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クルシェネク/ピアノ作品集
ころころと作風が変遷したことで有名なクルシェネク。ピアノ作品は現代音楽の作曲家にしては結構多い方だと思うけれど、まとまった録音があまりなく、有名な録音は(たぶん)グールドのピアノ・ソナタ第3番。
このピアノ・ソナタを聴いて、あまりとっつきの良い作曲家ではないと思ってしまったので、以来聴くことはないまま。

たまたま同じドイツの作曲家ハルトマンのピアノ作品集の紹介文に、”クルシェネクに似ている作風...”とか書かれていたので、ちょっと聴いてみたくなった。(でも、ハルトマンとクルシェネクと両方聴いてみたら、あまり似ている気はしなかったけれど)

どの曲も音の密度が比較的高く、元気に動きまわる躍動的な曲や、歌謡性が強くない旋律でも無機的なところは無く表情がわりとついているので、ドイツ系の現代音楽にしては難解さや堅苦しさは希薄。

クルシェネクのピアノ作品集はいくつか出ていて、作風の変遷がわかるように、初期~晩年の代表的な作品を時代別に選曲している。
たしかにいろんな時代の作品を聴くと、その時代に流行った作曲技法で書かれているような印象があって、作風が全く違うところが面白い。どの曲も聴きやすいけれど、構成がかっちりしていて、いろんな曲想が聴けるピアノ・ソナタと変奏曲はかなり面白く、好みにぴったり。

ケルバーのCapriccio盤。初期~晩年までかなり作風の違った曲を収録。
Ernst Krenek: KlavierwerkeErnst Krenek: Klavierwerke
(2004/01/01)
Till Alexander Korber (ピアノ)

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ピアノ・ ソナチネ/Piano Sonatina, Op.5,No.1
調性的に安定したとても可愛らしいソナチネ。第1楽章ではドビュッシーの《子供の領分》にちょっと似た感じの旋律も出てくるし、全楽章とも和声が綺麗でリズム感や旋律も軽妙なところは、ドビュッシーを聴いているような気分。

3楽章による12の変奏曲/12 Variations in 3 Movements, Op.79
これは十二音技法で書かれた曲。たぶん演奏が良いせいだろうと思うけれど、あちこち飛び回る音でつながる旋律に生き生きとした表情と叙情感があって、シェーンベルクのピアノ曲よりは聴きやすい。
Adagioの第6変奏やAllegro assaiの第9変奏とかは、少しベルクのピアノ・ソナタに似た感じがする。

オーストリアからのこだま/Echoes from Austria Op.166
調性が安定した開放感のある明るい曲。旋律もメロディアスで牧歌的な穏やかさが心地良く、《George Washington Variations》といい固有名詞のついた作品は、他の曲とはかなり肌合いが違う。

11のピアノ小品/Piano Pieces,Op.197
これも十二音技法の作品。《3楽章による12の変奏曲》と似た躍動的な曲が多い。音だけが並んでいるような無機的な感じが少し強く、叙情感がやや薄い気はする。

ピアノ・ソナタ第7番/Piano Sonata No.7,Op.240
第2~4番のソナタとはかなり作風が違って、幻想的な和声の響きが印象的。少しクラムの曲に似た響きがする。


コルツェフのPhoenix Edition盤。ピアノ・ソナタが2曲入っているのが良いところ。
Ernst Krenek: Piano Sonatas Nos. 2 & 4; George Washington Variations; Echoes from AustriaErnst Krenek: Piano Sonatas Nos. 2 & 4; George Washington Variations; Echoes from Austria
(2008/08/26)
Mikhail Korzhev (ピアノ)

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5 Piano Pieces, Op. 39
曲によっては多少ドビュッシーに似た雰囲気はするけれど、《ピアノ・ ソナチネ》よりもそれはかなり希薄。
不協和的な和声が多く、旋律の歌謡性も低くなり、より現代的なタッチ。それでも結構聴きやすいタイプの曲。

Piano Sonata No. 2, Op. 59
この曲はモダンでジャズ風な雰囲気がとても面白くて、聴いていて楽しいピアノ・ソナタ。
第3番と第4番のピアノ・ソナタとは全く違った作風で、グールドの第3番の録音のイメージが強かったので、初めはちょっと混乱してしまった。
第1楽章はベルクのピアノ・ソナタをジャズ風にしたような曲で、なぜかムード音楽的な雰囲気がする。
第2楽章は行進曲風でやや勇ましいタッチで、こっちはジャズ風プロコフィエフとでも言えば良いのか...。
第3楽章は、音があちこち飛び跳ねて、とても軽快で楽しげ。調和的でモダンな和声は、新古典主義時代のストラヴィンスキーのピアノ曲を連想させるところがある。(ストラヴィンスキーの曲に似たフレーズも出てくるし)

Piano Sonata No.4,Op.114
この時代になると十二音技法になって、ちゃんと現代音楽風。《3楽章による12の変奏曲》と同じように、表情豊かで聴きやすい曲。
音があちこち飛び跳ねて、旋律には歌謡性はないけれど、リズミカルな躍動感があり、和声もそれほど不協和的ではなくて綺麗なので、全体的に無機的なところは希薄。
緩徐楽章の第2楽章と第4楽章も相変わらずリズミカルで、乾いた叙情感が美しい。

George Washington Variations, Op. 120
主題の”Washington's Grand March”と第1変奏の”The same elaborated upon”は完全な調性音楽で軽快な行進曲風で明るく快活。
変奏が進むにつれ、段々調性が曖昧なところが多くなり、”Battle Music”はかなり調子の外れてちょっと可笑しな雰囲気。
”Elegy”はそれほど哀感が強くない乾いた叙情感、"The Chase(a canon)"も調子はずれの軽妙さが面白く、”Sarabande”はやや沈鬱。
”Grand Finale”は再び行進曲風。冒頭のような楽天的な明るさと調和的な雰囲気はなく、不協和的が混在したモダンなタッチ。さすがに最後は安定した調性に回帰して勢い良いエンディング。

Echoes from Austria, Op. 166 オーストリアからのこだま Op. 166

Kleine Suite, Op. 13a: VI. Foxtrott
これは普通に明るいフォックストロット。
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Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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