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ベートーヴェン=アルカン編曲/ピアノ協奏曲第3番[ピアノ独奏版]
ベートーヴェンの交響曲の編曲版は、リストによるピアノ独奏版がとても有名。
ワーグナーによる第9番のピアノ編曲版もあるが、これは(少人数だけど)合唱部分はそのまま残していて、もともと演奏機会の少ないリスト編曲版よりも、さらに実演・録音が少ない。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲の編曲版は、2台のピアノや四手連弾用に編曲されていることが多い。
これをピアノ独奏に編曲したものは珍しく、第3番のアルカン編曲版くらいだろうか。
アルカンは、アムランがその作品を演奏してからかなり知られるようになった作曲家。アムランが手がけるぐらいなので、その作品の難易度はリスト、ブゾーニ、ゴドフスキといい勝負。

このアルカン編曲版に関する詳しいコメントが載っているサイトが”超絶技巧的ピアノ編曲の世界”
アルカンに限らずサイトタイトルの通り、難曲として名だたる編曲に関するとても詳しいデータベース。
原曲者・編曲者別のデータベースになっていて、これがなかなかに素晴らしい。
やたら難しい編曲で有名なゴドフスキとアルカンの違いを評して、「ゴドフスキーの難しさは,多数の声部を同時に処理する「知的な難しさ」,アルカンの難しさは,速度と耐久性という「体育会系の難しさ」
これはよくわかります。全くその通り。ゴドフスキは和音が多いので響きが厚くて、主旋律が埋もれかねない。アルカンは響きはそれなりに厚いけれど、何より鍵盤上を駆け回るスピード感が凄い。とにかく超絶技巧が要求される上に、スピードが必要なので、優れた運動神経と筋力がものをいう(とかなり言えると思う)難曲が多い。

アルカン編曲のピアノ協奏曲第3番は、オケ伴奏の響きの厚みを出すために、ピアノの左手部分はかなり音を足しているし、アルペジオも多い。
楽譜をみるとそれほど音が詰まった感じはしないけれど、ペダリングとスピード感とでかなり量感が出て、ピアノ1台だけでも響きが貧弱に聴こえることはありません。

アルカン編曲版ピアノ協奏曲第3番の楽譜(IMSLP)(手書きみたいな楽譜で少し見ずらい)

ピアノ独奏曲版のカデンツァは、アルカンが自ら書いたもので、全体の演奏時間(19分あまり)の1/3を占めるほどの長いカデンツァ。
響きは厚いし(特に左手側)、主題がいろいろ変奏され、なぜか「運命」の第4楽章の主題がちらちらと挿入されたりして、とにかく面白くて輝くようなカデンツァ。

さすがにアルカン作品だけあってこの曲の録音は少なく、有名なのはアムランのライブ録音。
シチェルバコフのピアノで聴いたリスト編曲版ベートーヴェンの交響曲も良かったけれど、このアムランのアルカン編曲ピアノ協奏曲も同じくらいに冴えた出来ばえ。
元々スピード感抜群の颯爽とした演奏スタイルのアムランなので、この第3番もやっぱり速い。
これだけ音が詰まっているのに、アムランのタッチはさすが軽やかで切れ良く、テンポも速くて、スピード感と躍動感が素晴らしい。
元々ピアノが弾く主題の旋律は、もう少し潤いというか叙情的に弾いて欲しい部分も少しあるけれど、オケ伴奏の部分を入れ込んでいるので力技がいるだろうから、これくらいの勢いがないともたつきそう。


この曲が収録されているのは、アムランのウィグモア・ホールのライブ録音のアルバム。
ショパンのピアノ協奏曲第1番のアルカン編曲版や、アルカンの練習曲、ブゾーニのカルメン幻想曲など難曲の多い選曲でも、ライブとは思えないほどの演奏は完成度が高い。
こういうプログラムのリサイタルはめったに聴けないので、後学のために聴いておけば話のネタには充分なるでしょう。
Marc-André Hamelin Live at Wigmore HallMarc-André Hamelin Live at Wigmore Hall
(1995/01/24)
Marc-André Hamelin

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tag : ベートーヴェン アルカン アムラン

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
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