トランス脂肪酸ゼロとトランスファットフリーは違う 

2010, 12. 27 (Mon) 12:00

昨日のasahi.comで読んだ「トランス脂肪酸含む商品、店に置かず セブン&アイ方針」というニュース記事。
この方針は、当面PB商品が対象で、そのうちメーカー製品に拡げていくという。
新聞記事によって、「できる限り販売しない」、「全廃を目指す」とか、表現がまちまち。
一体、トランス脂肪酸ゼロの商品に限る方針なのか、トランスファットフリー(少量のトランス脂肪酸は許容される)商品なら良いのかが、正確にはわからない。
トランス脂肪酸がゼロの商品をそれなりの価格で揃えるのは、かなり難しい気がするけれど、トランスファットフリーならできないことはないと思う。

日本の消費者庁でも、この間トランス脂肪酸の含有量の表示を義務化する方向という報道があったし、マーガリンについては、トランス脂肪酸が多い製品が多いので、自主的な表示を要求しているらしい。


<トランス脂肪酸に関する表示基準>
厳密にはトランス脂肪酸がゼロではなく、一定量以下の含有量の製品のことを指す。
昔から有名なデンマークの基準は「脂肪分の脂質中、トランス脂肪酸の含有率2%以下」(現時点でも基準が同じかどうかは未確認)。この基準は国によって違っている。

バターもトランス脂肪酸を少量含有しているけれど、これは天然のトランス脂肪酸なので、マーガリンのように水素添加して生成する油脂ではないから、バターは問題にはなっていない。

問題があるのは、水素添加して作るマーガリン、サラダ油などで、トランスファットフリーをPRした製品以外は、バターよりもトランス脂肪酸を多量に含んでいることが多い。
ただし、メーカーによっては、表示はしていないけれど、トランスファットフリーに近い商品もある。

圧搾方式で搾りとる油(オリーブオイル、ごま油)は、トランスファットが含まれないが、サラダ油や他の油に比べて高価。
最近では、遺伝子組み換えにより、トランス脂肪酸を生じ難くさせたキャノーラ、大豆油、ひまわり油、紅花油などが米国でよく使われるようになっているらしい。

油脂を多量に使う加工食品(マーガリン、フライ、クッキー・ケーキ・ビスケット、ポテトチップス、フライドポテト、etc.)に含まれている問題のあるトランスファットフリーにするためには、トランス脂肪酸含有量がゼロか基準値以下の油を使うか、バターを使うか、方法は限られている。
バターを使うとかなりのコストアップ。そうなると、常温で固形化しやすく水素添加が必要ない安価なパーム油を含んだ油脂が使われることが多くなる。

パーム油使用でも、完全にトランス脂肪酸がゼロになるかというと、「トランス脂肪酸を含まない」と表示されているパーム油100%のトランスファットフリーのショートニングでさえ、厳密には全くトランス脂肪酸を含んでいない(完全にゼロ)とは限らない。
日本では現時点でトランス脂肪酸についての表示義務がないため、基準も明示されていないが、海外で表示を義務化している国では、トランス脂肪酸の含有量が一定基準量以下であれば、「トランス脂肪酸を含まない」「トランス脂肪酸がゼロ」と表示しても良いことになっているため。
出典:「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針について(案)」(平成22年10月8日,消費者庁)/<別表1:海外において0と表示できる場合のルール例>


トランス脂肪酸含有量を”完全にゼロ”にするのは、個々の製品レベルでもかなり難しいのではないかと思えるし、完全ゼロではないにしても「トランス脂肪酸を含まない」と表示された製品の価格はかなり割高になりそう。
それに、風味や出来上がりが油脂の種類によって変わるので、本当に実現可能なのかよくわからない。
結局、原則的にはトランス脂肪酸を出来る限り減らしたトランスファットフリー商品を置くけれど、それだけでは陳列棚がガラガラになるので、例外製品がかなり並んでしまいそうな気がする。


<参考資料>
「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針について(案)」(平成22年10月8日,消費者庁)


この日本の消費者庁の指針案では、

1)”0g表示”が可能なのは、「食品100g当たり(清涼飲料水等にあっては100ml当たり)のトランス脂肪酸の含有量が0.3g未満である場合」

2)”トランス脂肪酸に係る強調表示(「含まない」旨の表示=「無」「ゼロ」「ノン」「フリー」など)”が可能なのは、次のいずれにも該当しない場合のみ。
・食品100g当たり(清涼飲料水等にあっては100ml当たり)のトランス脂肪酸の含有量が0.3g以上である場合
・食品100g当たりの飽和脂肪酸の量が1.5g(清涼飲料水等にあっては、食品100ml当たりの飽和脂肪酸の量が0.75g)以上であり、かつ、当該食品の熱量のうち飽和脂肪酸又はトランス脂肪酸に由来するものが当該食品の熱量の10%以上である場合



<トランス脂肪酸について過去に調べた情報>
トランス脂肪酸(1)
トランス脂肪酸(2)国外の規制
トランスファットフリー・マーガリン

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