グルック/歌劇《オルフェオとエウリディーチェ》より ~ Melodie (ピアノ独奏編曲版,ヴァイオリン&ピアノ編曲版) 

2009, 12. 31 (Thu) 09:00

今年最後の曲は、とても清楚で美しいグルック《オルフェオとエウリディーチェ》の<Melodie>。
原曲は、有名な歌劇《オルフェオとエウリディーチェ》のなかにある<精霊たちの踊り>。
この曲の中間部に出てくる短調の叙情的な旋律が、ヴァイオリン&ピアノ、フルート&ピアノ、ピアノソロ用に編曲されたのがこの<Melodie>。さらにギター編曲版というのもある。

ピアノ独奏版は、ケンプ、ズカンバーティ、シロティ、チェイシンズ(これは初耳)の編曲版があるが、一番良く演奏されているのは、ズカンバーティ版。
ケンプ編曲版はケンプの自作自演盤とビレット、ラエカッリオなどの録音がある。
さらにズカンバーティ版を編曲したラフマニノフ編曲版まである。
それほど編曲意欲をそそるのも、一度聴けばよくわかるほどに、清楚でやや物哀しそうな旋律がとっても綺麗。
ピアニストのアンコールピースにとてもよい曲だと思うけれど、なぜか実演ではあまりお目にかからない。

楽譜が入手できるのはズカンバーティのフルート&ピアノ編曲版。
ピアノ独奏版は米国とEUでパブリックドメインになっていないので、IMSLPでは入手不可。
それほど込み入った編曲ではないので、フルート版の方をもとに少し変えれば、ピアノソロでもちゃんと弾ける。
楽譜ダウンロード(IMSLP)


Youtubeに登録されている音源は、ピアノかヴァイオリン用の編曲版が多い。比較的音の良いものを探してみると、いろんな編曲版の演奏があって、聴き比べができるのが面白い。
好きなのは、ピアノ版がラフマニノフの演奏、ヴァイオリンならハイフェッツ。元からとても叙情的な曲なので、やや抑制的に弾いた方が気品があって叙情感も甘くなりすぎなくて奥深い感じがするので。

ピアノ独奏[編曲:ズカンバーティ](ピアノ:キーシン)
他のピアニストに比べてテンポはかなりゆっくり。丁寧なタッチで弾いているので、一粒一粒の音が表情豊かに聴こえる。全体的に高音域で音が鳴っているせいか、とても切々とした叙情感があって清らかな感じ。(でも、この映像を見ていると、独特の指の動きと手の形の方がなぜかとても気になってしまう。)

ピアノ独奏[編曲:ズカンバーティ/ラフマニノフ](ピアノ:フレイレ)
ズカンバーティ版より若干左手の和音の音が多く、内声部も追加されているように聴こえる。(楽譜がないので正確なところはよくわかりませんが)
フレイレの弾き方だと、テンポが速く、ルバートもあちこちにかかり、特に左手の伴奏の音が大きめでリズムも揺れるのがとっても気になってしまう。キーシンの演奏を聴いた後だと、しっとりした叙情感がやや薄く感じるかも。

ピアノ独奏[編曲:ズカンバーティ/ラフマニノフ?](ピアノ:ラフマニノフ)
音が古めかしいけれど、ラフマニノフはこの曲を好んで演奏していたらしい。
フレイレとテンポが大体同じくらいだけれど、左手の伴奏がずっと柔らかな響きで控えめに聴こえる。ルバートや強弱の揺れも結構あるけれど、なぜかフレイレよりもさらっと弾いている感じがする。抑制された情感がにじみ出るような落ち着きと品のよさがあって、とっても良い感じ。

ピアノ独奏[編曲:シロティ](ピアノ:?)
左手の伴奏は、低音~中音域に厚みがあって、音型がわりと単純なので、ちょっとどっしりして四角四面な感じがする。右手の旋律の繊細さが、左手伴奏の響きの厚みと重たさでややかき消されているような...。

ヴァイオリン&ピアノ版[編曲:ハイフェッツ](ヴァイオリン:ハイフェッツ、ピアノ:ベイ)
これも音は古いけれど、きりっと引き締まった表現でややストイックな感じもする叙情感が清らか。凛とした気品漂う美しさがあって、この曲にとっても良く似合っている。
ハイフェッツはバリバリと快速で弾いた録音をいくつか聴いたことがあるだけだったけれど、こういう風にも弾けるのですね。

ヴァイオリン&ピアノ版[編曲:クライスラー](ヴァイオリン:西崎崇子、ピアノ:ハーデン)
さすがに録音の音が良いので、ヴァイオリンの高音で弾く旋律は響きがとても綺麗。かなり叙情たっぷりに歌っているような感じ。


ケンプとチェイシンズの編曲版は、まともな演奏映像がないので、これはCDの試聴音源で。

ピアノ独奏[編曲:ケンプ](ピアノ:ケンプ)
ケンプ:バッハ作品集、編曲集(バッハ、ヘンデル、グルック)(ピアノ:ケンプ)[トラック:27のLa Plainte d'Orphée (Orpheus' Lament) ]
ケンプのレガートの響きはとても柔らかで温もりがあり、透明感と煌きの両方が備わっていていつもながらうっとりする。
この煌きとほとんどインテンポで淡々と弾いているせいか、物哀しい雰囲気があまりなくて、逆に暖かさと明るさが差し込んでいる感じがするのが、他の演奏とは違うところ。

ピアノ独奏[編曲:チェイシンズ](ピアノ:ダニエル・ベルマン)
Rarities of Piano Music at Schloss vor Husum, 1989 Festival
チェイシンズは1903年生まれの作曲家。この編曲は、左手の和音の厚みが増して、アルペッジョも使われているので、やや華やかな感じのする部分もあり。終盤近くはフォルテで結構盛り上がる。

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