*All archives*



ゴドフスキー/ショパンのエチュードによる53の練習曲集
この間ショパンのエチュードを何種類か続けて聴いているので、そういえばゴドフスキーがショパンのエチュードを編曲していたのを思い出した。
ショパンのエチュードを元にゴドフスキーが和音やら旋律やらをごってり付け加えて練習曲仕立てにした曲集で、ここまでくると編曲の域をはるかに超えている。

この練習曲集、もしかして珍曲の類になるのかもしれないけれど、おなじみのショパンのエチュードのフレーズがいろいろお化粧されて出てくるので、これはこれでとっても面白い。
原曲が頭のなかに整理されて入っていないと、なにぶん音が多いし、付加された別の旋律もいろいろ聴こえてくるので、耳と頭が混乱しそう。
頭の中で曲の構造を整理して聴くための訓練に最適ではないかと思うほどに、音楽を聴いて楽しむというよりは(楽しめないことはないけれど、音楽自体を楽しむなら原曲の方を聴きたい)、どう編曲されているのか分析するのが楽しいと思える曲。

ゴドフスキーの編曲ものは音が膨大に多くなるので、これを正確に弾こうとすると原曲よりどうしてもテンポが落ちてしまう。
さらに、音響上ペダルを掛けないといけないところは、原曲以上にいろんな音が錯綜するので、複数の旋律が錯綜して、頭のなかが混乱していく。
比較的控えめな編曲の《別れの曲》はまだ聴きやすい方だと思うけれど、こういうのは例外で、原曲にさらに別の曲が重なったような曲があったり、2台のピアノで弾いているのではないかと錯覚するような曲があったり。
左手だけで演奏している曲も20曲ほど。どうやってこの曲が左手だけで弾けるんだろうと愕然とするものがある。
ぼ~と音が流れるのを聴いていても面白いとは思うけれど、そういう聴きかたで何度も聴くには、あまりに音が込み入りすぎて、聴き疲れてしまう。

ゴドフスキーの練習曲集の全曲録音で有名なのは、アムランと古くはグランテ。
抜粋録音ならベレゾフスキーなどの録音がいくつか。
シチェルバコフもゴドフスキーのショパン編曲ものをいくつか録音いるけれど、このエチュード編曲版は未録音。

アムランを聴いてしまうと、グランテは技巧的にもたつくところはかなりあって厳しいものがある。
グランテの演奏は、複雑に入り組んだ旋律線をなるべく明瞭に聴かせようとしているらしく、テンポを落としたり、ペダリングを浅く短くして残響を短く薄くしたりしている。
音楽の流れがスムーズでなく、ぎくしゃくしているところが多くて、もたもたとした感じはするけれど、一応どういう編曲なのか概観はわかるくらいにはまとまっている。
アムランは試聴したのみ。それだけでも、クリアな打鍵とリズム感、スピード感がよく、流れが淀みなく響きも上手く整理しているのがわかって、とても聴きやすい。世評どおりのベスト盤。


これはアムランの録音。2000年度グラモフォン賞を受賞したほどに評価は高い。さすがに冒頭部分を試聴しただけでも、有り余る音で混濁しがちな曲がすっきりと聴こえる。
Godowsky: The Complete Studies on Chopin's EtudesGodowsky: The Complete Studies on Chopin's Etudes
(2000/04/11)
Marc-Andre Hamelin (Piano)

試聴する(仏amazon)



技巧的な面を考えるとアムランの録音を聴くに限るとは思うけれど、曲の概観を聴くならグランテの演奏でも聴けないことはない(と思う)。NMLには全曲登録されている。
Godowsky's Studies on the Chopin EtudesGodowsky's Studies on the Chopin Etudes
(2001/11/20)
Carlo Grante

試聴する(NML:NAXOS)

tag : ショパン アムラン

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
Secret
(非公開コメント受付中)

はじめまして♪
はじめまして。
モンサンジョンのリヒテルを検索中にこちらのブログに到達しました。
いろいろ読ませて頂いてとても勉強になりました。
私もピアノや音楽鑑賞、料理が趣味の更年期世代の主婦です。
ブログはまだ始めたばかりで、私の方は軽い話題中心です。
でも同じような趣味の方を探していて、こちらのブログには大変興味を持ちました。
岡田暁生の本や、ブレンデルの著書、モンサンジョンリヒテル。太宰や、新撰組に昔ハマったことなど、共通点もいろいろ。
取り上げているピアニストは私も好きだったり興味のある人が中心。
練習中のピアノ曲も同じものがたくさん。
そうかと思えば、お好きなピアニストには違いも・・・。フランソワは大好きですし、ハフは良く知りませんでした。お料理もベジタリアン嗜好のようですが、私はがっつり肉食系。
でも、その違いを楽しみたいと思いましたし、何よりあなたのブログは私には勉強になることばかり。
この記事のアムランのゴドフスキーも調度買いたいと思っていたCDでしたので、いわゆる読み逃げをしないで、ご挨拶をと思いました。
これからも、時々訪問させてくださいませ。
よろしくお願いいたします。
共通の話題が多いですね!
マダムコミキ様、はじめまして。
ご訪問、コメントありがとうございます。

ピアノ、お弾きになるのですね!私は高校時代まではレッスンを受けてましたが、長~いブランクの後に、趣味としてまた弾き始めました。昔よりはいろいろ考えながら弾いているし、自分の好きな曲だけに絞っているので、今の方が楽しいです。

ブログを拝見させていただきましたが、バッハ、ベートーヴェンがお好きなのですね~。私もそうです。ベートーヴェンは昔から好きなのですが、バッハは最近よく弾くし、聴くようになりました。
ショパンは今は苦手なんですが、アラウとポリーニのショパンは昔よく聴きました。今でもアラウのショパンは聴いてます。(ちょっと好みが変わってますが)

CDを聴くのは大学以来の趣味ですが、ピアニストや曲の好みはかなり変わりました。昔は聴いていたのはもっぱらツィメルマンとポリーニ。今は左のカテゴリに書いているピアニスト中心です。
私は技巧派で叙情豊かなピアニストが好きなんですが、そうでなくても好きなこともありますし、魅かれる部分がいろいろ違うのでしょうね。
アムランは選曲にこだわりがあるところが良いですね。ゴドフスキーは評判も高いですし、試聴した時も私も買おうかな~なんて思わせられたくらいです。
ハフは海外では有名ですね。日本ではなぜか知られていませんが、私が知ったのも、たまたま昔良く聴いていたブリテンのCDのピアニストがハフだったからです。

読書は昔からの趣味なのですが、歴史小説・ノンフィクション・評論ものが多いですね。音楽関係は最近良く読むようになりました。このところCDを聴くのに手一杯なので、本の方はなかなか進みませんけど。

私のブログは記録用に書いているので、感じたことや調べたことをつらつらと気の向くままに書き連ねておりますが、それでも何かご参考になることがあれば嬉しいです。

またお時間のある時にでもお立ち寄りくださいませ。
今後ともよろしくお願いします。



カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。