グレゴリー・ソコロフ 『ライブ・イン・パリ ~ シャンゼリゼ劇場リサイタル』
2010.07.05 18:00| ♪ グレゴリー・ソコロフ|
CDラックのなかに眠っていたソコロフのバッハを聴いて以来、ソコロフの録音を集めた始めたけれど、スタジオ・ライブ録音とも多くはないので、すぐに収集完了。
といっても、BOXセットを買えばほとんど揃ってしまう。以前に買った分売盤もあるので、重複したものが数枚。こういう重複CDが何十枚も溜まっているので、そのうち処分しないと...。
ソコロフのディスコグラフィで唯一のDVDは、パリ・シャンゼリゼ劇場で2002年11月4日に行われたリサイタルを収録した『Live in Paris』。
ライブ映像のDVDは何枚か持っているけれど、これは全く驚愕するくらいの素晴らしい内容。HMVの紹介文で”衝撃”と書いてあったけれど、これは誇張でもなんでもないと思えるくらい。
ソコロフはスタジオ録音・ライブ録音とも少なく、ほとんど欧州大陸でしかリサイタルをしない。(飛行機嫌いという説もあり)
若いときはロシアのオーケストラと来日したこともあるが、今となっては来日公演も期待できない。
さらに、録音に否定的なソコロフはライブ録音のリリースもほとんど許諾していないので、リサイタルがDVDで聴けるというのは本当に幸運。
Sokolov-Live in Paris(プロモーション用ライブ映像)
演奏している曲は、ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第16番第3楽章、コミタス/ピアノのための6つの舞曲、プロコフィエフ/ピアノ・ソナタ第7番第3楽章。
ピアニストのジャン=マルク・ルイサダが影響を受けたアーティストして、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーとこのソコロフを上げている。彼が言うには、ソコロフは”本当の天才”。
このDVDはルイサダもお薦め。”ベートーヴェンとプロコフィエフのソナタからアンコールのショパンにいたるまで絶品! まるで会場で聴いているような高揚感が味わえます。”
[<ジャン=マルク・ルイサダ へ“5”つの質問>(YAMAHAのホームページ)]
CDよりも音質がはるかに良く、CDを聴いた時でも凄かったソコロフの色彩感豊かな美音と演奏する姿がじっくり視聴できる。
このDVDの良いところは、リサイタル会場ではほとんど見えない指の動きや腕・上半身の使い方がしっかり撮影されていること。特に、指の動きが凄い。素早い上に、上から振り下ろすようなタッチを多用しているのにミスタッチがほとんどなく、ライブとは思えないくらいの演奏の完成度に、また驚き。
この2時間にわたるリサイタルが、(安く手に入れれば)2500円くらいで見ることができるのだから、コストパフォーマンスは抜群。
このライブ映像は、CDで聴いているライブ録音とは違い、会場で聴いているような臨場感があるし、プログラムはバラエティ豊か。ソコロフを最初に聴くなら、(私の好きな曲が多いということもありますが)このDVDはとてもおすすめ。

プログラムは5曲。
ベートーヴェン:ピアノソナタ第9番、第10番、第15番《田園》
コミタス:ピアノのための6つの舞曲
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番≪戦争ソナタ≫
色彩感の豊かな、暖かみと透明感のある硬質の美音が宝石のように煌いて、音の魅力だけでも惹き込まれてしまう。
ソコロフのピアニズムの特徴は何だろう?と考えてみると、色彩感豊かな美音とピアノが揺れるようなフォルティシモから溶けて消えてしまいそうなピアニッシモまで幅広いダイナミックレンジ、一音一音細部まで設計されたような緻密な表現、自由自在に変わるタッチ、歌う(語る)ように表情豊かな旋律、繊細さとダイナミズムが理想的にバランスされた叙情感とスケール感、というところだろうか。こういうところは聴けばすぐにわかる。若い頃は「美しく清らかな演奏」が特徴だったけれど、思索性とスケール感を備えた後年の演奏でも、やはり変わっていないと思う。さらに磨きがかかったといった方が良いかも。
何より、ありあまる技巧が音楽を生み出すための手段でしかないような表現優位の演奏というのは、こういう演奏のことだろうと思えるほどに、音楽に生気が溢れている。
ベートーヴェンは、あまりリサイタルで演奏されないピアノ・ソナタ第9番・第10番・第15番<田園>。
ソコロフは、人気のある有名な曲よりも、地味目な第4番、第16番、第28番などをリサイタルでよく弾いている。昔は後期ソナタ3曲も弾いていたが、これはCD化を許諾していない。
第9番と第10番はソナタ・アルバムに入っているので、ピアノのレッスンでよく弾かれている曲。
子供の頃にレッスンで弾いていたので良く知っているし、第9番は好きな曲なので今でもたまに弾いている。どの楽章も好きだけれど、特に第3楽章は躍動感があって弾くのも楽しい。
ソコロフが弾くと、この第9番と第10番が、まるで中期のピアノ・ソナタのようなスケール感でドラマティックな曲になっているし、第16番<田園>は、研ぎ澄まされた響きが美しく映え、田園に溢れる自然の息吹を感じさせるようなイメージ喚起力と雄大な広がりがあって、全く驚きのベートーヴェン。
ソコロフのベートーヴェンのピアノ・ソナタは4番&28番にロンド2曲とカプリッチョの録音をCDで聴いたけれど、いずれも素晴らしく思えて、ソコロフの弾くベートーヴェンとはいつも相性が良い。
コミタスの《ピアノのための6つの舞曲》は聴いたことがない。多分聴いたことがある人のほうが少ないでしょう。
現代音楽にしては静寂さの漂う叙情的な美しい旋律で、ガラス細工のように繊細な感性が感じられる音楽。音が研ぎ澄まされ、静けさのなかで張り詰めた緊張感が漂っていて、別世界にいるかのよう。
圧巻はプロコフィエフのピアノソナタ第7番≪戦争ソナタ≫。
この曲はポリーニの1970年代の録音が特に有名。第3楽章はまるで機関銃から弾丸が連射されているようで殺伐とした雰囲気があって、あまり好きな曲ではなかった。グールドの演奏を聴くと響きも綺麗でヒンデミット風の乾いた叙情感があって、ちょっと印象が変わった曲。
この曲をソコロフが弾くと、こんな美しい叙情感のある曲だったのかと、また驚き。
緩徐部分はもともと和声が美しくて叙情性がある曲だけれど、力強い打楽器的な打鍵でパワフルな両端楽章を、ダイナミズムを失わずに、これだけ表情豊かに美しく聴かせるというのはなかなか難しい。
第3楽章はテンポはかなり落として、丁寧な打鍵でリズムを明確に刻んでいるので、やや粘り気と重みがある。このリズムが無機的ではなくて、生き物のように生き生きと、目まぐるしく変化していくのがとても面白い。
細部まできっちり表情をつけていくので、音色・響きの美しさや旋律の表情がよくわかる。力強い打鍵でも色彩感を失わずに音が煌き、表情豊かな旋律はまるで歌っているよう。
高速だと音の塊のなかに埋もれてしまいがちな音符や旋律がくっきりと浮かび上がってくる。
こんな生き生きとした表情で、響きの美しいプロコフィエフの第7番は初めて聴きました。ソコロフのプロコフィエフは、”美的”という言葉がよく似合う。
ピアノソナタ第7番第3楽章(全曲)

アンコールも5曲。
ショパン:マズルカop.63-3、op.68-4
クープラン:ティク-トク-ショク、修道女モニク
バッハ/ジロティ編:前奏曲ロ短調
アンコール曲もいずれも素晴らしく、アンコールだけで合計20分くらいは弾いている。
結構無愛想な表情だけれど、サービス精神が旺盛なのか、ステージでピアノを弾くのが本当に好きなのか、いつも5曲くらいは弾いているらしい。
あまり好きではないショパンのマズルカをソコロフのピアノで聴くと、洗練された和声と濃密な叙情感がとても美しくて、意外と良い曲みたいと思い直してしまった。
でも、初期のスクリャービンがブレンドされたようなややネットリ濃厚な情感を感じるので、こういう弾き方がショパンらしいのかはどうかはよくわからない。
クープランは違ったタイプの2曲。
最初は、《ティク-トク-ショク》。[ライブ映像]
ピアノならタローの演奏で知られている(かもしれない)曲。タローのようにしなやかで柔らかいタッチではなく、ソコロフはインテンポで一見シャープでメカニカルなタッチ。そこが逆にリズミカルでユーモアもあって、明るい色彩感のある音で旋律と伴奏も歌うように表情豊かで、とても可愛らしく聴こえる。
元々はハープシコード2台で弾く曲なので、これをピアノ1台で弾くとなると、ソコロフが弾いているように、両手のポジションが同じ鍵盤上に重なってくるので、かなり難しい弾き方になるらしい。(私は弾いたことがないのでどれくらい難しいかはわかりませんが)
《修道女モニク》は、バロック風というのか、ゆったりしたテンポでとても爽やかで愛らしい曲。
特に、小鳥がさえずるようなトリルが印象的。ソコロフのトリルは、いつもおしゃべりするように一音一音を明瞭に聴かせていく弾き方なので、この曲に似合っている。
最後は、バッハ/ジロティ編《前奏曲ロ短調》。
ソコロフの澄んだ硬質の響きがよく映えて、エンディングに相応しい曲。流麗な旋律と哀感を含んだしっとりとした叙情感が素晴らしく美しくて、自分でも弾きたくなってしまう。(早速、楽譜を探しておかないと)
最初のベートーヴェンから最後のバッハまで、集中力と緊張感が漲り全く隙のない演奏なので、聴いている方も息を詰めるようにじ~と画面に見入っていた。バッハの演奏が終るとぐったり。全く驚きに満ちたリサイタルでした。
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
といっても、BOXセットを買えばほとんど揃ってしまう。以前に買った分売盤もあるので、重複したものが数枚。こういう重複CDが何十枚も溜まっているので、そのうち処分しないと...。
ソコロフのディスコグラフィで唯一のDVDは、パリ・シャンゼリゼ劇場で2002年11月4日に行われたリサイタルを収録した『Live in Paris』。
![]() | Live in Paris (2009/06/30) Grigory Sokolov 商品詳細を見る |
ライブ映像のDVDは何枚か持っているけれど、これは全く驚愕するくらいの素晴らしい内容。HMVの紹介文で”衝撃”と書いてあったけれど、これは誇張でもなんでもないと思えるくらい。
ソコロフはスタジオ録音・ライブ録音とも少なく、ほとんど欧州大陸でしかリサイタルをしない。(飛行機嫌いという説もあり)
若いときはロシアのオーケストラと来日したこともあるが、今となっては来日公演も期待できない。
さらに、録音に否定的なソコロフはライブ録音のリリースもほとんど許諾していないので、リサイタルがDVDで聴けるというのは本当に幸運。
Sokolov-Live in Paris(プロモーション用ライブ映像)
演奏している曲は、ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第16番第3楽章、コミタス/ピアノのための6つの舞曲、プロコフィエフ/ピアノ・ソナタ第7番第3楽章。
ピアニストのジャン=マルク・ルイサダが影響を受けたアーティストして、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーとこのソコロフを上げている。彼が言うには、ソコロフは”本当の天才”。
このDVDはルイサダもお薦め。”ベートーヴェンとプロコフィエフのソナタからアンコールのショパンにいたるまで絶品! まるで会場で聴いているような高揚感が味わえます。”
[<ジャン=マルク・ルイサダ へ“5”つの質問>(YAMAHAのホームページ)]
CDよりも音質がはるかに良く、CDを聴いた時でも凄かったソコロフの色彩感豊かな美音と演奏する姿がじっくり視聴できる。
このDVDの良いところは、リサイタル会場ではほとんど見えない指の動きや腕・上半身の使い方がしっかり撮影されていること。特に、指の動きが凄い。素早い上に、上から振り下ろすようなタッチを多用しているのにミスタッチがほとんどなく、ライブとは思えないくらいの演奏の完成度に、また驚き。
この2時間にわたるリサイタルが、(安く手に入れれば)2500円くらいで見ることができるのだから、コストパフォーマンスは抜群。
このライブ映像は、CDで聴いているライブ録音とは違い、会場で聴いているような臨場感があるし、プログラムはバラエティ豊か。ソコロフを最初に聴くなら、(私の好きな曲が多いということもありますが)このDVDはとてもおすすめ。



プログラムは5曲。
ベートーヴェン:ピアノソナタ第9番、第10番、第15番《田園》
コミタス:ピアノのための6つの舞曲
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番≪戦争ソナタ≫
色彩感の豊かな、暖かみと透明感のある硬質の美音が宝石のように煌いて、音の魅力だけでも惹き込まれてしまう。
ソコロフのピアニズムの特徴は何だろう?と考えてみると、色彩感豊かな美音とピアノが揺れるようなフォルティシモから溶けて消えてしまいそうなピアニッシモまで幅広いダイナミックレンジ、一音一音細部まで設計されたような緻密な表現、自由自在に変わるタッチ、歌う(語る)ように表情豊かな旋律、繊細さとダイナミズムが理想的にバランスされた叙情感とスケール感、というところだろうか。こういうところは聴けばすぐにわかる。若い頃は「美しく清らかな演奏」が特徴だったけれど、思索性とスケール感を備えた後年の演奏でも、やはり変わっていないと思う。さらに磨きがかかったといった方が良いかも。
何より、ありあまる技巧が音楽を生み出すための手段でしかないような表現優位の演奏というのは、こういう演奏のことだろうと思えるほどに、音楽に生気が溢れている。
ベートーヴェンは、あまりリサイタルで演奏されないピアノ・ソナタ第9番・第10番・第15番<田園>。
ソコロフは、人気のある有名な曲よりも、地味目な第4番、第16番、第28番などをリサイタルでよく弾いている。昔は後期ソナタ3曲も弾いていたが、これはCD化を許諾していない。
第9番と第10番はソナタ・アルバムに入っているので、ピアノのレッスンでよく弾かれている曲。
子供の頃にレッスンで弾いていたので良く知っているし、第9番は好きな曲なので今でもたまに弾いている。どの楽章も好きだけれど、特に第3楽章は躍動感があって弾くのも楽しい。
ソコロフが弾くと、この第9番と第10番が、まるで中期のピアノ・ソナタのようなスケール感でドラマティックな曲になっているし、第16番<田園>は、研ぎ澄まされた響きが美しく映え、田園に溢れる自然の息吹を感じさせるようなイメージ喚起力と雄大な広がりがあって、全く驚きのベートーヴェン。
ソコロフのベートーヴェンのピアノ・ソナタは4番&28番にロンド2曲とカプリッチョの録音をCDで聴いたけれど、いずれも素晴らしく思えて、ソコロフの弾くベートーヴェンとはいつも相性が良い。
コミタスの《ピアノのための6つの舞曲》は聴いたことがない。多分聴いたことがある人のほうが少ないでしょう。
現代音楽にしては静寂さの漂う叙情的な美しい旋律で、ガラス細工のように繊細な感性が感じられる音楽。音が研ぎ澄まされ、静けさのなかで張り詰めた緊張感が漂っていて、別世界にいるかのよう。
圧巻はプロコフィエフのピアノソナタ第7番≪戦争ソナタ≫。
この曲はポリーニの1970年代の録音が特に有名。第3楽章はまるで機関銃から弾丸が連射されているようで殺伐とした雰囲気があって、あまり好きな曲ではなかった。グールドの演奏を聴くと響きも綺麗でヒンデミット風の乾いた叙情感があって、ちょっと印象が変わった曲。
この曲をソコロフが弾くと、こんな美しい叙情感のある曲だったのかと、また驚き。
緩徐部分はもともと和声が美しくて叙情性がある曲だけれど、力強い打楽器的な打鍵でパワフルな両端楽章を、ダイナミズムを失わずに、これだけ表情豊かに美しく聴かせるというのはなかなか難しい。
第3楽章はテンポはかなり落として、丁寧な打鍵でリズムを明確に刻んでいるので、やや粘り気と重みがある。このリズムが無機的ではなくて、生き物のように生き生きと、目まぐるしく変化していくのがとても面白い。
細部まできっちり表情をつけていくので、音色・響きの美しさや旋律の表情がよくわかる。力強い打鍵でも色彩感を失わずに音が煌き、表情豊かな旋律はまるで歌っているよう。
高速だと音の塊のなかに埋もれてしまいがちな音符や旋律がくっきりと浮かび上がってくる。
こんな生き生きとした表情で、響きの美しいプロコフィエフの第7番は初めて聴きました。ソコロフのプロコフィエフは、”美的”という言葉がよく似合う。
ピアノソナタ第7番第3楽章(全曲)



アンコールも5曲。
ショパン:マズルカop.63-3、op.68-4
クープラン:ティク-トク-ショク、修道女モニク
バッハ/ジロティ編:前奏曲ロ短調
アンコール曲もいずれも素晴らしく、アンコールだけで合計20分くらいは弾いている。
結構無愛想な表情だけれど、サービス精神が旺盛なのか、ステージでピアノを弾くのが本当に好きなのか、いつも5曲くらいは弾いているらしい。
あまり好きではないショパンのマズルカをソコロフのピアノで聴くと、洗練された和声と濃密な叙情感がとても美しくて、意外と良い曲みたいと思い直してしまった。
でも、初期のスクリャービンがブレンドされたようなややネットリ濃厚な情感を感じるので、こういう弾き方がショパンらしいのかはどうかはよくわからない。
クープランは違ったタイプの2曲。
最初は、《ティク-トク-ショク》。[ライブ映像]
ピアノならタローの演奏で知られている(かもしれない)曲。タローのようにしなやかで柔らかいタッチではなく、ソコロフはインテンポで一見シャープでメカニカルなタッチ。そこが逆にリズミカルでユーモアもあって、明るい色彩感のある音で旋律と伴奏も歌うように表情豊かで、とても可愛らしく聴こえる。
元々はハープシコード2台で弾く曲なので、これをピアノ1台で弾くとなると、ソコロフが弾いているように、両手のポジションが同じ鍵盤上に重なってくるので、かなり難しい弾き方になるらしい。(私は弾いたことがないのでどれくらい難しいかはわかりませんが)
《修道女モニク》は、バロック風というのか、ゆったりしたテンポでとても爽やかで愛らしい曲。
特に、小鳥がさえずるようなトリルが印象的。ソコロフのトリルは、いつもおしゃべりするように一音一音を明瞭に聴かせていく弾き方なので、この曲に似合っている。
最後は、バッハ/ジロティ編《前奏曲ロ短調》。
ソコロフの澄んだ硬質の響きがよく映えて、エンディングに相応しい曲。流麗な旋律と哀感を含んだしっとりとした叙情感が素晴らしく美しくて、自分でも弾きたくなってしまう。(早速、楽譜を探しておかないと)
最初のベートーヴェンから最後のバッハまで、集中力と緊張感が漲り全く隙のない演奏なので、聴いている方も息を詰めるようにじ~と画面に見入っていた。バッハの演奏が終るとぐったり。全く驚きに満ちたリサイタルでした。
※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。