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フェルツマン ~ バッハ/パルティータ第2番
パルティータの第2番は、初めてアラウの演奏で聴いて、悲愴感が強すぎて繰り返して聴く気になれなかった上に、アンデルジェフスキのライブ録音の演奏がどうもしっくりこないので、この第2番は敬遠していた。

最近、CDラックで眠っていたソコロフの録音を聴いてみたら、これが素晴らしく、今では最も好きな(だった)第1番よりも気に入っている。
聴いても良いと思う曲は、だいたい弾いていても楽しい。第1番よりも第2番の方がちょっと込み入っていて飽きないし、RondeauとCapriccioはリズムや持続音の響きが面白くて、平均律よりもずっと集中して練習できる。

この2番のパルティータの録音は、他にフェルツマン、ペライア、ホルショフスキ、グールド、シフ、チェンバロならピノック、シュタイアーとかを聴いたけれど、好みに合うのはソコロフに加えて、フェルツマンとホルショフスキ。
クセの強くない自然な流れのホルショフスキと違って、フェルツマンは流麗ではあるけれど、色彩感と軽やかなノンレガートのタッチが独特。ブラインドで聴いてもフェルツマンの演奏だと間違いなくわかる。

Bach: Six PartitasBach: Six Partitas
(2007/06/11)
Vladimir Feltsman (Piano)

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フェルツマンの線の細い色彩感の豊かな響きと、ノンレガートなのに全くクリスピーさを感じさせない流麗な旋律の流れが、この短調のパルティータにはとても似合っている。
全体的に音の響きの美しさで構築されたような世界なので、あまり感情的なものを感じさせないせいか、あっさりとした叙情感がさらさらと流れていくようで、とても心地良い。
装飾音がかなり多く、それも凝っていて独特なものがあって、いつものことながら、フェルツマンのバッハは好みがかなり分かれるタイプ。

<I. Sinfonia>の冒頭は、かなり独特な装飾音(というか旋律自体が装飾されているような)。華麗で荘重、それに淡い悲愴感が融合したような弾き方。
序奏が終ると、ノンレガートの軽やかでリズミカルさで、とてもさらりとした哀感のある旋律。後半のフーガは、飛び跳ねるように歯切れ良いタッチに変わるが、フェルツマンのノンレガートには柔らかさがあるので、耳ざわりがとてもよい響き。

<II. Allemande>は、レガートとノンレガートが混在し、旋律の流れがとても流麗。対照的に、<III. Courante>は、軽やかなリズム感で、まるで舞うようなダンスを聴いているような感じ。

<IV. Sarabande>は、ソコロフで聴いた時はゆったりしたテンポの弱音が瞑想的で、内面に沈潜していくようなな曲だったし、他の録音でも同じような方向の弾き方が多いので、そのイメージが強かったけれど、フェルツマンはちょっと違った雰囲気。
さほどテンポを遅くせず、温もりを帯びた弱音が優しく響いて、短調の曲なのに、なぜか明るささえ感じてしまう。

<V. Rondeau>は、この曲の中では最も好きで、弾いていても楽しい曲。
フェルツマンはほとんどがノンレガート。きびきびとしたリズム感と、歌うように流れていく旋律のバランスが。

終曲の<VI. Capriccio>は、ソコロフのような力強く迫ってくるような荘重さはないけれど、数度はなれた音で組み合わされた2音のアクセント(全編に渡って、いろんな2音の組み合わせでこだまのようにエコーしている)が、強すぎず弱すぎずほどよく利き、声部が錯綜していても色彩感が強いせいか、横の線の動きが自然に分かれて聴こえてくる。

かなり独特の奏法で弾かれたパルティータではあるけれど、色彩感豊かな硬質の音の世界は魔力的の美しさ。
音の魔術師のようなミケランジェリの冷えた響きとは違って、フェルツマンの音には温もりと明るさがあり、くるくると変わっていく表情が実際に目の当たりに浮かんでくるようで、いつ聴いても煌くように魅力的。

tag : バッハ フェルツマン

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
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