リスト=ヴェイネル編曲/ピアノ・ソナタロ短調(管弦楽曲版) 

2010, 08. 10 (Tue) 18:00

編曲ものは好みが分かれるらしいけれど、このジャンルはかなり好きなので、いろんな編曲パターンで聴いている。

バッハの場合は編曲パターンが多種多様なので別にして、一番聴くことが多いパターンは、管弦楽⇒ピアノソロ
一番良く聴いたのは、リスト編曲のベートーヴェンの交響曲全集。これは、リストの編曲もシチェルバコフの演奏も両方とも素晴らしい録音。
他には、ストラヴィンスキーのペトリューシュカ、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番(アルカン編曲)、バレエ音楽のピアノ組曲盤とか、作曲者自らの編曲かそうでないかに関らず、すぐに思い浮かぶくらいにかなり多い。

管弦楽⇒2台のピアノ/連弾なら、ブラームス自ら編曲した交響曲全集
ブラームスは自作の編曲が多くて、ハンガリー舞曲の場合は連弾⇒ピアノソロや管弦楽へ、弦楽六重奏曲第1番第2楽章(映画「恋人たち」に使われていたので有名な旋律)はピアノソロへ編曲。

室内楽⇒管弦楽なら、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編曲)。

器楽⇒ピアノソロなら、すぐに思い浮かぶのは、ブゾーニ編曲版バッハのシャコンヌ

そもそもピアノ独奏版への編曲ものは、パターンがいろいろあって、膨大。
リスト、ブゾーニを初めとした編曲得意な作曲者や、それ以外にも編曲を手がける作曲者が多いので、作品数も多くて、聴く曲を選ぶのに苦労する。

逆に、ピアノ独奏曲を管弦楽版に編曲した曲というのは、あまり聴いていない。
ラヴェルの《亡き王女のためのパヴァーヌ》など、小品をオーケストレーションした曲はいろいろあるだろうけれど、そういうのはさほど興味をひかないので。

たまたま見つけたのが、ハンガリーの作曲家レオ・ヴェイネル(1885-1960)が編曲したリストの《ピアノ・ソナタロ短調》の管弦楽曲版。
小品ではなく、こういう規模が大きく構造がしっかりしたピアノ・ソナタの編曲ものはほとんどないのではないかと思うので、これはかなり興味を魅かれる編曲もの。

この編曲版の録音は、今まではCAvi-musicというレーベルのライブ録音しかなかったらしい。これは、ニコラス・パスケ指揮ワイマール・フランツ・リスト音楽大学オーケストラが、2006年の第3回リスト・フェスティヴァルで演奏したライブ録音で、世界初録音。
Hungarotonから5月にスタジオ録音がリリースされ、これはコヴァーチュ指揮北ハンガリー響。

リスト:ピアノ・ソナタ(管弦楽版)、ヴェイネル:管弦楽曲集ピアノ・ソナタ(管弦楽版)、ヴェイネル:管弦楽曲集
(2000/03/01)
コヴァーチ&ミシュコルツ北部ハンガリー交響楽団

試聴する(NAXOS)


リストのピアノソロ曲のなかでは、ロ短調ソナタはわりと好きなので、管弦楽曲版で聴いてもこれはこれで楽しい。

オケだと楽器の音がカラフルで、弦楽器や管楽器の音が丸みと滑らかさがあるので、とても華麗。叙情的な主題は音色の違う楽器が、入れ代わり立ち代り弾いているので、表現は多彩。
原曲の複数の旋律をいろんな楽器パートに振り分けているので、ピアノだと埋もれがちな音や旋律まで、立体的に聴こえるのが良いところ。

気になるところは、管楽器の反応がやや鈍くて、拍子が若干ずれる感覚がする。
普通に交響曲を聴いているとそういうところは気にならないけれど、この編曲版の場合は、ピアノの演奏が記憶にしっかりインプットされているので、カッチリと縦の線が揃っていかないと結構気にはなる。
それに、管楽器のパートは音がややスカスカして、ピアノの低音の太くて硬く重厚な響きの方が良いと思うけれど、もともとピアノの音が好きなので、好みの問題のような気もする。

原曲のピアノ独奏の方が良いと思うところは、ピアノの音が硬くて圧力も強く、打鍵の反応が早くてスピード感が出るので、この曲のオドロオドロしさや急迫感が伝わりやすい。
特に、明暗のコントラストはピアノの方が鮮やかだし、強弱を変えたときの力感の違いが良くわかる。
神々しく明るい第4主題は、オケの弦楽主体の演奏よりも、ピアノで弾いた方がずっときらきらとした輝きがあって、華やかだし、和音がとても力強い。
ピアノはオケほどの色彩感は出せないけれど、ピアノの響きには透明感があって、弱音の微妙なニュアンスがよく伝わる。

管弦楽版を聴いていると、普通はピアノソロの方が色彩感や響きの厚みが不足するように思えるのに、なぜかこのロ短調ソナタは、オーケストラの演奏と比べても遜色ない(時にはオケ以上)ように感じるところがあるのがちょっと不思議。
これは演奏や編曲の問題というよりも、そもそもピアノソロの原曲自体が、オーケストラから移植したと言っても不思議でないほどにピアニスティックだから、そういう感じるに違いない。

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