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ヒンデミット/ピアノ協奏曲
このところ古典とロマン派の音楽ばかり聴いていたので、気分が少し現代音楽モードに転換中。
同じ種類の音楽ばかり聴いていると感度が鈍くなるらしく、周期的に聴きたい音楽の種類がコロっと変わる。

探すといろいろ見つかるヒンデミットのピアノ協奏曲。記事に書いたのは確か3曲目(後で数えてみたら4曲目だった)。聴きそびれているピアノ協奏曲の類がまだいくつか残っていたような...。
1945年に書かれたこのピアノ協奏曲は、第3期のヒンデミットの作風であるネオ・クラシカルなスタイル。
ちょうど《画家マティス》や《ウェーバーの主題による交響的変容》が作曲された時期と重なる。

同じピアノ協奏曲でも、まるで都市の喧騒をあらわしたかのような《室内音楽第2番》とは打って変わって、典雅な雰囲気に抑制された叙情感が漂っている。《室内音楽第2番》のアクティブで騒々しいところが、とても恋しく思えてしまう。

ピアノパートは単音主体で線が細い旋律で、派手なピアニスティックな曲ではなく、初めて聴いたときはちょっと地味な感じ。
何回か聴くと、ヒンデミットらしい冷たく透明感のあるピアノの響きと、抑制された叙情感の美しさがよくわかってきたコンチェルト。

このアルバムは、《室内協奏曲第2番》と《ピアノ協奏曲》の両方が聴けるので、ヒンデミットの作風の違いがわかって面白い。そもそもこの2曲の録音自体が少ないので、選曲としてはユニーク。
Hindemith: Kammermusik No. 2, Op. 36/1; Viola Concerto, Op. 48; Piano ConcertoHindemith: Kammermusik No. 2, Op. 36/1; Viola Concerto, Op. 48; Piano Concerto
(2004/01/13)
Lee Luvisi (piano), Jorge Mester(conductor), Louisville Orchestra

試聴する(米国amazon)


《Concerto for Piano and Orchestra》(1945年)

I. Sehr lebhaft - Molto Vivace
軽妙でちょっと不可思議なタッチのピアノ・ソロが全編を流れていて、ヒンデミットらしい楽章。
初めはクラリネットが主題を吹き始め、すぐにピアノが高音域の透明感のある旋律で引継ぎ、ここは少し不可思議なタッチのリリカルや蝶が舞うようなトリル。
このトリルは、ヒンデミットのピアノ協奏曲や独奏曲でも多用されている。管弦楽曲を聴いていても度々出てくるので、ヒンデミットのトレードマークのようなトリル。
乾いた叙情とやや妖艶な響きを感じさせる旋律が出てくるところも、ヒンデミットらしい。
徐々にオケとピアノが協奏しながら、リズミカルで勇ましくなり、ドラムも打ち鳴らされたりして、ちょっと行進曲風。ピアノは和音が符点つきのリズミカルな和音。
このまま盛り上がって終るかと思ったら、これは中間部だったらしく、再び、静かにモノローグするかのうようなピアノに変わる。

ⅡLangsam - Lento
とても密やかな雰囲気の3部形式の緩徐楽章。最初はクラリネットやオーボエとピアノが、オケの伴奏を背景にデュオする部分が多い。
段々クレッシェンドしてピアノの旋律が単音から和音主体に変わっていくところは、オケとピアノが交代で演奏してオケと対話しているような雰囲気。
再び弦楽の伴奏でピアノがまた叙情的なフレーズを弾く。ラストはホルンが穏やかに響いてから、ピアノも静かに終る。

III. Medley: 'Drei Fontanen' Canzona, March, Valse lente, Caprice, 'Drei Fontanen'
”Drei Fontanen(Three Fountains)”という14世紀の舞曲のCanzona、マーチ、ワルツ、カプリースのメドレー。
ヒンデミットは、ピアノ協奏曲の各楽章を3部形式で展開させていくことが多いので、このメドレー形式はとても珍しい。
Canzonaは、ソロパートは静かなタッチのピアノとバスーン。Marchはトランペットが目立つオケのトッティのみで、ピアノ・ソロはなし。
Valse lenteは伴奏がほとんど入らず、静かなピアノ・ソロがメイン。
Capriceになると、テンポも上がって、いかにもヒンデミットらしい軽妙でピアニスティックなピアノ・ソロ。
最後は、オケとピアノが協奏するかなり華やかな雰囲気で力強い舞曲で締めくくり。



《ヒンデミットのピアノ協奏曲に関する記事》

 ヒンデミット/主題と変奏「四気質」

 ヒンデミット/室内音楽第2番(ピアノ協奏曲)

 ヒンデミット/左手のためのピアノ協奏曲

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
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