edition, Vol. 5Complete Crumb Edition, Vol. 5
(2001/12/18)
Haewon Song (piano)、Robert Shannon (piano)

試聴する(米国amazon)


Ⅰ Alpha Centauri/アルファ・ケンタウリ
ず~っと昔(黎明期)のSF小説では、アルファ・ケンタウリが良く登場していた。最も近い恒星系なので、宇宙飛行の目的・道しるべに使われていた記憶がある。
なぜか真っ赤なイメージのある星なので(たぶんSFのなかでは”赤い星”とかなんとか説明してあったんだろう)、この曲も躍動的でリズミカル。
いろいろなパターンと響きの単音・重音による連符の塊が重なったり、フーガのように錯綜する。
何かが生起しようとしている前兆のような感覚の音楽。

Ⅱ Beta Cygni/ベータ・シグニ
ベータ・シグニとは、はくちょう座ベータ星のこと。アルビレオとも呼ばれる。アルビレオといえば、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をすぐに思い出す。
白鳥座は名前からして、青白くて透明感のある感じがするし、この曲も、静けさ、冷たさ、不可思議さが漂う。
全編、ゆっくりとしたテンポで、いろんなピアノの音(増幅された金属的な鋭い音、弦を爪はじいているような響き、打楽器のようなゴーンという低音、etc.)が、鳴ってはす~っと消えていく。
制止した水面に、時々ぽつんと水滴が落ちて、その波紋が広がっていくようなイメージが浮かんでくる。
時々細かくて早いパッセージが出てくるが、これは見えない何かが、その静けさの中で蠢いているような感じ。
この曲を聴いていると、時代劇によく出てくる暗い竹林をすぐに連想してしまう。竹やぶの中で見えない何かが潜んでいるようなシーンのBGMにぴったり。

Ⅲ Gamma Draconis/ガンマ・ドラコニス
Gamma Draconisとは、りゅう座γ星のエルタニン(Eltanin)のこと。アラビア語で『竜の頭』。
旧グリニッジ天文台の天頂を通るので、"Zenith Star(天頂の星)"という別名がついている。巨星化が進み鉄が溜まりつつあり、寿命を迎えるつつあるらしい。

低音の重苦しく金属的なピアノの音が不気味。この金属的な音は鉄のイメージだろうか。内部での崩壊が徐々に進み、いろんな突き刺すような音がぶつかり合って、激しく反応しているような動きの旋律。
高音域も金属的で突き刺すような音。まるでお琴とチェンバロを足して2で割ったような音を聴いている感覚がする。時々流れるシャカシャカとかき鳴らされる音のリズムは、三味線が弾くような速いパッセージのリズム。
途中で急に静かになって、曲想が180度変わる。ゆっくりとしたテンポでポツポツと音が鳴っていて、得体の知れない何かが、静かに進行していくようなイメージ。高音と低音の響きとリズムが全く違って、ガンガンと響く低音は、ハンマーで打ち鳴らしているような音。
やがて速いテンポで、高音や低音が化学反応を起こして乱舞するように共鳴して終る。

Ⅳ Delta Orionis/デルタ・オリオニス
Delta Orionisは、オリオン座のδ星。Mintakaという名前もついている。
オリオンの三つ星は冬の星座で有名。昔は気温が低くて晴れている夜にはよく見えていた。あの竪琴のようなオリオン座の真ん中に3つ仲良く並んで輝いているので、ちょっとロマンティックな感じがする星座。
オリオンの三つ星というと、すぐ思い浮かぶのは(古いですが)「宇宙戦艦ヤマト」の最初のTVシリーズのエピソード。願掛けをすると願いことがかなうとか言っていた。(そんな言い伝えはたぶんなかったはず)
曲自体は”Beta Cygni”と似た系統。静けさのなかを、いろんな響きの断片的な音の塊が規則性なく、パラパラと鳴っているような曲。
こっちの方も、何かがどこかに隠れて、耳を澄まして、様子をうかがっているような感じ。時折、その静寂を打ち破るように、ピアノがガンガンと鳴ったりする。
”Beta Cygni”と聴き分けられるかというと、1度や2度聴いただけでは、どちらがどちらかわからない。

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Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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