アラウ ~ ピアノ小品集『Libestraum』 

2011, 03. 04 (Fri) 18:00

アラウのCDを整理していると、今度はピアノ小品集を発見。こういうピアノ小品集のオムニバス版は買わないことにしているはずなのに、なぜかCDラックの中に入っていた。
買った記憶も聴いた記憶も定かではないけれど、せっかく見つけたので、夜中に聴くことに。

このCD、選曲には全然脈絡がないので、アラウがPhilipsに録音した音源の中から、作曲家別に聴きやすい曲をピックアップしたサンプラー盤みたいなもの。
《愛の夢》以外は、ほとんどが1960~1970年代の録音なので、技巧的な衰えをそれほど感じることもなく聴けるのが良いところ。

Claudio Arrau: LiebestraumClaudio Arrau: Liebestraum
(2010/06/30)
Claudio Arrau

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今は、英国のamazonでしか取り扱っていない。


曲目(CDの順番どおり)
リスト/愛の夢第3番
1989年の最晩年の頃の録音。86歳くらいのはずなのに、タッチはしっかり。同時期に録音されたベートーヴェンのピアノ・ソナタよりも、ずっと安定していると思えるくらい。
この曲はテンポがゆったりしているし、多少音の粒が揃っていなくても、ルバートがかかっているように聴こえるので、技巧的に気になることはほとんどなく、晩年のアラウ特有の透明感と親密感のある響きがとても綺麗。
”愛の夢”にしては、テンポがスローな上に、タッチに粘り気がって一音一音しっかり弾いているので、かなり重厚な感じ。丸みのある呟くような響きで旋律を歌わせるところがアラウらしい。
この曲は、中学か高校時代にレッスンで練習したので良く覚えている。リストのなかでは弾きやすい曲で、メロディもとても綺麗。

ショパン/ノクターン第17番&第18番(Op.62)
第17番は、アラウのノクターン集の中で最も好きな曲。
もともとショパンのノクターンは、子守歌としか思えないくらいに、途中で眠たくなってしまうので、まともに最初から終わりまで続けて聴いたためしがない。
アラウのノクターン全集を聴いていても、やっぱり途中でぐっすり。

ブラームス/スケルツォ(Op.4)
ブラームスの小品なら普通は後期ピアノ曲集のどれかを入れるけれど、アラウはそれを録音していなかったので、唯一録音していた小品がブラームス若かりし頃の作品《スケルツォ》。
この曲は、”微に入り細を穿ち”といいたくなるような工夫を凝らした演奏をこのところよく聴くので(面白いけれど、聴いていて疲れる)、それとは違って重厚でオーソドックスなアプローチでとっても聴きやすい。(逆に言えば、面白みはないかもしれないけれど)
アラウのブラームスなら、一番のおすすめは、クーベリック指揮バイエルン放送響とのピアノ協奏曲第1番とヘンデルヴァリエーションのライブ録音。スタジオ録音と違って、ライブが本領のアラウならではの熱気溢れる演奏が聴けます。

ベートーヴェン/ロンド(Op.51 No.2)
アラウがリサイタルでも弾いていた曲。なぜかNo.1の方は録音が見当たらない。
ヴァイオリン曲の”ロマンス”と並んで、とても穏やかで和んでしまうピアノ小品。

シューベルト/即興曲(D.899)
シューベルトはたまに1曲だけ聴くと、多少長くても飽きることなく聴けることが多い。
この即興曲はとても有名なので、シューベルトはほとんど聴かない私でも良く知っている。
ルプーの即興曲集を学生の頃よく聴いていたので、それが記憶の中に残っているらしい。
アラウのシューベルトなら長調の曲が良く似合うと思っているので、第20番のピアノ・ソナタの演奏はわりと好きな方。

シューマン/予言の鳥(森の情景より)、ロマンス(Op.28No.2)、アラベスク(Op.18)
アラウは昔からシューマンは得意のレパートリー。1941年のカーネギー・ホールのコンサートで《謝肉祭》を弾いて絶賛されてから、アメリカでのコンサートピアニストとしてのキャリアが一気に開けたくらいに、シューマンとは縁が深い。

ドビュッシー/グラナダの夕べ(版画より)、金色の魚(映像第2集より)
綺麗な音だけが並べられて鳴っているような透明感のあるドビュッシーではなく、音の背後に生命力や感情のような何かが存在しているような雰囲気がするところがアラウのドビュッシーの特徴(だと思う)。
それに、線の太めの音と厚みのある響きも独特で、透明感はなくて、霞がかった曖昧模糊とした生温かさが不思議な感覚。
ミケランジェリ、ツィメルマンのドビュッシーとは相性が悪く、退屈せずに面白く聴けるのがアラウ、ベロフ(新盤)、それにブラレイのドビュッシー。

リスト/夕べの調べ(超絶技巧練習曲集より)
<夕べの調べ>は幻想的な響きが綺麗な曲。超絶技巧練習曲は全然好きではないのでめったに聴かないけれど、こういう緩徐系で曲想の美しい曲なら抵抗なく聴ける。
アラウは、2種類ある《演奏会用練習曲》は、両方とも録音済み。特に、《3つの演奏会用練習曲》”ため息”が、深い情感があって印象的。
アラウのリスト録音のなかで、すこぶる評価が高いのは《孤独のなかの神の祝福》
幻想的な響きが美しい《エステ荘の噴水》も好きな曲。1970年代以降、アラウはリサイタルでもよくこの曲を弾いていた。

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