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パーチェ ~ リスト/《伝説》より 第2曲”波を渡るパオラの聖フランチェスコ”
最近Youtubeで見つけたエンリコ・パーチェの<波を渡るパオラの聖フランチェスコ>。
パーチェのライブ映像は全部チェックしていたはずなのに、リストは以前はそれほどしっかりと聴いていなかったので、見落としていたらしい。
レスリー・ハワードの録音でこの曲を聴いたときは、パワフルでピアニスティックなのは良いけれどちょっと一本調子で賑やかすぎてあまり面白みは感じなかったのに、パーチェのこのライブを聴いたら、全然違っていた。

この曲に関するとっても詳しい解説は、『リストの《伝説》と2人の聖フランチェスコ』[PDF]。
この曲の楽譜出版時に、リストは序文で、パオラの聖フランチェスコ(アッシジの聖フランチェスコとは別人)がメッシナ海峡を渡った有名な伝説を紹介している。

調べていたら、日本語曲名が、”水の上を歩く”、”波の上を歩く”、”波を渡る”と、いろいろ。
伝説の内容を考えれば、海峡を横断するのだから、”水の上を歩く”ではなく、”波の上を歩く”か”波を渡る”の方が的確だし、特に”波を渡る”には方向性が感じられるので、曲想に一番合っている感じ。

第1曲の<小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ>の静かで親密な雰囲気とは打って変わって、<波を渡るパオラの聖フランチェスコ>は、激しく打ち寄せる荒波の海峡を横断するようなイメージ。
聖フランチェスコが歩くと、荒波が堰き止められて滝になり、行く手には道がまっすぐ開けているような情景が浮かんでくる。(”十戒”か何かの歴史スペクタル映画で出てきたシーンを思い出した。)
最後は、激流が途切れて悠然とした大河になったかのように、穏やかで落ち着いたエンディング。

パーチェはリストコンクールの優勝者だけあって、リストは最も得意なレパートリー。
波のようにうねるパッセージはとっても躍動感があるし、クライマックスに向かうほど、ダイナミズムが増して、神々しい輝きと高揚感が押し寄せてくるような勢い。
わりと感情移入が激しい弾き方だと思うけど、この曲にはそういう弾き方の方が、単に技巧的に凄いだけで終らなくてとっても良い感じ。
他に、シフラやホロヴィッツの録音も聴いてみたけれど、パーチェは音色が明るく輝いて、かなり情熱的なタッチ。
この曲って実はこんなにダイナミックで賛歌のような曲だったのだと、すっかり思い直しました。
<小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ>と同じくらい(もしかして、それ以上に)、<波を渡るパオラの聖フランチェスコ>が気に入ったので、ちょうど来年はリストイヤーだし、リストはもっと探索してみると、超絶技巧だけではない魅力的な曲がいろいろ発見できそう。

Enrico Pace plays Liszt - Legend No.2 St. Francis of Paola walking on the waves[Youtube]
※今日チェックしてみたら、動画が非公開になってました。(2012.5.22)

映像はかなりぶれているけど、録音方法から考えれば、音はかなり良い。バッハのヴァイオリンソナタでツィンマーマンの横でピアノ伴奏を弾いている時と比べたら、ソロでリストを弾いていると、気合の入り方も表現も随分違っているのが見ていて面白くて。
パーチェは、室内楽以外は録音は一切しない主義らしく、レパートリーはかなり持っているのに、ソロの録音は数少ないライブ録音くらいしか聴けないのが残念。


スティーヴン・ハフ~リスト/小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコの記事

tag : パーチェ フランツ・リスト

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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