オッター&メルドー 『Love Songs』 

2011, 01. 19 (Wed) 18:00

オッターのnaiveレーベル移籍後の初アルバムは、ジャズ・ピアニストのブラッド・メルドーが作曲・ピアノ伴奏をしているという、ユニークな企画。
買うかどうか迷っていたけれど、NMLで早々と全曲聴くことができて、結局CDは買わず。この選曲なら、メルドーのピアノ・ソロバージョンでないとCDで持っていたいという起こらなかったので。

Love SongsLove Songs
(2010/10/26)
Anne Sofie Von Otter

試聴する(米amazon)


1枚目のディスクは、Cummings、Larkin、Teasdaleの書いた詩をもとにメルドーが作曲した曲集『Love Songs』。
全部で7曲、収録時間は30分あまりと短い。メルドーのピアノでソロ・バージョンを入れておいてくれたら良いのに。

旋律と和声は、ポップス的なわかりやすいものではなく、安定した調性から少しずれたような現代歌曲風(というのだろうか)。
乾いた叙情感が美しく、オッターの伸びやかで品の良い声が素敵。
そもそも歌曲はあまり聴かないので、たとえる作曲家があまり思い浮かばない。でも、アメリカの現代歌曲で有名なネッド・ローレムの歌曲に雰囲気が似ているような...。

歌詞ではなくもっぱらメロディだけ聴く方なので、オッターの歌う旋律が似たような雰囲気のものが多い気はする。
メルドーのピアノ伴奏の方は、どの曲も違ったタッチで、その存在感は”伴奏”とはいえないくらい。
主旋律と平行して、またはソロで、主旋律とは違った動きの旋律や和声を弾いていることが多くて、ちょっとポリフォニックな感じ。
ピアノ・ソロで弾く部分も歌曲にしてはかなり多くて、メルドーのピアノ・ソロとオッターの歌の二重唱や三重唱的にも聴こえる。
メルドーのソロ・アルバム『エネゲイアサイクル』ほどには凝ったピアノ伴奏ではないけれど(主役は歌手なので)、ソロを弾くメルドーを彷彿させるような旋律やリズムがあちこちで聴こえてきて、歌曲にしては凝ったピアノ伴奏。
目的はオッターの歌ではなく、メルドーのオリジナル曲とピアノを聴くことだったので、その点ではそこそこ満足。

No.1:it may not always be so:とても綺麗な旋律が流れるトラッド風の落ち着いた曲。
No.2:We Met at the End of the Party:ミニマル的ピアノ伴奏が面白い。現代歌曲的な和声が乾いた叙情感。
No.3:Child, Child:不協和的な和音で始まる冒頭のピアノ伴奏。
No.4:Twilight:やや内省的で不可思議な雰囲気の和声のピアノ。オッターの歌よりも、ピアノがソロで弾いている時間の方が長い気がする。
No.5:Because:バラード風の美しい旋律。これは普通のピアノ伴奏で、旋律に合わせた和声で和音やアルペジオで展開されている。
No.6:Dreams:トレモロ主体のピアノの上を、オッターのゆったりした歌声が流れて、ややファンタスティック。
No.7:Did You Never Know?


2枚目のディスクは、既存のポピュラーなヒットナンバー(だと思う)。
ポップス系の曲は昔からほとんど聴かない習慣なので、聴いたことがない曲が大半。シャンソン風の哀感のある曲が多い。
音質がガラッと変わって、オッターの歌がやたら間近かに聴こえるし、オッターの歌を味わうなら、こっちのディスクの方がメロディが綺麗で聴きやすい。
メルドーの伴奏は、自作曲のようなユニークで凝ったものではなくて(とっても残念)、歌の美しさを引き立てるような素直に美しいピアノ。
音も旋律・和声もロマンティックに美しく、オッターの歌声や曲の雰囲気に良く似合っている。
メルドーのピアニズムを味わいたいなら1枚目、オッターの美声と表情豊かな歌を聴くなら2枚目、というところだろうか。


Leo Ferre「時の流れに」とBarbara「ピエール」、ミシェル・ルグラン「ロシュフォールの恋人たち - マクサンスの歌」、Barbara 「いつ帰ってくるの?」は、シャンソン風の美しい曲。

Joni Mitchell「マーシー」は洒落た都会風の哀感のあるリズミカルに流れる旋律が美しい曲。
オッターはシャンソンやこういう短調系の曲の方が、さらりとした叙情感が味わいがあって声質にも合っているような気がする。そのせいか、このディスク2はそういう系統の曲が多い選曲。

リチャード・ロジャース「サウンド・オブ・ミュージック - サムシング・グッド」
ジェラール・ジュアネスト/ ジャック・ブレル「懐かしい恋人の歌」

フレッド・アーラート(作詞者:ロイ・トゥルク)「ストックホルムの街をそぞろ歩きして」は、珍しくジャズ風のタッチでとても明るい雰囲気。メロウな曲続きだったので、軽やかなメルドーのピアノが素敵。

ラーシュ・フェーンレーヴ(Tage Danielsson)「桟橋に近づく」
ミシェル・ルグラン(Alan Bergman)「ハッピー・エンディング - これからの人生」

Bob Telson「バグダッド・カフェ - コーリング・ユー」
この曲、いつも行く美容院でCDが良くかかっていて、曲名がわからなかった。”コーリング・ユー”と歌う旋律がしっかり記憶に残っていたのでようやく曲名が判明。

ジョン・レノン /ポール・マッカートニ「ブラックバード」
レナード・バーンスタイン(作詞者:アドルフ・グリーン)「オン・ザ・タウン - いつかほかの時に」

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