ラウタヴァーラ/ピアノ協奏曲第2番

現代フィンランドを代表する作曲家の一人であるラウタヴァーラが書いたピアノ協奏曲3曲のなかでは、アシュケナージが録音した第3番が(たぶん)一番有名。
最もとっつきの悪いように思える第2番は、第1番を作曲してから20年後に書かれた曲で、ピアニストのラルフ・ゴトーニによる委嘱曲。

ラウタヴァーラの解説では、第2番は旋律が全音階・半音階で構成され調和的な語法。
セリーの技法が使われているが、12音技法の音列によって再規則化(reorder)されているので、この曲の実質的な作曲技法が何かは断定できない。
アタッカで3つの楽章が連続して演奏される。(聴いていても楽章の切れ目は一応わかる)

前衛的な第1番の方が構成も旋律もはるかに明確で、旋律の叙情感やリズム感があって、緩急・静動のメリハリもよく利いていた。
それに比べるとこの第2番は、方向性のない音の塊が錯綜しているようなところがあり、構成はかなりつかみにくく、さらに曲想もかなり重苦しく鬱々しているので、3曲のなかでは一番聴き辛いかも。
といっても、調性音楽ばかり聴いていると、こういう不協和的でゴツゴツと荒々しい曲を聴くと、感性的にリフレッシュされる感覚があるので、それが逆に新鮮だったりする。

第1楽章 Viaggio
冒頭は、断片的なフレーズのオーケストラとは対照的に、細波のようなピアノのアルペジオ。オケはいつもながら自然のうねりを感じさせるように雄大。
左手ピアノは細波のように延々と続き、右手はパッショネイトな旋律。
オケはときどきカントゥスアルティクスを連想させるような鳥の鳴き声や風の咆哮のような変わった音が入っている。
第1番に比べて、より変幻自在というか、音のタペストリーが浮遊するように流れていく。

Einojuhani Rautavaara Piano Concerto N°2 1st mvt



第2楽章 Sognando e libero
ピアノパートは一転してかなりシンプルな音で構成され、ピアノが少し休止している部分では、弦楽や木管が穏やかな響きでエコーし、やや不安感を感じさせる雰囲気。
旋律の動きからいえば静寂なはずだけれど、響きがカラフルなのであまり静けさは感じない。
中間部は不意にテンポが上がり、躍動的なトッカータ。
ピアノとオケが追いかけっこするようなの掛け合いが軽妙。
クライマックスへ向けて、音がかなり飛び跳ねてワイルドになっていき、不協和音が鳴り響いた後で、静かに。
再現部は、ラウタヴァーラが"Innocence"(純粋、無垢)が失われて取り戻すことができないことを示しているという通り、前半よりもずっと暗く鬱々した雰囲気が支配している。


第3楽章 Uccelli sulle passioni
冒頭はとても静寂で曖昧模糊とした雰囲気。
ピアノは、静かな湖面に水滴が落ちているような水気のある響きと、細かく散乱する音の塊を引き続け、冷えびえとした感触。
次に、弦楽とブラスがドラマティックにその雰囲気を一掃して、重たくうねるような厚みのある響きで、ピアノは激しく和音を連打する。
ゆったりと鬱々した重苦しい雰囲気のオケを背景に、脈絡がないようなピアノの音が散乱し、時折、鐘の音も鳴っている。
徐々にクレッシェンドし、最後は全てが融合するように響きが溶け合って、まるで第1楽章の冒頭に帰ったように、フェードアウト。


この曲はミッコラとゴトーニが録音している。Youtubeの音源はたぶんミッコラの演奏。
ミッコラはNAXOS盤(Eri Klas、Netherlands Radio Symphony Orchestra)
委嘱者のゴトーニはOndine盤(ユッカ=ペッカ・サラステ指揮バイエルン放送響)。


Piano Concertos 2 & 3Piano Concertos 2 & 3
(1999/02/16)
Royal Scottish National Orchestra, Laura Mikkola, Einojuhani Rautavaara, Hannu Lintu

試聴する



Rautavaara: Piano Concertos Nos. 1 & 2Rautavaara: Piano Concertos Nos. 1 & 2
(1991/7/5)
Ralf Gothoni(piano),Jukka-Pekka Saraste(condutor),Bavarian Radio Symphony Orchestra,Max Pommer(conduct),Leipzig Radio Symphony Orchestra

試聴する(米国amazon)



<関連記事>
アシュケナージ~ラウタヴァーラ/ピアノ協奏曲第3番 《夢の贈り物》
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