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コリリアーノ/ピアノ協奏曲
1938年生まれのジョン・コリリアーノは、ニューヨーク生まれの作曲家。
受賞歴が多い人で、交響曲第1番でグロマイヤー賞(1991年)、交響曲第2番(弦楽合奏のための)でピューリッツァー賞(2001年)。

映画音楽も「アルタード・ステーツ」、「レボリューション・めぐり逢い」などがあり、とりわけ1999年のアカデミー賞作品「レッド・バイオリン」が有名。この曲をもとに《レッド・ヴァイオリン奇想曲》というクラシック作品も書かれている。
最近では、ボブ・ディランの詩をもとにした歌曲集「ミスター・タンブリン・マン:ボブ・ディランの7つの詩」が2009年度のグラミー賞を受賞したのが話題になった。

コリリアーノの数少ないピアノ作品であるピアノ協奏曲は、とてもヴィルトオーソ的なピアニスティックな曲。
作品自体は基本的に調性があるので聴きやすくはあるが、調性が崩れ12音技法が使われている部分もあり、リズムは全楽章を通じて不規則で、変拍子が頻繁に現れる。
叙情的な雰囲気のパートがかなり使われていても、旋律はそれほどメロディアスでもないので、印象はあまり強くない。
どちらかというと、ピアニスティックな華やかさとオケの音色の色彩感、変拍子による不規則なリズム感、トーンクラスター的な響きなど、いろんな要素が混在して音の動きを追うのは面白いが、1度や2度聴いただけでは、テーマがいろいろ変形して展開していったり、変拍子も多くてリズム感が独特なので、構成がつかみにくい。
リーバーマンのピアノ協奏曲に似たところがあって聴きやすく、スケール感も結構あるけれど、わかりやすさという点では、リーバーマンの方がモチーフとその展開がずっと明快。

この曲の録音は少ないが、FirstEditon盤はジェームズ・トッコによるピアノ。トッコはこの曲を得意のレパートリーにしており、コリリアーノはトッコを”決定的な演奏者”と評しているらしい。伴奏はローレンス・レイトン・スミス指揮ルイヴィル管弦楽団。
このルイヴィル管は現代音楽の演奏と数多くの自主制作盤で知られているというアメリカ・ケンタッキー州のオケ。

John Corigliano: Tournaments Overture; Elegy; Piano Concerto; Gazebo DancesJohn Corigliano: Tournaments Overture; Elegy; Piano Concerto; Gazebo Dances
(2003/03/11)
James Tocco (Piano), Lawrence Leighton Smith (Conductor), Sidney Harth (Conductor), Louisville Orchestra (Orchestra)

試聴する(米国amazon)


 ピアノ協奏曲

第1楽章 Allegro
バーバー、リーバーマンのピアノ協奏曲と似ていて、第1楽章はガンガンと騒然とした雰囲気のオケとピアノで始まる。違うところは色彩感がとても豊か。
イントロの数小節が終ると、ピアノが早速巨大なカデンツァを弾いている。背後でパーカッションとハープが鳴っていて、とてもカラフルな音色。
ピアノは打楽器的に力強いパッセージが主体。トゥッティの部分が少なく、少数の楽器が同時に演奏することが多いので、響きの厚みは薄い。
そのせいか、賑やかでちょっと厳つい雰囲気がするにしてしては、とても軽快。
旋律自体はほとんど歌謡性がなく、色彩感と不規則なリズムと変拍子による音のアクロバット的な動きの組み合わせが面白い。

このエネルギッシュな第1主題が終ると、とても穏やかな第2主題に。
ホルンのソロで始まって、叙情的で開放感を感じさせる旋律。静かな雰囲気のなかで、和声は調和的なので、ホルンとピアノのソロは綺麗な響き。
緩徐部以外は、ピアノは打楽器的な奏法を取り入れてリズム感が良く、パッセージも技巧的なところが多くて、ピアニスティックな曲。

14分という長めの演奏時間のなかで、この第1主題と第2主題が次から次へと形を変えて現れて、旋律自体も印象に残るような確固としたまとまりのあるパッセージがそれほど多くない。
解説で構成を確認したけれど、一度や二度聞いても構成が良くわからない曲だった。

第2楽章 Scherzo
Scherzoなので、ピアノが速いテンポで動きまわり、第1楽章の緊張感を壊すように軽快。
ピアノが細かいパッセージをメインで弾いているが、オケが背後で賑やか。管楽器がとても目立っている。ここはあっという間に終ってしまった。
スケルツォ的な主題は、絶えず繰り返されず3種類の和音で作られ、トリオに入ると冒頭のモチーフから派生した12音列を元に展開されている(と解説に書いていた)。

第3楽章 Andante Appasionata
ようやく緩徐楽章に。第3楽章の主題は、6つの音からなり、構成は中央でクライマックスになってから静かな単音のピアノの旋律へと移動するアーチ型。
はじめはピアノが静かにソロを弾いているが、管楽・弦楽とも音の厚みがかなりあるので、オケが結構賑やか。
バーバーやリーバーマンの叙情感とは全く違った、静かな森に佇んでいるかのような描写的なタッチの旋律。
Appasionataとあるように、徐々に高揚していくようにフォルテになっていくが、やっぱりここも騒然とした雰囲気になってしまう。これをドラマティックと言えなくもない。

第4楽章 Allegro
アタッカで繋がり、速いテンポのロンド。トーンクラスターを使ったフーガのように主題を管楽が順に弾き、続いてピアノがその主題を引き継いでいく。
ヒンデミットのようなトリルが多用されて、ちょっと不思議で軽妙な雰囲気。
拍子に強いアクセントがついたリズムで、ピアノが打楽器的に使われ、オケも同じ音型の旋律を弾いているのは、リーバーマンのコンチェルトに少し似ている。
ピアノがとても派手に動き回って、ピアノ協奏曲らしさのあるとてもピアニスティックな楽章。でも、オケもそれに劣らず、出番が多くて音も大きいので、どちらかというと協奏交響曲風な感じがする。

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
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