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ゲザ・アンダ ~ ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番
ゲザ・アンダといえば、モーツァルトやバルトークのピアノ協奏曲集が知られているのだろうけれど、ベートーヴェンもいくつか録音している。ピアノ協奏曲第1番、トリプル・コンチェルト、ピアノ・ソナタ第7番&第28番、ディアベリ変奏曲など。
アンダの録音は、フリッチャイと録音したバルトークくらいしか聴いたことがなく、もう少し聴いてみたいと思っていたピアニスト。まずはとても好きなベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番から。

このコンチェルトは1969年ケルンでケルン放送交響楽団を弾き振りしたライブ録音。放送用音源を使った初出の録音で、Auditeから出ているアンダ・エディションに収録されている。
Schweizer_Musikさんの”鎌倉スイス日記”でご紹介されていて、聴いてみたいと思っていたもの。期待どおりに素晴らしくて、これを聞き逃さずに済んだのは幸運。
ピアノの音が柔らかくて綺麗だし、フレージングの終わりとかの細部のタッチも丁寧。音楽の流れはさりげなく伸びやかなのが心地良く、優雅な品の良さもあって、これは何度でも聴けてしまう。

アンダのベートーヴェンを聴くと、なぜかバルトークも録音ももう一度聴き直したくなったし、ブラームスのピアノ協奏曲第2番(カラヤンではなくフリッチャイとの録音)も素晴らしいらしく、これも聴かないといけない。

Edition Géza Anda, Vol. 2: Beethoven, Brahms, LisztEdition Géza Anda, Vol. 2: Beethoven, Brahms, Liszt
(2008/08/12)
Géza Anda, WDR Sinfonieorchester Köln

試聴する(米国amazon)


第1楽章 Allegro
冒頭のトゥッティは、快活で伸びやかでとても大らかな自由な雰囲気。
ピアノ・ソロは、丁寧で柔らかいタッチで音が滑らかで、装飾音の優しくトロ~ンとした感じで、とても品の良い響き。
高音の響きに煌きとまろやかさがあり、ちょっと夢見るような甘い響きもして、この第1楽章はついついうっとりしながら聴いてしまった。
中間部のアルペジオのクロスリズムで始まるピアノ・ソロが、柔らかくやや霞がかったような響きが囁くように密やか。
全体的にフォルテをあまり強く響かせず、語りかけるように優しい語り口。強めの細かいパッセージが続くところは、歯切れの良いフォルテになるけれど、余分な肩の力が入っていないような気負いのなさと、柔らかくて優しい響きがする。

最後のカデンツァは、一般的に弾かれるカデンツァとは違うバージョン。
普通弾かれるカデンツァは、作曲した頃のベートーヴェンの若々しさとヴィルトオーゾらしさを感じさせるような、かなりピアニスティックで勢いのある華やかなカデンツァ。
アンダが弾いているカデンツァは、ベートーヴェンのカデンツァとは全く違った雰囲気で、技巧的な華やかさを見せるようなタイプではなく、短くてあっさり。弱音部分が多く、旋律も優しい雰囲気のものが主体なので、第1楽章のアンダのピアノのタッチにとても似合っている。
アンダはモーツァルトのピアノ協奏曲のカデンツァを自作しているので、このベートーヴェンのカデンツァも自作なのかもしれない。

第2楽章 Largo
丁寧なタッチで柔らかく温もりのある響きでとても穏やかで、心持ち速めのテンポでややさっぱりした感じの叙情感。

第3楽章 Rondo
さすがにこの楽章は、タッチが強く歯切れ良くなって、第1楽章とはちょっと違った雰囲気。
でも、勢い良く元気に弾け回っているような演奏とは違って、相変わらず丁寧なフレージングと柔らかい響きの弱音が印象的。節度のある快活さというか、やっぱり品の良さを感じさせる。
フレーズのなかに微妙な強弱をつけた小さな起伏があるので、一本調子の単調さがなく、軽やかなリズム感とさりげなく入ってくる弱音の優しい表情がとても素敵。

tag : アンダ ベートーヴェン

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
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