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スメラ/ピアノ協奏曲
エストニアの作曲家レポ・スメラ(1950年~2000年)のピアノ協奏曲(1987年/1997年改訂)は、とても神秘的で冷たく研ぎ澄まされた音楽。
このところアメリカの現代音楽ばかり聴いていたので、これは全く違う文化圏の音楽だとすぐにわかる。
ピアノの響きは氷のように透明感があり、ファンタスティックな雰囲気の漂う旋律がとても綺麗。
全体的にシサスクの音楽に響きやモチーフが良く似ているので、シサスクの作品だと言われてもあまり違和感はない。
シサスクは宇宙ものが多いので、イメージとしても音感としても、絶対零度(だった?)の宇宙空間的な冷たさを感じるが、スメラは表面は冷たく凍っていても、その下でチラチラと炎が瞬いているような熱さがある。

スメラもシサスクも、和声はさほど不協和的ではないのでとても美しいけれど、異世界的なミステリアスな響きがする。
旋律も歌謡性はなく、どちらかというと描写的。ある物理現象を音で表現しているようなイメージ喚起力がある。シサスクの宇宙ものや、クラムのマクロコスモスを聴いていたので、つい宇宙的な現象をイメージしてしまう。
楽章によっては、”スター・トレック”のバトルシーンに流れていても、全然違和感がない感じ。(”スター・ウォーズ”には全然向いていない。)


第1楽章 Come cercando un tempo
冒頭は高音域のピアノ・ソロで始める。密かに何かが徐々に生成しつつあるような、ちらちらとした動きを感じさせる旋律。
ここに、オケのパートが部分的に時々加わって、徐々に動きと色彩感のある旋律に変わり、生成のスピードが加速されていくようなイメージになる。
終盤になると、突然高音域から低音へとピアノが移動してガガ~ンと衝撃のような音を打鍵をするので、何かが暴発したような雰囲気。
その直後に高音のフルートとピアノが、チロチロと青白い炎が燃えているようなリズミカルな旋律を弾きながら、徐々にテンポを落としてフェードアウト。

第2楽章 Incantando. Fereco
アタッカでつながり、ピアノが鈍い響きの低音をオスティナートして、何かが起こりそうな前兆のような冒頭の旋律。オケも同じように低音域あたりで静かに蠢いている。
ピアノの右手側は、何かがふつふつと沸き起こりつつあるような雰囲気の旋律を弾いていて、オケともども徐々に加速し、響きも厚みが増していく。
最後は猛スピードに加速して突如としてプツンと止まり、再びテンポを落として、同じ旋律を繰り返し、オケの響きがさらに厚みを増して、また加速していく。
終盤は、リズム中心のフレーズの組み合わせになり、躍動感と切迫感が強くなっていく。
この旋律、どこかで聴いたような気がする。シサスクの曲に似ているせいか、デ・ジャ・ヴみたいな感じがするのに、どの曲だったかが思い出せない。

両楽章とも、ミニマル的にフレーズを変形しながらオスティナートしていく。和声の響きがとても美しく、旋律もファンタスティックで、曲の流れがドラスティックに盛り上がっていく。
どうもこの曲を聴いていると、SF映画を思い出してしまうので、ミニマル的とはいえグラスよりも聴きやすい。


同じエストニアの作曲家であるペルトと違って、スメラの録音はどの作品でもそれほど多くはなく、このピアノ協奏曲はBIS盤とFINLANDIA盤の2種類があるくらい。
これはBIS盤のカレ・ランダルのピアノ、パーヴォ・ヤルヴィ指揮マルメ交響楽団の演奏。

Sumera: Musica Tenera; Piano Concerto; Symphony No.4Sumera: Musica Tenera; Piano Concerto; Symphony No.4
(1994/12/20)
Paavo Järvi (Conductor), Malmö Symphony Orchestra (Orchestra), Kalle Randalu (Performer)

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