*All archives*



アンダ ~ ショパン/ワルツ集
今年最後はベートーヴェンかブラームスで...と思っていたけれど、なぜかアンダの弾くショパンのワルツを。
ショパンのワルツは、ノクターンと同じく、聴くのも弾くのも好きではないので、よほどのことがない限り聴かない曲の一つ。
ただし、アンダのワルツだけは、全然ワルツらしくないところが好きで、これだけは一人静かに聴きたくなる。

ラスト・レコーディング ショパン:14のワルツ集ラスト・レコーディング ショパン:14のワルツ集
(2007/10/24)
ゲーザ・アンダ

試聴する

このワルツ集はアンダの最後のレコーディング。病気で1976年、55歳の時に早世しているので、その半年前の1975年に録音している。

HMVとamazonのレビューを見たときは、どうも普通のワルツとは違った弾き方をしているそうなので、ワルツらしくないワルツなら、かえって聴いて見たくなったという録音。
実際に聴いてみたら、深くゆったりした呼吸にあわせているように、本当にテンポはゆったり、フォルテも軽く、起伏もゆるやか。
テンポが遅いせいもあるのだろうけど、タッチが重たい感じがする。
リズムも水を吸ったスポンジのように鈍くて、ワルツというより物憂げなノクターンのようにも聴こえるし、どこかしらモノローグ風。
細部も丁寧なタッチで弾きこんでいるので、一音一音がくっきりと聴こえ、明瞭というよりは克明な音。
華やかさや煌びやかは薄いけれど、アンダらしい詩的で繊細な美しさがとても品良く、物静か。

アンダの弾くワルツは、丁寧だけれどどこかもどかしげ。衰えた身体の残っている力を絞りだして弾いているように思えてくる。
表面的にはとても穏やかなワルツに聴こえるけれど、じわじわと体の中に浸透してくるような圧力を感じるし、気だるげでまったりとした空気が流れているのに、どこかしら張り詰めたものがある不思議な雰囲気がする。

子犬のワルツは、透明感のある音と落ち着いたタッチでとても清々しい雰囲気。指がクルクルよく回る子犬のワルツではないけれど、この品の良さと優しさはとてもアンダらしい。
続くOp.64-2も、抑えた抑揚で大仰な悲愴感はなく、静かで澄み切った美しさのあるワルツ。
Op.64-3も、一音一音丁寧なタッチで、さりげなく歌わせる旋律が穏やか。でもどこか悟ったような不思議な明るさと透明感が、逆にもの哀しくも感じる。


Chopin - Waltzes op.64 (Anda).



第9番(op.69-1)のワルツは、他のワルツよりも、ねっとりとしたものが漂っていて、最も感情が深くこもっているような気がする。
このワルツが”別れのワルツ”だからなのか、単なる気のせいなのか...。
最後の”遺作”になると、これが最後とでもいうように、この録音のなかでは一番タッチの切れが鮮やかでフォルテも力強く、感情の揺れ動く表現が強くなっている。

Chopin - Waltzes op.69 (Anda).(Géza Anda, piano.)


よく考えると、誰がどう弾いてもこの曲集は相変わらず好きではないので、ショパンのワルツらしくない演奏だから好き...というより、アンダの弾くピアノの音を聴いたり雰囲気を感じとることが好き、というべきなのでしょう。

tag : ショパン アンダ

※右カラム中段の「タグリスト」でタグ検索できます。
Secret
(非公開コメント受付中)

本当に違うショパンですね
yoshimiさん、こんにちは。
私も普段はあまりショパンは聴かないというか
ワルツもノクターンもCDを全然持ってないぐらいなんですが
このアンダの演奏は本当に一味違いますね。
普通ショパンのワルツといえば
キラキラとした華やかな演奏ばかりなのに
なんだか違う曲を聴いてるみたい。
でも私もこういう風情は好きです。いい演奏ですね。

今年はyoshimiさんと色んなお話ができてとても楽しかったです!
色んなCDや演奏も教えていただいたし~。
ありがとうございました。
また来年もどうぞよろしくお願いいたしますね。
アンダのショパンはちょっと辛口かも
アリアさん、こんにちは。

アンダのワルツ、好きな人は意外にちらほらといて、普通のショパンを聴き飽きた人には、新鮮に聴こえるようです。
アンダのショパンの前奏曲集は昔は有名だった録音で、ベタベタした感傷や情緒的なところがなく、さっぱりしたショパンです。
”辛口のショパン”という人もいます。
たぶん今は好まれない弾き方なのでしょう。私はこういうショパンの方が好きなんですけど。ソコロフのドラマティックなプレリュードよりも、自然に聴けます。
Youtubeにプレリュードの録音があります。ご興味があればどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=Ic0LqP8a3Pg

このワルツは、全盛期のアンダのショパンとも違っていて、アンダのショパンの中では一番好きな録音です。
アンダは音が綺麗で、フレージングが明晰な人で、こういうゆっくりテンポで弾くと、旋律や和声がとてもくっきりして、落ち着いたワルツになりますね。
アンダはちょっと地味ですが、聴けば聴くほどますます好きになっていくピアニストの一人です。

アリアさんのブログがきっかけで、敬遠していたショパンのエチードやドビュッシーを今年はいろいろ聴くようになりました。
これは、今までの私の偏った好みから考えると、コペルニクス的転回かも。
どうもありがとうございました。
そういえばドビュッシーの記事、いろいろ書いているんですが下書きを見直してアップしないと...と思っているうちに、今年が終ってしまいそう...。

では、良いお年をお迎えくださいね。
こちらこそ、来年もよろしくお願いいたします。
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
タグリスト
マウスホイールでスクロールします

月別アーカイブ

MONTHLY

記事 Title List

全ての記事を表示する

リンク (☆:相互リンク)
FC2カウンター
プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

お知らせ
ブログ記事はリンクフリーです。ただし、無断コピー・転載はお断りいたします。/ブログ記事を引用される場合は、出典(ブログ名・記事URL)を記載していただきますようお願い致します。(事前・事後にご連絡いただく必要はありません)/スパム投稿や記事内容と関連性の薄い長文のコメント、挙動不審と思われるアクセス行為については、管理人の判断で削除・拒否いたします。/スパム対策のため一部ドメインからのコメント投稿ができません。あしからずご了承ください。