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ダッラピッコラ/タルティニアーナ第2番、ヴァイオリンとオーケストラのためのタルティニアーナ
ダッラピッコラは、イタリアン・バロック、特にタルティーニに深く傾倒し、対位法に魅了されていたために、タルティーニへのオマージュをこめた曲を2曲書いている。

初めに書いたのは、未発表のヴァイオリン協奏曲をもとに、1955~56年にかけてヴァイオリン&ピアノのための《タルティニアーナ第2番》。
この曲がかなり気に入っていたのだろうか、ヴァイオリン&ピアノ版が初演されてからすぐに、短いインテルメッツォをつけ加えたヴァイオリン独奏&管弦楽版《ヴァイオリンとオーケストラのためのタルティニアーナ》を書き上げた。

ヴァイオリン&ピアノ版の《タルティニアーナ第2番》は、管弦楽版と比べてかなり趣きの違った曲。
不協和音も少なく、各楽章とも対位法を使って主題旋律をヴァイオリンとピアノで対話していくので、形式的には整った印象。
旋律自体はバロック風の憂いのある美しいもの。第1楽章 Pastoraleは、タイトルの如くパストラル風の旋律を、ヴァイオリンが哀愁をこめて弾き、控えめに高音でポロンポロンと伴奏するピアノがか細く寂しげ。
第2楽章 Tempo di Bourreeになると、ちょっとおしゃべりしているような、飛び跳ねるような短調のヴァイオリンの旋律で始まり、ピアノもスタッカート気味のタッチでヴァイオリンと同じように歯切れ良い。ところどころ調子のはずれたような音が混ざって、どこかユーモラス。
第3楽章のPresto: leggerissimo。軽やかにくるくると踊っているような技巧的なヴァイオリンの旋律が優雅。第2楽章と同じく、似たような主題のリズムが次々に展開していくシンプルな構成。
第4楽章はVariazioni(変奏曲)。主題は力強く決意に満ちたような雰囲気の旋律。この主題をテンポと強弱を変えて次々と変奏していき、最後はフォルテで主題を再現して締めくくり。
全体的に多少不協和音的な音が混じっていても、調性が曖昧な感じはしないので、やや現代的な和声の混じった典雅な曲といったイメージ。演奏会で弾いても、わけのわからない現代音楽という不興を買うことないでしょう。

ダッラピッコラ:ソナティナ・カノニカ/タルティニアーナ第2番ダッラピッコラ:ソナティナ・カノニカ/タルティニアーナ第2番
(2005/11/01)
Roberto Prosseda (Piano), Duccio Ceccanti (violin)

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管弦楽版《ヴァイオリンとオーケストラのためのタルティニアーナ》の方は、ヴァイオリン&ピアノ版のように旋律や和声はバロック風。さすがに楽器の種類の分だけ音色がカラフルになり、雰囲気がずっと優雅。
...と、最初は思っていたら、ストラヴィンスキーの典雅な《イタリア組曲》の世界から、調和と不協和の相反する旋律が交錯する世界へと、全然違う方向へ向かってしまった。
さすがにシュニトケのように相反する旋律が同時並行で流れるほどには錯綜していないし、旋律と和声は不協和的でも叙情的な美しさを残しているので、最後はどうにかこうにか丸くおさまったような...。

第1楽章 Larghetto, molto espressivo, ma semplice
もの哀しい雰囲気の叙情的な旋律が綺麗に聴こえるけれど、そのうち徐々に不協和的な響きが入り交ざってくる。典雅なようで、時々管楽器が吹いている音や旋律が、どこかしらシニカルで調子はずれな感じがする(気のせいかも)。

第2楽章 Allegro misurato
旋律自体はのどかそう。問題は、高音で鳴る管楽器の音がややヒステリックに聴こえてくるし、フレーズの終わりで時々調子を外したようなヴァイオリンの音もキーキーと耳に障る。
さらに、同じリズムと旋律を繰り返し対位法で掛け合っていくのが、なぜかどこかしら間が抜けて、表面的に調和しているようで、本質的には全くてんでばらばらのように思える。これは第3楽章の不調和を予兆しているに違いない。

第3楽章 Molto sostenuto (Tempo I) - Piu mosso e scorrevole (Tempo II) - Tempo I, molto sereno - Tempo II - Tempo I (funebre) -
オーボエ(か何か)の低音の重苦しい主題で始まり、ヴァイオリンの高音の旋律もか細く苦しげで、この曲は深刻そう...。と、思っていたら、急に長調に転調してパストラル風ののどかさに変わったと思ったら、またいつのまにか暗いトーンの冒頭の旋律が混じったりと。
途中で、急にヴァイオリンが気分を変えようとするかのように、再びパストラル風の長調の旋律を弾き始め、オケの他のパートも最初はそれに合わして伴奏し始めたと思ったら、ヴァイオリンの旋律が終りかけるとその雰囲気を打ち消すように、オケがまた陰気な旋律を弾き始める。
ここはオケが弾く陰気な旋律にヴァイオリンが巻き込まれ、もともとそんなに陰気な雰囲気ではないヴァイオリンが、それから抜け出ようとして隙をみて突然長調の旋律を弾き始めても、やっぱり暗いオケの響きで押さえつけられてしまったような、ブツブツと流れが分断しているというとっても変な曲。

第4楽章 Allegro assai, ma non precipitato - (A la musette)
この楽章は、冒頭から気を取り直したヴァイオリンが、さっきは付き合ってくれなかったオケの伴奏をものともせずに、自分の弾くべき明るく躍動的な旋律を、どんどん速いテンポで弾いている。
さすがにオケもこの勢いにつられて、一応ちゃんとした調和的な和声で伴奏しているけれど、伴奏してくれる楽器がちょっと少なく(高音の軽い響きだけが聴こえてきて、フルートとかクラリネットとかだけで、あんまり多くはない)、どうもオケの方は全然気乗りしない雰囲気。
ヴァイオリンだけがやたら元気で、時々、残りの楽器も気が向いたように伴奏に参加して、一応オケらしい厚みのある響きになるところもある。
どうにかこうにか大きな破綻を招くことなく、最後は、オケの方がもう付き合いきれないといった感じで、勢い良く打ち切るような素っ気無い和音で終了。

第1楽章だけ聴くと、ブロッホの《コンチェルト・グロッソ》やストラヴィンスキーの《プルネチルラ》のように、バロック風の典雅な曲に多少不協和音が混じっている曲かと思ったけれど、最後まで聴くと意外と紆余曲折していて、まるで4幕構成のシニカルな喜劇を見ている(聴いている)ようなイメージ。
イタリアン・バロック風なところがある曲とはいえ、調和した世界へ回帰することなく、現代音楽らしい諧謔さと錯綜したところが面白い。でも、変な曲です。

Dallapiccola: Tartiniana; Due Pezzi; Variazioni per Orchestra; Piccola Musica Notturna; Frammenti Sinfonici dal BalleDallapiccola: Tartiniana; Due Pezzi; Variazioni per Orchestra; Piccola Musica Notturna; Frammenti Sinfonici dal Balle
(2004/11/23)
Gianandrea Noseda(Conductor)、BBC Philharmonic Orchestra、James Ehnes(Violin)

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
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好きな写真家:アーウィット

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