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クリーン ~ ブラームス/ピアノ作品集
ブラームスのピアノ作品全集はそれほど録音が多くない。昔はカッチェンの録音くらいしかなかったらしいが、今はオピッツとレーゼル、NAXOSの全集と選択はできる。ブラームスで定評のあるルプーは全集は録音せず。ルプーの全集なら絶対買うのに...。

VOXから出ているクリーンの作品集は最近まで知らず、HMVでたまたま見つけた。すっかり忘れていたところ、クリーンのモーツァルトのコンチェルトを聴いていて、ブラームスの録音があったのを思い出した。
このブラームス作品集は、録音状態が悪くてレビューは散々。そのせいかCD5枚の廉価盤。
そんなに音質が悪いのかと思って聴いてみたら、録音レベルが曲によってばらばらで、音色や響きの繊細さが十分に伝わらないところも結構ある。
Disc1はそれでも聴ける方。Disc2~4は結構つらいかも。Disc5もう~ん...という感じ。
あまり高音質の再生装置で聴くと余計に音質の悪さが目立つ気はする。音質を多少なりとも気にする人は避けた方が無難。

クリーンの録音は全集ではなく作品集なので、未収録の曲が多い。
ピアノ・ソナタの第1番&第2番、パガニーニヴァリエーションや自作主題による変奏曲は入っていない。
パガニーニは難曲なので無理に録音する曲でもないだろうし、クリーンのピアニズムには合わない曲のように思える。
中期~後期のピアノ小品はほぼカバー。なぜかワルツが独奏版と連弾版の2種類の録音があり、ハンガリー舞曲はブレンデルと連弾している。

Walter Klien plays BrahmsWalter Klien plays Brahms
(2004/10/26)
Walter Klien

試聴する(米国amazon)


最初の《ヘンデルの主題による変奏曲》はちょっと金属的な音がするし(でも響きが繊細に変化しているくらいはわかる)、フォルテでは音が割れる。下手にエコーがかかっていないので、デッドな感じはするけれど、わりと聴ける音。
演奏の方は優雅で軽やか。和音の連続移動でも、打鍵が歯切れ良い。ブラームス特有の厚みのある和声の重みはあまり感じないけれど、速いテンポでリズム感も良い。
第3変奏はモーツァルトのようにメルヘンのような可愛らしさ。短調でもそれほど哀感が強くなくて、どこかしら明るさがある。
どことなくモーツァルト風のブラームスを聴いているような気がしないでもないけれど、とても生き生きとした表情と夢見るような詩情がとても魅力的。

とっても暗いので苦手な《シューマンの主題による変奏曲》は、哀しげではあるけれど陰鬱さはなくて、優しく明るさを感じてしまう。涙がこぼれ落ちてくるようなカッチェンの演奏とは全然違って面白い。この曲だけは、なぜか音質がわりと良い。

ワルツのソロは、和音移動のフォルテが力が入ってしまうせいか、強すぎるて音割れがひどいし、響きにエコーがかかったような感じがする。実際のピアノの音はずっと綺麗に違いないとは思うけど。
これも演奏自体は、フォルテがやたら強いのを除けば、弱音で弾くところはとても柔らかくて子守歌のように優しい。有名な第15番のワルツや最後の第16番は、ゆったりと穏やかでまるでまどろむような感じ。
この曲だけに限らず、クリーンのフォルテは、弱音の表現の繊細さに比べて、かなり強打で荒っぽい感じはする。どちらかというと、PPPの表現の美しさを味わうべきという気がする。

ワルツとこの後に収録されている録音(Disc2-4)は、音ががらんどうの中で響いているようにエコーし、音割れもかなりあって、やっぱり音質はかなり悪い。
そのなかでは、《6つの小品 Op.118》は多少マシで、《4つのバラード》はかなりマシ。

Disc5の《ハンガリー舞曲》になると、今度はフェルト1枚をはさんだように音が篭もりがちで、音も金属的。最後のワルツの連弾はまた音が空間のなかでエコーしている。
まとめて録音してはいなかっただろうが、あまりに音が悪さとばらつきがひどいので、一体どういう環境と設定で録音(とリマスタリング)したんだろうかと不思議な気がする。

ゆっくりとしたテンポの弱音主体でさほど和声の響きの厚くない曲を聴くのが、音質の点でフラストレーションをまだしも強く感じずにすむ。有名な小品では、《3つの間奏曲 Op.117》の第1曲と第2曲のIntermezzo、《6つの小品 Op.118》の第2曲インテルメッツォと第5曲ロマンス、《4つの小品 Op.119》の第1曲と第2曲のIntermezzo(これは音はちょっと悪いけど)と《4つのバラード》あたり。
クリーンのブラームスは、柔らかく明るめの弱音の響きと細やかな表現で、夢見るような優しい情感や心のひだが伝わってくるようで、音質がもっとよければと思えるところがとても残念。

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yoshimi

Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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