ミッコラ ~ ラウタヴァーラ/ピアノ協奏曲第1番 

2010, 05. 26 (Wed) 18:00

ラウタヴァーラの書いたピアノ協奏曲は今のところ3曲。
第1番はラウタヴァーラ自身が演奏するために、第2番はピアニストのラルフ・ゴトーニの委嘱、第3番はアシュケナージが自ら弾き振りするために委嘱。

いずれも、ピアノ協奏曲らしくピアノパートはとても技巧的で華やか。
ソリストは弾くのが大変だと思えるほどに緩徐楽章以外は、ほとんど休むことなく指が目まぐるしく鍵盤上を駆け回って、かなりの指回りの良さと筋力の持久力がないと、すっかり腕がだるくなってしまいそう。

この中で比較的有名なのは、アシュケナージが委嘱した第3番かもしれないけれど、そもそもラウタヴァーラのコンチェルト自体がそれほど知られていないので、あまり違いがない気もする。

第1番は3曲のなかでは一番前衛色が強い方ではあるけれど、それでもかなり聴きやすいコンチェルト。
最も構成がシンプルで明確、緩急が絶えず交錯してメリハリがきいているし、ピアニスティックな技巧が華やかで、厚みのある響きも幻想的。
北欧の雄大な自然の姿をイメージさせるような描写性と、清々しく透明感を感じさせる叙情性もあって、第3番と同じく好きな曲。

このコンチェルトの録音は、ゴトーニとミッコラの盤があり、ミッコラの演奏はタッチが柔らかくて響きがまろやかでファンタスティック。華やかさがあって、叙情感も強め。
ゴトーニは、タッチがシャープで力強くてとてもパワフル。響きはクリアで綺麗だけれど、ちょっとゴツゴツしているのでアルペジオの流麗さがもう一つ。第3楽章はリズムがとても鋭くて軽快。全体的にこの曲のもつ力強さや激しさがよく出ている。なぜか和声の響きがあまり綺麗に聴こえてこない気がするけれど。

ミッコラは、ラウタヴァーラのピアノ作品集も録音していて、これがかなり良かったので、このコンチェルトはミッコラの演奏で。

Rautavaara: Cantus Articus; Piano ConcertoRautavaara: Cantus Articus; Piano Concerto
(1999/03/09)
Hannu Lintu (Conductor), Royal Scottish National Orchestra, Laura Mikkola (Piano)

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ピアノ協奏曲第1番 Op.45 (1969年)

ラウタヴァーラ自身による解説によると、このコンチェルトは...
-とても個人的な作品。極めて個性的な(idiosyncratic)な技法で書かれており、自ら何度もオーケストラと演奏した曲。
-当時、ピアノ音楽の主流だったセリエル音楽の厳格なアカデミックな構造が、生気のない音楽だとしか思えず、失望していた頃に書いた作品。
-このコンチェルトでは、音の審美的な表現と、グランドスタイルな鍵盤技術へと立ち戻ってみた。
-ポスト・モダンが流行する前に作られたポストモダニストの作品とも言える。

第1楽章 Con grandezza
冒頭はpalm clustersが使われて、アルペジオを背景に不協和音が鳴り響くが、それなりにメロディアスな旋律になっているという、アンバランスなところが面白い。オケの伴奏も波のようにうねりと厚みのある響きがダイナミック。
中間部に入ると、ややテンポが落ちてピアノが弱音で弾く綺麗な響きの旋律が現われては消えていく。間に度々フォルテの旋律が差し挟まれ、波が大きく打ち寄せては、すっと引いて行くような緩急の交代が激しい。
再現部ではforearm clustersになり、アルペジオで支えられて、最後はフォルテでおおらかに歌うように締めくくる。
クラスターや不協和音がふんだんに使われているわりに、旋律自体に叙情感があり和声がそれほど歪んだ響きではないせいか、北欧の自然のダイナミックさや、清々しく瑞々しい透明感を感じられて、とてもファンタスティック。

第2楽章 Andante (ma rubato)
美しく舞うような幻想的なアルペジオと、力強い和音による旋律とが交代して現われて、静かで広大な湖の風景が思い浮かぶような曲。
冒頭は静かに始まるが、絶えず静と動の動きが交錯しつつ、クライマックスへ向かって徐々に拡大するように、音の厚みが増していく。
最後は不協和な和音がガンガンガンとなってから、弱音の和音とアルペジオが余韻のようにキラキラと瞬いて終る。

第3楽章 Molto vivace
冒頭は、再び不協和な音がガンガンガンと鳴るプロローグ。
続いてやや穏やかに低音域中心の旋律が始まるが、徐々に階段を一歩一方上っていくように高音域へ上行して、同時に音も増えて加速していき、躍動的で広がりのある。
ラウタヴァーラの作品でよく使う3+2+3拍子という変拍子がここでも使われている。
前の2つの楽章のような幻想的なアルペジオはあまり使われず、明確な輪郭をもった同一パターンの音型が変形されつつ全編に現われ、カデンツァになるとこのパターンが融解し、拘束から解放されたような舞曲になるところが華やか。
3分くらいの短い楽章で、構成自体もかなりシンプル(ちょっとミニマル的?)。クライマックスへ向かっていく盛り上げ方が上手いので、リズミカルで高揚感のある曲になっている。

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