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有元利夫 - 天空の音楽
昔はよく美術展に通っていたし、画集・写真集の類も少しずつ集めていたので、CDほどのコレクターではないけれど、いつの間にか100冊近くたまっていた。
画集はクリムト、オキーフ、それにホッパー、シャガールなど、写真集はブレッソン、アーウィット、ケルテス、メイプルソープ、大石芳野のものが多い。
National Geographicの特別編集版の大型写真集もとても好きだったので、これはほとんど集めたし、いろんな写真家の作品を集めたテーマ別の写真集もちょこちょこと買っていた。
展覧会の図録集めも結構好きで、行っていない展覧会の図録でも通販で良く買っていた。主要作品以外も数多く載っていることが多く、プロフィールやら評論、年表などの付録ついていて、価格のわりに中味が充実しているので。

図録以外は原書の輸入版で買うことが多い。外国人の画家や写真家だと画集・写真集の日本版は少ないし、amazonだと原書がかなり安い価格で手に入ることが多い。
日本人の画家は、超有名な画家の美術展にはよく行ったけれど、すごく好きという画家がいないので、絵葉書集を持っているくらいで、大型本の画集を買うほどのことはなく。

最近たまたま日経ポケットギャラリーで見つけた画家が有元利夫。39歳の若さで病気で早世したという。
日本人の画家で早世した人というと、すぐ思い浮かぶのは佐伯祐三。
ほかにも若くして亡くなった画家は何人もいるので、音楽家に比べると画家は(病気で)早世する人が多いような気がする。

有元利夫の画風は、西洋のフレスコ画と日本の仏画の影響を受けているそうで、シュールな感じもする古典的な典雅さを漂わせる静謐な世界。
宮本輝の本の表紙に使われているので、見たことがある人は多いかも。
ほとんどの作品で、中世風(?)のシンプルなドレスを纏った、かなり太り気味で顔が小さな女性が登場する。女性といっても、中性的な感じで、どこかしら大理石的なまろやかでクールな質感。
色彩が鮮やかで、やや薄めの落ち着いた色合いのものや、赤・黒・緑・金色などをとりまぜたコントラストの強いものなど、色合いがとても綺麗。
岩絵具のようなものや箔などを使っているらしく、何百年も前のちょっと絵の具がはげかかった古いイタリアの絵画のような、ざらついた感じのする風合いが独特。
構図もとっても面白い。薄い水色の空に、輪郭がはっきりした雲が浮かんでいたり、背景に大きな窓がくり抜かれていたりと、ファンタスティックで、絵によっては浮遊感のようなものも感じる。

音楽(特にバロック)が好きで、自分でリコーダーも吹いていたというので、音楽にまつわるタイトルの絵も多い。
「重奏」「古曲」「音楽」「賛歌」「春」(ビバルディの”春”にちなんだ)、「楽典」「室内楽」「厳格なカノン」、「ささやかな時間」(リコーダーを吹いている女性)、「ソナタ」、「ロンド」、「7つの音」など。

一番好きなのが代表作の「花降る日」。赤色の背景にベージュの大理石の螺旋階段、そこに佇む赤いドレスで長い髪の女性、それに空から降ってくる白い花びら。
部屋の中に飾りたくなるような、落ち着いた典雅な華やかさがとても綺麗。
なぜか古い時間が絵のなかに閉じ込められて、時が止まったような感覚がする。
他の絵もとっても好みのものばかりで、これは実物を見てみたくなる。

調べてみると、展覧会は数年おきにどこかで開催されている。関西エリアの美術館ではないのが残念。
先月まで開催されていたのが、東京都庭園美術館の「没後25年有元利夫展 天空の音楽」
東京に住んでいたときは、この庭園美術館にはよく遊びに行っていた。
展覧会がなくても、芝生が敷き詰められた庭園が開放されているので(入園料はいるけれど)、のんびり日向ぼっこしたり、お弁当やお菓子を食べたりと、目黒の真ん中にある”都会のオアシス”的美術館だった。
久しぶりに思い出したら、懐かしくって、また行きたくなってきた...。

展覧会の公式映像『有元利夫 その芸術と生涯』
絵も綺麗だけれど、作風にぴったりのバロック風音楽(有元利夫自身が作曲した『RONDO』)がとても美しく、こういう動画を見ると絶対に美術展に行きたくなる。



yk2さんのブログ<Hearts and Numbers>の”有元利夫展を観る前に知っていると面白いかも知れない幾つかの事柄 / 前編”(後編もあり)には、略歴や作品についてコメントが載っている。
絵画に詳しくない私としては、予備知識がインプットされるし、絵をいろんな観点から見ることができるので、とても参考になった記事。


画集
展覧会に行けないなら、画集の方で。画集は数種類出ているけれど、一番気になるのはこの全作品集。(ページ数がそれほど多くないわりに、掲載点数が多い気がするけど、なにせ大型本なので)
過去の展覧会の図録もいくつかあるようなので、在庫があればそれを入手するのが一番良さそう。できればこの庭園美術館の展覧会の図録を手に入れたいなあ。

有元利夫全作品 1973~1984有元利夫全作品 1973~1984
(1991/02)
有元 利夫

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有元利夫 女神たち有元利夫 女神たち
(2006/04/13)
有元 利夫

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日経ポケットギャラリー。絵は小さいけれど、掲載している絵の数が結構多いので、入門編として最初に見るには良い画集。どうも絶版らしいので、図書館やUSED本を探してください。
有元利夫 (日経ポケット・ギャラリー)有元利夫 (日経ポケット・ギャラリー)
(1991/12)
有元 容子

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伝記
伝記として出ているのはこの2種類らしい。他にも自身の美術観とか創作方法について綴った本がいくつか。

評伝有元利夫早すぎた夕映評伝有元利夫早すぎた夕映
(2008/02/24)
米倉 守

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花降る日花降る日
(2002/01)
有元 利夫有元 容子

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音楽
なぜかイメージCDまでリリースされていた。オクタヴィアなので試聴ファイルがないのが残念。

七つの絵~有元利夫に捧ぐ~七つの絵~有元利夫に捧ぐ~
(2004/10/20)
平野公崇、大久保光哉

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tag : 有元利夫

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NoTitle
yoshimiさん、こんにちわ

現代の画家の絵って、ほとんど興味がないので、有元利夫って名前、初めて知りましたが、庭園美術館のホームページの写真を見たところ、中々、面白い絵を描く人だたのですね。

庭園美術館は3回ほど、行ったことがあります。

それにしても、「天空の音楽」を「天体の音楽」(ヨゼフ・シュトラウス作曲)と読み間違えてしまいましたが、やはり、クラシック音楽病ですね(笑)
かなり気に入っています
matsumo様、こんにちは。

日経のポケットギャラリーに入っているくらいなので、わりと有名な人らしいのですが、私も初めて知りました。一目見てすっかり好きになりました。
かなり現代的な画風のように思えるのですが、、日本画や仏教絵画も勉強して、いろいろ工夫した独自の技法で描いているようです。

庭園美術館には、大阪にいたときから、旅行のついでに寄ってましたし、東京に住んでいた時もよく行きました。
東京には、現代美術館の原ミュージアムとかいろいろなタイプの美術館があって、文化度が高くて良いですね。

シュトラウスに「天体の音楽」っていう曲があるのですね。これも初耳です。ちょっと聴いてみたくなりました。
NMLにあるかもしれませんので、録音を探してみます。
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プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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