*All archives*



スターン&ローズ&イストミン ~ メンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲第1番
1月中旬に届くはずだったスターン&ローズ&イストミンのメンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲のCDが、年末にamazonから早速届いた。
試聴してとても良い感じだったし、どのCDレビューでも評価が良い(特に米国amazonのレビューが抜群)。どんな演奏だろうと期待して聴いてみると、他の録音とは趣きの違うところがいろいろあり、独特の味があってそこが面白いので、何回か繰り返し聴いている。お正月早々良い音楽を聴くことができて全く幸先が良いこと。

Mendelssohn;Piano Trios 1&2Mendelssohn;Piano Trios 1&2
(2008/07/01)
Leonard Rose (Cello), Eugene Istomin (Piano), Isaac Stern (Violin)

試聴する(米国amazon)
私が買ったのは普通の輸入盤。Blu-spec CDの国内盤もリリースされているので、音はそっちの方が良いかも。

第1番は1966年、第2番は1979年の録音。
第1番は録音年のわりにちょっと音が古めかしく、残響が短め。第2番になると急に音が良くなって聴こえる。響きに膨らみがあって、特にヴァイオリンの音が良くなっている。
もっぱらイストミンのピアノに集中していたけれど、2曲とも3つの楽器の音のバランスが良いので、やや聴こえにくいチェロの音までよく聴こえる。

イストミンといえば、シューベルトのピアノ・ソナタ第17番の録音を村上春樹の『意味がなければスイングはない』で取り上げていたので知ったくらいで、たしかルドルフ・ゼルキンに師事していたような記憶も...。でも全く聴いたことがない。
今どきのピアニストは指が良く回るので、このピアノ三重奏曲を速めのテンポでメンデルスゾーンらしいピアニスティックなところを切れ味良く弾く録音が結構多い。
イストミンはあまりテクニックの切れの良さを感じさせるような弾き方ではないし、タッチが硬質でちょっとコツコツした感じ。ピアニスティックなパッセージでも弦を押しのけて前面に出ることはないので、少し控えめなところがあるけれど、強弱のバランスが良いのでフォルテでも騒々しくない力強さで安心して聴ける。
それに表情の変化の幅が広いというか、穏やかなら穏やかなリに、激しくなると急転直下のように、クルクルと明快に表情が変わっていくので、聴いていてとても楽しいピアノ。

第1楽章は、わりと品良く穏やかで、終盤になるとさすがにフォルテの音が太くてずっしり。無言歌風の第2楽章は、それほどロマンティックにはならず少しあっさりめ。
第3楽章のスケルツォがとっても良いですね~。この楽章はピアニストが快速で華やかに弾きたくなるらしく(そういうテンポと音の並びなので無理ないけど)、快速で弾くピアニストの指回りの良さが結構目立つ。
ピアニスティックなスケルツォはかなり好きなのでそれはそれで良いけれど、イストミンはちょっと違っている。
さほど遅くはないテンポだけれど、バリバリと颯爽と弾くというよりも、柔らかいタッチで旋律の流れと表情が慌てず騒がず、とてもチャーミング。ラストの弦のピチカートとピアノの和音はポロ~ン、ポロ~ンととろけるような甘さで、とても可愛らしい終わり方。男性3人のトリオでこんなに可愛らしく弾けるなんて...と思ってしまった。
ラストの第4楽章になると、前の3つの楽章が比較的穏やかだったピアノもかなり力強いタッチ。
アクセントやスフォルツァンドが良くきいていて、山あり谷ありのアップダウンが激しく、さすがにこのフィナーレは、テンポも速くタッチも鋭く盛り上がっている。かなり勢いがついていて、ラストスパートのように急迫感も十分。

ピアノが目立って華やか...というわけではないけれど、とても味のあるピアノなので、この第1番のピアノ・トリオを初めて聴くのであれば、ファーストチョイスにも良いように思えたくらい。個人的な好みとしては、ピアニスティックなところを聴きたい時は同じSONY盤のカヴァコス/デメンガ/パーチェの録音が良いので、この2種類があれば十分満足。

tag : メンデルスゾーン

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
Secret
(非公開コメント受付中)

名盤ですね
こんにちは。
この演奏好きなんです。
スターンのヴァイオリンが大見えを切るようで雄弁な印象。
イストミンのピアノに注目して聴いたことはなかったのですが、
なるほど味のあるpianoですね。
さすが評判どおりの演奏でした!
木曽のあばら屋様 こんにちは。
コメントありがとうございます。

スターンは明快で切れの良い演奏だと思いましたが、確かに雄弁ですね。といっても、他の2人が霞むような弾き方はしていないので、3人のバランスが良く、聴きやすい演奏でした。

第1楽章と第3楽章が好きなので、ピアノパートを自分で弾いてみましたが、ピアニストによって細かいところもいろいろ違うのが良くわかりました。
イストミンのピアノは、今風の指が良く回って...という風ではないのですが、語り口が上手いというか、表情の変わり方が目に見えるような感じがするというか、とにかく聴いていて楽しいピアノです。
NoTitle
yoshimiさん、この曲はメンデルスゾーンの曲の中では好きな1曲です。

イストミンは、私にとっては「シューマン:ピアノ協奏曲イ短調」(ワルター指揮コロンビアso.)で独奏していた人で、華やかな独奏者と言うイメージからは遠いピアニストです。確か、他に何か演奏しているものが持っていたと思って調べてみたら、「バッハ:ピアノ協奏曲第1番」(ブッシュ指揮ブッシュ室内O)の録音を持っていました。しかしながら、この曲は、チェンバロ独奏に慣れているので、ピアノだと違和感だらけでした。後は、カザルス(vc)の伴奏をしているものもありましたが、こちらもカザルスが強烈過ぎて、ほとんど印象に残っていません。

イストミン
matsumo様、こんにちは。
コメントありがとうございます。

イストミンのピアノがお気に召さなかったのは、好みの問題ですから、しようがないですね~。
”華やかな独奏者と言うイメージからは遠い”というのは、よくわかります。逆に、少し地味かもしれませんが味わいのあるピアノを弾く人のように思います。一緒に演奏した人が個性が強すぎるとかすんでしまうでしょうね。この録音はスターンのバランス感覚が良いせいか、そういうことはないので、とても聴きやすいトリオでした。
ピアニストでもいろんなタイプの人がいますから、バリバリ弾かないなりの持ち味を楽しむのも面白いと思います。

バッハのチェンバロ協奏曲をピアノで弾くと、オケとのバランスで重たくも軽くもなりますし、ペライア盤は室内オケが伴奏していたので軽やかです。
チェンバロかピアノかというのは、慣れ(と好み)の問題だと思いますが、私は奏者の好みはあっても、両方とも抵抗なく聴けます。チェンバロだと鍵盤楽器のパートが明瞭には聴こえないのでこういうところはピアノの方が良いのですが、チェンバロは響きがオケと溶け込むので、また違った雰囲気がします。
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。