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ホルショフスキ ~ バッハ/イギリス組曲第2番
ホルショフスキーを聴くなら、やはりバッハ。ホルショフスキの教えを受けたことのあるペライアは、"he played Bach like he was composing it." と言ったという。

ホルショフスキのライブ録音を集めたのが、この『バッハ・リサイタル』。
ソロ・リサイタルのライブ録音は、プラド音楽祭、オールドバラ音楽祭、シャンゼリゼ劇場、カザルスホール、ウィグモア・ホールなど数種類が出ている。(すでに廃盤になっているのもある)

この『バッハ・リサイタル』は、パルティータ第5番だけが1958年ローマ、他の曲は1983~86年にイタリアTuscany地方の人里離れた山間の村Castagno d'AndreaにあるSan Martino教会で行われたリサイタル。
ホルショフスキは登山家でもあったので、この村にはよく訪れていた。教会の音響やピアノも気に入っていたし、Brezzi神父とも仲が良く、神父に招かれて度々リサイタルを行っていた。
Brezzi神父は一連のリサイタルを子孫のために残しておこうと考え、個人的に一人で録音していた。(いわゆる私家版録音というのに近い?)


《収録曲》
 イギリス組曲第2番 BWV.807(1984年録音)
 プレリュードとフーガ BWV.875(平均律クラヴィーア曲集第2巻~第6番)(1985年録音)
 パルティータ第5番 BWV.829(1958年録音)
 パルティータ第2番 BWV.826(1986年録音)
 前奏曲とフーガ イ短調 BWV.543(リスト編)(1983年録音)

Bach RecitalBach Recital
(1998/06/23)
Mieczyslaw Horszowski

試聴する(米国amazon)

プロの録音エンジニアがいないにしては、音質にばらつきはあるけれど、全然悪い音ではない。ライブ特有の聴衆のノイズも少なくて、教会特有の長めの残響でピアノがとても美しく響いている。(ただし、平均律だけは録音状態が悪くてデッドな音)
パルティータ第5番だけがモノラル録音。残響が短いが、1958年と古い録音にしては音質はとても良い。


イギリス組曲第2番 BWV.807 (作品解説<○○| XupoakuOu>)

最初はプレリュード
ここをノンレガート主体にモノトーンなタッチでバリバリ弾いているのを何回か聴いたことがある。
こういうタッチは威圧的に感じられて,ちょっとどうかな..という気がするので、ホルショフスキのようなレガートと響きの変化を交えた弾き方の方が私にはずっと良い。
それに、教会特有の残響で、ノンレガートの尖った音が中和され、レガートは柔らかく響いて、フォルテとピアノのコントラストのバランスもよく、荘重で輝きのあるプレリュード。

続いて、ホルショフスキのしっとりとした音のピアノが教会に静かに鳴り響き、もの哀しげな叙情を感じさせるとても美しいアルマンド。曲想とピアノの響きがこれ以上はないくらいに良く合っている。

クーラントは力強く生き生きと躍動的。ホルショフスキがクーラントを弾くときは、軽やかなタッチではなく、いつも一音一音をしっかりしたタッチで歯切れ良く弾いている。

サラバンドもアルマンドと同じく、叙情的な美しい旋律。アルマンドよりもさらに静謐な曲。
サラバンドには、珍しく2種類の楽譜が記されている。2つ目の楽譜には装飾音的なフレーズがびっしり書き込まれているけれど、ホルショフスキは最初の楽譜だけを演奏している。(シフの演奏を聴くと、リピート時に2番目の楽譜の方を弾いていた)(この2つの楽譜の位置づけは、上記の作品解説サイトを参照してください)

曲想が一転する最初のブーレⅠは、速いテンポで切れ味もよく、音に弾力があって追い込むような勢いのある躍動的なピアノ。
1987年のカザルス・ホールのリサイタルよりも3年近く前の演奏のせいか、指回りもずっと良く、これが92歳のピアニストの演奏とは思えないくらいに鮮やか。
ブーレⅡは、軽やかにダンスをしているように、明るく柔らかいタッチ。

終曲のジーグは、ブーレの勢いをそのまま受け継いだように力強く始まる。すぐに弱音の柔らかいタッチに変わって、装飾音はまるで小鳥がさえずっているかのよう。

この教会で弾くピアノの響きの美しさは格別。
ホルショフスキの水気を含んだようなしっとりとした音は、フォルテでは朗々と鳴り響き、ピアノではまろやかに透きとおるように美しく響き、このピアノの音を聴いているだけでも清々しい気がしてくる。

tag : ホルショフスキ バッハ

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
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