コロリオフ ~ バッハ/ゴルトベルク変奏曲 

2013, 02. 15 (Fri) 18:00

大久保賢さんのブログ<Le plaisir de la musique 音楽の歓び>で、コロリオフに関する記事”リゲティお気に入りのピアニスト””コロリオフに悩殺される” を読んで、そういえば、コロリオフの《ゴルトベルク》のCDを持っていたのを思い出した。

コロリオフのバッハ録音はとても評価が高いので、《インヴェンションとシンフォニア》、《平均律曲集(第1巻)》、それに《ゴルトベルク変奏曲》のCDは買ったけれど、最近はベートーヴェンモードに入っていたので、バッハはほとんど聴いていない。
コロリオフのディスコグラフィをHMVで確認すると、3月にはベートーヴェンのピアノ・ソナタ第28番&ハンマークラヴィーアのCDがリリース予定だし、バッハの編曲集をTACETから出していたので、両方とも聴きたくなってきた。

今まで聴いたゴルトベルクで好きなのは、(たぶんほとんど知られていないはずの)マルクス・ベッカーのスタジオ録音、ソコロフとカニーノのライブ録音。
コロリオフのゴルトベルクは、彼らの録音とはまた違った方向。
久しぶりにコロリオフのゴルトベルクをYoutubeで聴いてみると、このゴルトベルクはとっても素敵。
なんだかとても気持ちが落ち着いてくる。以前CDで聴いた時はそう思わなかったのに、どうしてだろう?

Aria and Variations 1 - 2 Evgeni Koroliov 2009


冒頭の主題から、深く思索に耽っているような静けさと穏やかさがとても心地良くて、第9変奏や第18変奏などはそっと寄り添って語りかけるように優しい。
コロリオフは、線が太くて弾力のある芯のある音で、全ての声部の縦と横の線がくっきりと明瞭に浮き出ている。
建築物のように曲の骨格ががっちりと堅牢で、すっきりと見通しの良い構成感があり、時々挿入する装飾音も過剰に凝ることなく嫌味なところがなくて、ピリリとスパイスの利いたような歯切れ良さが、とても小気味良い。
煌びやかさはあまりないけれど、落ち着いた音色と色彩感で明晰な音は、飾り気のないアコースティックな趣き。
ノンレガートでも、ゴツゴツとした丸みと柔らかい音なので、クリスピーで尖ったところはなく、フレージングも滑らか。
急速楽章でもそれほど速いテンポをとらないので、外面的な技巧の切れ味よりも、それぞれの声部の動きと絡み合いをしっかりと聴かせてくれるポリフォニックな演奏がとっても面白い。

CDも聴き直したけれど、DVDとCDの演奏ではちょっと違う。
CDの方がほんの少し残響が長く音にも輝きがあり、全体的にテンポが速いので(第5変奏はかなり速い)、音の切れも良く、左手低音部は弾力のあるリズミカルなタッチ。演奏にも勢いと躍動感があり、第1変奏を聴くだけでもその違いがよくわかる。
DVDのライブ映像は、急速系の変奏でもそれほどテンポが速くないことが多く(第9変奏などかなり速いこともある)、タッチもCDのような切れの良さは控え目で、丁寧だけれどほど良い軽やかさがある。
残響が少ないので音がクリア。同じ部屋で聴いているような間近い距離感があり、親密感も濃い気がする。こちらの演奏の方が私の好みには合っているみたい。

でも、CDもDVDもポリフォニックな構造がよく演奏というのは同じ。
CDの緩徐系の変奏もまったりした内省的な雰囲気が漂い、よく聞けば聴くほど、CDの演奏も風通しの良い爽やかさが気持ち良くて、そんなに好みと合わないこともないように思えてきた。


Bach: Goldberg Variations, BWV 988Bach: Goldberg Variations, BWV 988
(1999/01/01)
Evgeni Koroliov

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ライブ映像を見ると、コロリオフはピアニストというよりも、学者さんのような容貌と雰囲気。
演奏を聴くと、良く研究しているんだろうなあという感じはひしひしとするので、学級肌タイプなのかも。

Goldberg Variations (Ws Ac3 Dol Dts) [DVD] [Import]Goldberg Variations (Ws Ac3 Dol Dts) [DVD] [Import]
(2008/11/18)
Evgeni Koroliov

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