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レオンハルト ~ バッハ/イギリス組曲
苦手意識のあったイギリス組曲も、良い演奏に出会えば、フランス組曲よりもはるかに聴き応えがあったので、このところ聴いているのはイギリス組曲。

フランス組曲はもっぱら第5番、たまに第6番を聴くくらい。イギリス組曲の方は、短調の2番、3番、5番、6番はもちろん、長調の1番と4番も、どれも繰り返し聴きたくなる。
手持ちのイギリス組曲の録音を聴きなおしたり、良い録音はないかといろいろ調べたりしていたら、いつの間にかイギリス組曲のCDが急に増えてしまった。

ピアノ版のイギリス組曲の全曲録音はかなり少ない。
曲単位なら好きな演奏も見つけやすいけれど、選択肢が限られている全曲盤はぴったりくるものがなかなか見つからない。
名の知られたピアニストの全曲録音なら、グールド、シフ(スタジオ録音とライブ録音)、ペライア、レヴィン、ヒューイット、リュプサム、フェルツマン。
このなかでなら、ノンレガートでも柔らかいタッチのシフか、流麗で音の綺麗なヒューイットがわりと好みに合う。
アンデルジェフスキは6番しか録音していないし、5番はライブ放送で聴いたのみ。全曲録音してくれれば間違いなくマイベストになるに違いないけれど、全集ものを録音する人ではなさそう。

ピアノ版の全曲録音でベストと思えるものが見つからないので、あまり聴かないチェンバロの録音も聴いてみた。レオンハルトの旧・新録音、アスペン、ルセ、曽根麻矢子と試聴したなかで、レオンハルトの新録音が、少し聴いただけで全曲聴きたくなったほどにしっくりとくる。
音と奏法が好みに合えば、楽器がピアノだろうがチェンバロだろうがどちらでも良くて、どの奏者と奏法を選ぶかの方が問題。
ピノックの2度目のパルティータ全集がぴったり好みに合ったので、チェンバロ協奏曲、ヴァイオリンソナタのCDも揃えているのに、イギリス組曲は録音していなかった。これは残念。

レオンハルトのイギリス組曲は、1973年の旧録音(SEON盤)と1984年の新録音(Virgin盤)の2種類がある。
旧録音は、音も奏法も全然合わなかったけれど(こっちの方が定番なのかもしれない)、新録音はチェンバロの音もまろやかで深みのある綺麗な音だし、奏法もルバートや装飾音がそれほどかかっていなくて流れが滑らか。荘重さと流麗さが溶け合っているのが、イギリス組曲によく映えている。
チェンバロを聴くときは、装飾音やルバートが少なくなるべくインテンポに近い演奏を選んでいるので(こういうタイプは少ないような気はする)、このイギリス組曲はとっても自然に聴ける。

ついでに見つけたクイケンとのバッハのヴァイオリンソナタ全集。
この曲集はとても好きなので、良いと思った録音は集めることにしている。
試聴しただけでこれも素晴らしく思えたし、レビューもとても良かったので、結局、イギリス組曲とヴァイオリンソナタ全集の両方をオーダー。

Bach:English SuitesBach:English Suites
(2003/01/24)
Gustav Leonhardt

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こちらはパルティータ全集とイギリス組曲全曲とのカップリング盤。パルティータの奏法はどうも好みと合わなかったので、こちらはパス。
J.S. Bach: English Suites; PartitasJ.S. Bach: English Suites; Partitas
(2004/10/20)
Gustav Leonhardt

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イギリス組曲の全曲盤を探すときは、一応全曲試聴はするけれど、決め手は第5番と第2番の第1楽章。この2曲が良ければ、他の曲もほぼ良いと思えるので。

レオンハルトの新録音は、特に第5番の第1楽章が素晴らしく、イギリス組曲の中ではもっとも好きなこの曲が良ければ、迷うことなく決めてしまう。
チェンバロは、ルーアンのNicolas Lefebvreによる1755年製のものを、ブレーメンのマルティン・スコヴロネクが1984年に復元(というのだろうか。”Restore”と書かれていたけど)した楽器。
金属的な音のするチェンバロ(モダン?、折衷型?)とは違っていて、このチェンバロの音はまろやかで、華やかさもあって、とても綺麗な音がする。

第5番を聴くなら、ピアノならホルショフスキのライブ録音。
それ以外のピアノ版の録音は、イメージとぴったり合わないところがあって、このレオンハルトのチェンバロを聴く方がずっと良い。チェンバロ独特の残響が美しく、華麗さと荘重さに加えて、リズミカルな疾走感が爽快で、こういうタッチの演奏は、ピアノではなかなか聴けない。
楽器の違いと奏法の違いが相まって、同じ曲でもまるで別の曲のように聴こえる。
チェンバロとピアノの両方で気に入ったものを聴くと、楽器と奏法の違うのでいろいろ発見があって面白さも倍増する。

第2番のプレリュードは、ピアノではモノトーン気味のタッチでいかめしくバリバリ弾いているのをよく聴くので、どこか違和感があった曲。チェンバロだと低音の響きが柔らかくて優雅さもあり、聴きたかったイメージとぴったり。
第2番と第5番以外の曲もいずれも聴き惚れてしまって、チェンバロの演奏をここまで繰り返し聴いたというのは、我ながら珍しい。

ただし、ずっとチェンバロの音を聴いていると、弦をつまはじく弾力のある音が耳には疲れるようで、アンデルジェフスキのピアノの音に変えると、ベルベットのように柔らかく耳に心地良くて、ほっと一息。まるでゆりかごの中で揺られているような安心感があるのは、やっぱり子供の頃からピアノの音を聴いてきたせいなんでしょう。

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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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