スーク&カッチェン ~ ブラームス/ヴァイオリンソナタ第2番 

2009, 12. 23 (Wed) 18:00

ブラームスの3曲あるヴァイオリンソナタのなかで、たぶん一番演奏機会が少ないのがこの第2番。
第1番は《雨の歌》で有名だし、第3番はテンションが高くブラームスらしいほの暗い情熱が漂っていて良く演奏されている。
それに比べると、間に挟まれたこの第2番は、第1番よりもさらに穏やかで優しげ。
3つの楽章とも感情が昂ぶるような盛り上がりが多少はあり、第2楽章はかなり躍動的なところもあるけれど、ブラームスにしては全体的にとても穏やか。これといった作曲時のエピソードもなく、地味といえば地味。
久しぶりに第2番をじっくり聴くと、楽譜を見て構成が良くわかったせいか、以前聴いた時よりも平板な感じが無くなったのが良かった。
特に、長調の合間に時折顔を出す短調の旋律がとても綺麗に聴こえる。力みがなく透明感がある典雅なところは、嵐(第3番)の前の静けさなのかも。

Violin Sonatas: Decca LegendsViolin Sonatas: Decca Legends
(2001/02/06)
Josef Suk, Julius Katchen

試聴ファイル



ヴァイオリンソナタ第2番イ長調 Op.100 (1886年) [五嶋みどりさんの作品解説]

Josef Suk,J.Katchen, Brahms Violin Sonata A major ( 1 )


第1楽章:Allegro amabile
冒頭のピアノ独奏で始まるイ長調の主題が羽毛のように柔らかく優しげ。ほとんど和音だけれど、カッチェンの丸みのあるコロコロとした弱音がとても軽やか。続いて主題を弾くスークのヴァイオリンも、少し線が太めのきりりと引き締まった音が品良く優雅。
第2主題もとてもロマンティックな美しい旋律。長調と短調が交錯するピアノはほとんどクロスリズムで左手は8分音符の三連符の分散和音。途中で感情の横溢したようにピアノが弾く短調の旋律がちらっと顔を出すけれど、すぐに元に戻って穏やかな表情に。
展開部は第1主題を使っていて、強い感情的なフォルテの短調の旋律が続き(ピアノはスタッカートの和音)、最後(137小節目)は、弱音でピアノが弾く旋律がとても哀しげ。
形式はソナタ。初めから終わりまで同じ主題が展開されていくので、楽譜を見ないと構成がちょっとわかりにくい。

第2楽章:Andante tranquillo
冒頭は第1楽章と似た雰囲気の緩徐楽章。この楽章は構成がとてもシンプル。
Andanteの第1主題はゆっくりと優雅な旋律。ピアノの右手とヴァイオリンが対話しながら主題を弾いている。
続いてVivaceの弾むように軽やかで楽しげな第2主題に変わる。ここはピアノが弾く和音や分散和音の多くがでスタッカートだけれど、カッチェンはバタバタすることなくとても軽やか。
この第1主題と第2主題がもう一度繰り返されて、最後は第1主題と第2主題がそれぞれとても短く顔を出して終わる。

第3楽章:Allegretto grazioso (quasi Andante)
やや速めのテンポで、穏やかで少し憂いのある主題をヴァイオリンが弾き、ピアノは柔らかいタッチの和音と分散和音の伴奏。
この楽章はヴァイオリンが旋律を弾くことが多く、ピアノはリズムがいろいろ違った分散和音で伴奏のヴァリエーションを出している。弱音域で弾くことが多いので、全体的には起伏が緩やか。終楽章にしてはぼわ~とした曖昧な雰囲気でかなり大人しい曲。
耳から入る音に比べて、楽譜で見るとピアノパートは結構厄介に見える。音の開きが大きいので鍵盤上をあちこち動きまわり、いろんなパターンのクロスリズムが使われて、弱音やスタッカートで和音や分散和音を軽やかに弾かねばならずと、ピアニスティックに聴こえない曲のわりには、打鍵や響きのコントロールに気を使わないといけない。


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