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ブラウティハム&クーレン ~ メンデルスゾーン/ヴァイオリン, ピアノと弦楽のための協奏曲、セレナードとアレグロ・ジョコーソ
メンデルスゾーンは、ロマン派の作曲家のなかではピアノの入った管弦楽曲をたくさん書いた人で、独奏ピアノが入ったピアノ協奏曲が4曲(一般的に演奏・録音されるのは第1番と第2番)、2台のピアノの協奏曲が2曲。
協奏曲形式ではないがピアノ&管弦楽のための作品が《華麗なカプリッチョ》、《セレナードとアレグロ・ジョコーソ》、《華麗なロンド》。さらにヴァイオリン&ピアノの協奏曲が1曲。
ロマン派でピアノ&管弦楽曲が多く書いたといえば、すぐ思い浮かぶのが、サン=サーンス。ピアノ協奏曲を5曲と管弦楽曲を数曲。(他にもいるかもしれないけど、すぐに思いつかない。)
現代なら、プロコフィエフとマルティヌーがピアノ協奏曲を5曲づつ。多作家マルティヌーはこの他にもピアノの入ったコンチェルトをかなり残しているので、マルティヌーが最多かも。

メンデルスゾーンのピアノ協奏曲第1番は演奏機会が多い。他の作品は協奏曲全集録音とかでしか、あまりお目にかかれない。
そのなかでは、《ヴァイオリン, ピアノと弦楽のための協奏曲》が、一番好みに合っていて、ヴァイオリンとピアノとのデュオが聴いていて楽しい。

録音はそれほど意外といろいろあるけれど、有名な演奏家だとアルゲリッチとクレーメルの録音くらい。多分、この曲で一番売れているディスクでしょう。木曽のあばら屋さんの”音楽と本の感想小屋”でレビューされてます。

私はアルゲリッチとは全く相性が悪いので、ここは音が綺麗で透明な叙情感のあるロナルド・ブラウティハムのピアノで。
ヴァイオリンはイザベル・ファン・クーレン、管弦楽はアムステルダム・シンフォニエッタと、指揮者のマルキス以外は全てオランダ勢。
クーレンはオランダの有名なヴァイオリニストらしいが、全然聴いたことがない。クーレンとブラウティハムは長年デュオをしているし、録音もたくさんあるので、そういう点では安心して聴ける。

Mendelssohn: Concerto in D minor for Violin, Piano & Strings; Capriccio brilliant Op. 22; Rondo brilliant Op. 29Mendelssohn: Concerto in D minor for Violin, Piano & Strings; Capriccio brilliant Op. 22; Rondo brilliant Op. 29
(1996/03/26)
Ronald Brautigam (Piano), Isabelle van Keulen (Violin), Lev Markiz (Conductor), Nieuw Sinfonietta Amsterdam

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第1楽章 Allegro
冒頭のトゥッティは短調の流麗な叙情感と疾走感がモーツァルト風。それでも、ピアノパートを聴いていると初期~中期くらいのベートーヴェンのような力強さも感じられてきて、私はベートーヴェン的なところの方がずっと気に入った。
ピアノが入ってくると、ピアノ協奏曲のようにメンデルスゾーンらしいピアニスティックなパッセージが続く。
ピアノ協奏曲の方がピアノはずっと華やかだけれど、ヴァイオリンとの掛け合いがあるところがこの曲の面白いところ。室内楽的な親密感と協奏曲的なソリストの華やかさの両方が味わえる。
ピアノとヴァイオリンが協奏しているときは、オケはとても静か。第1楽章はヴァイオリンが主旋律を弾いていることが多くて、そこにピアノが伴奏的に協奏していくので、ヴァイオリンの方が目立っているかも。
このクーレンのヴァイオリンは、ブラウティハムのピアノと同じように、硬質で冷んやりとした切れ味鋭い叙情感があって、ロマンティックにメロメロしなしなしないタッチが結構好き。

第2楽章 Adagio
ここもモーツァルトにベートーヴェンのフレイバーがかかったような緩徐楽章。
この優雅な雰囲気はモーツァルトを聴いている気分になるけれど、ピアノパートの旋律や伴奏はベートーヴェンを聴いているような気分になるという、ちょっと妙な気分。
この楽章は、オケがお休みしている(またはピアニシモで演奏しているか)ことが多くて、ほとんどヴァイオリンソナタの世界。

第3楽章 Allegro molto
冒頭からピアニスティックな旋律で始まって、突然メンデルスゾーンの世界に戻った気がする。
ここはヴァイオリンとピアノともテンポが速く、細かく音が詰まったパッセージが続く。特にピアノはクルクルと指が良く回らないと弾けないので、この楽章は結構ピアノが目立っている。
ヴァイオリンとピアノとも、シャープなタッチで切れは良いけれど、コロコロと音が滑らかに転がって、フォルテもやたら強打することがなく、丁々発止の白熱感は薄いけれど、メンデルスゾーンらしい優美さを失わずに品が良い。これを聴いていると2人の他の録音も聴いてみたい気に。

それにしても、トゥッティの時はそうでもないけれど、協奏曲といってもヴァイオリンとピアノに比べて、オケがあまり印象に残らなかった。録音のバランスのせいか、ヴァイオリンとピアノに耳が集中しすぎたせい?
半分くらいはヴァイオリンとピアノによる協奏曲的なヴァイオリンソナタを聴いている感じがするので、まるで管弦楽伴奏付きァイオリンソナタの趣き。
ピアノ協奏曲とはタイプの違ったコンチェルトで、あまり演奏されない曲とはいえ、これはピアノ協奏曲と同じくらいに気に入りました。

                          

カップリングの《華麗なカプリッチョ ロ短調 Op.22》《華麗なロンド 変ホ長調 Op. 29》はピアノ協奏曲第1番に良く似た技巧的なパッセージが、タイトルどおりに華麗。
ピアノ協奏曲を聴いたことがあれば、この2曲とも似たようなところがあるし、曲としてはコンチェルトの方がはるかに印象的。こっちを繰り返し聴こうという気にはならないので、やっぱりコンチェルトだけ聴いておけば十分かなと。

《セレナードとアレグロ・ジョコーソ Op.43》は、ピアノ独奏曲でメンデルスゾーンが良く使うパターンの前半・後半の2部構成。有名な曲では《ロンド・カプリチオーソ》がこの形式。
メンデルスゾーンのピアノ独奏曲の中でも、2部構成の作品はかなり良い曲が多いと個人的には思うので、わりと期待して聴いてみると、やっぱりとても素敵な曲。少なくとも上のカプリッチョやロンドよりはずっと印象的。
やや憂いを秘めたとても美しいセレナードと、明るく華やかなアレグロ・ジョコーソのコントラストが鮮やか。アレグロ・ジョコーソでは、ピアノ協奏曲や《スコットランド・ソナタ》に出てきたようなパッセージの断片がちょこちょこと顔を出したりするところもあって、両方とも好きな曲なので、セレナードよりも聴いていて楽しい。

tag : メンデルスゾーン ブラウティハム

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初めまして!
2週間ほど前から拝読させていただいております。
アルゲリッチは決して嫌いではないのですが、この演奏にはちょっと腰が引けていました。
良い演奏がないかなぁと思っていたのですが、ご紹介のBIS盤を聴いてみたいと思います。
時々お邪魔しますが、これからもよろしくお願いします。
アルゲリッチとブラウティハムはタイプが全然違ってます
さすらい人様、はじめまして。
ご訪問、コメントどうもありがとうございます。

アルゲリッチは、面白いのだろうとは思うのですが、どうも好みと正反対の方向なので...。クレーメルと録音したベートーヴェンのヴァイオリンソナタを聴いて以来、ちょっと苦手意識を持ってしまったようなのです。

ブラウティハムはクールな叙情感と澄んだ響きが綺麗で、最近良く聴き始めたピアニストです。フォルテピアノでの録音(ハイドン、ベートーヴェンなど)が有名なのですが、スタインウェイの演奏も、曲によりますが、悪くはないと思います。

自分の好みに任せて気ままに書いておりますが、これからもよろしくお願いします。
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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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