スメラ/室内楽曲集より 《Quasi improvisata Ⅰ》 《Valss》 《Nukker toreadoor》 

2010, 01. 18 (Mon) 18:00

エストニアの作曲家レポ・スメラの珍しい室内楽曲集。
ピアノ協奏曲がファンタスティックでとても美しく、シサスクと同じくらいに気に入ったので、ピアノ独奏曲を探してみると、ピアノの入った室内楽曲がいくつかあった。
全体的にミニマル的な技法が良く使われているわりに、旋律に叙情感があり、ドラスティックに曲想を変化させていくので、それほど単調さは感じない。
少なくとも、フィリップ・グラスの曲よりは、起伏に富んでいて、あまり飽きない(と思う)。

《Quasi improvisata Ⅰ》
ピアノとヴァイオリンのデュオ。少しスペイン風のような気もする強い哀感のあるとても美しい旋律。これもミニマル的に同じパターンの音型をいくつか順番にオスティナートして、徐々に盛り上がっていく。
シサスクの《ヘール・ホップ彗星》の旋律に良く似ているし、線が細くてさらさらと流れるような旋律と叙情感が、加古隆の曲に雰囲気的に少し似たところがある。

《Valss》(1984)
これもピアノとヴァイオリンによるワルツで、ちょっと憂いのある曲。
初めは同じパターンの旋律を繰り返していて、短調で調性的に安定していたが、徐々に調性が乱れていって、ピアノの伴奏もあれこれと錯綜し、ヴァイオリンもそれに引きずられて、全体的に不協和的な響きが強くなっていき、収拾がつかなくなったように、突然静止。
再びワルツを再開しようとしても、もう元の調子には戻れず、悲しそうにヴァイオリンとピアノがそれぞれモノローグして、ピアノがワルツの伴奏をちょっとだけ弾いて、プッツンと終ってしまう。

《Nukker toreadoor》(1984)
曲名は、”The Sad Toreador”(悲しき闘牛士)という意味。
ビゼーの《カルメン》の有名な旋律をピアノ独奏曲にパラフレーズした一種のパロディ。
あの勇猛果敢な曲が、さらりとした哀感に満ちたとても美しい曲に変身している。やや不協和的な和声を使っているので、面白い響きがする。
パロディ的な曲を良く書いていたシュニトケほどには、不協和音による旋律と和声の歪みが強くない。こういう曲でも、スメラの旋律と和声は、透明感と叙情に満ちてとても綺麗な響き。


Lepo Sumera: Chamber MusicLepo Sumera: Chamber Music
(2002/07/29)
Boris Bjorn Bagger,Peep Lassmann ,Janika Lentsius, Heiki Matlik ,Niina Murdvee ,Jaan Oun,Kadri-Ann Sumera ,Tallinn Saxophone Quartet ,Henri-David Varema ,Toomas Vavilov, Meelis Vind

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