ブラームス/ピアノ三重奏曲第1番 (1854年初版) 

2009, 11. 29 (Sun) 18:00

ブラームスのピアノ三重奏曲第1番は、普通演奏されているのは1889年改訂版。
初版の1854年版が演奏されることは滅多にない。
楽譜はIMSLPから、初版と改訂版がダウンロードできるので、つき合わせてみれば違いがわかるが、演奏自体を聴き比べてみると、第2楽章以外はほとんど全面的に改訂されているのが一目(聴)瞭然。

たまたま見つけたこの録音には、第1番の初版と改訂版の両方が録音されている。
ブラームスのピアノ三重奏曲全集は、CD2枚だと録音時間がかなり余ってしまうので、ホルンやクラリネットの入った室内楽曲をカップリングしている場合が多い。
フィルアップのために改訂版を録音したわけでもないんでしょうが、改訂版の録音が少ないのでこのディスクはとても珍しい。(ただし、演奏自体はかなり強めのタッチで、やたら元気で騒々しい。)
改訂といっても、第2楽章以外は第2主題を完全に入れ替え、展開の仕方も全く変わっているので、”再作曲”のようなもの。楽章によっては全く違う曲を聴いている気分がする。


Johannes Brahms: The Complete Piano TriosJohannes Brahms: The Complete Piano Trios
(2003/11/04)
Altenberg Trio Wien

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第1番の初版はDISC1:track1~4、改訂版はDISC2の最後の4つのトラック。
”赤いはりねずみ”のイラストがとても可愛いジャケットデザイン。
ブラームス好きの人なら、なぜ”赤いはりねずみ”なのかはすぐにわかりますね~。ウィーンのWildpretmarkt にあるブラームスのお気に入りのレストランの名前が”赤いはりねずみ”でした。
参考までに、ブラームスの伝記類に登場するカフェとレストランのリストが<ブラームスの辞書>の”ブラミシュラン”に載ってます。


第1楽章では、冒頭の第1主題は変わらないが、改訂版ではヴァイオリンの旋律の一部がカットされ、ハーモニーが整理されてすっきりしている。
丸々入れ替えられた第2主題や主題が展開していくところを聴けば、改訂版の方がやはりずっと良い。
それに、この録音の演奏時間で比べると、初版は第1楽章が18分台、改訂版は13分台。初版はかなり冗長で構成もわかりにくい。

第2楽章は、ラストの部分が全く違う。
初版では、緩徐楽章の第3楽章にまるでアタッカでつながっていくように、それまでの勢いが急に失われてピアニッシモになって静かに終る。
改訂版では勢いのあるまま歯切れ良い終わり方で、流れとしてはこちらが自然。

第3楽章の初版の展開部は、主題よりもずっと明るく躍動的なAllego。
改訂版では、主題の雰囲気を壊さないようにかなり穏やかなモチーフに変えている。

第4楽章も第2主題が入れ替えられている。
初版の第2主題は優しく穏やかな雰囲気の旋律で、第1楽章とのコントラストは明確だが、旋律自体があまり印象的ではない。
改訂版の第2主題は、力強く開放感のある旋律が印象的で、フィナーレらしい広がりと高揚感がある。
第1主題の変奏部分も含めて全体的に手が加えられて、かなり違った曲に変身している。

第1番の改訂版を聴きなれているかどうかに関らず、初版と改訂版の両方を聴けば、やはり改訂版の方がはるかに良い曲だとわかる。
初版の第1楽章と第4楽章は、第2主題がもやもやともう一つ印象が薄いせいか、いろいろ展開していくと構成がだんだんわかりづらくなって、冗長な感じがする。
改訂版で入れ替えられた第2主題の方は、メロディがシンプルで明瞭で、とてもロマンティック。主題が展開していくところも構成がわかりやすくて、初版から30年以上経っているのに、ブラームスがあえて改訂したというのも納得。


ブラームス/ピアノ三重奏曲第1番(改訂版)の記事

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2 Comments

jack  

私も改訂版の方が好きです

初めまして。週末のコンサートのプログラムノートのネタを探していたらここに来ました。参考にさせて頂きます。

私も先日両方の楽譜と音源で比較分析しました↓
http://blogs.yahoo.co.jp/jack_violin1945/33323224.html

私も改訂版の方が好きですよ。

2011/12/07 (Wed) 15:05 | EDIT | REPLY |   

yoshimi  

改訂版、良いですね

jackさま、はじめまして。
ご来訪、コメントどうもありがとうございます。

ブログを拝見させていただきました。
40年以上もヴァイオリンを弾いていらっしゃるとのこと、コンサートまで開催される腕前とは凄いですね!
私は趣味程度にピアノを弾くくらいですから、専門的な勉強はしておりませんし、今はもっぱらCDリスナー専門。聴くほうが楽しいのです。

この曲は、改訂版の方が構成がすっきりして、展開もわかりやすくて良いですね。
ブラームスがわざわざ晩年に改訂したくらいですから、当然といえば当然のことなのでしょう。
私が両版の比較は大雑把ですから、参考にしていただくほどのものではないのですが...。

ピアノ・トリオなら、メンデルスゾーンの第1番&第2番も大好きです。

初版と改訂版の違いといえば、シベリウスのヴァイオリン協奏曲も初版は冗長な感じがしました。
でも、コラール風のカデンツァ部分は好きでしたので、改訂版で消えてしまったのはちょっと残念でした。

2011/12/07 (Wed) 18:24 | EDIT | REPLY |   

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