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ハイドン/ピアノ協奏曲 (ミケランジェリ、ピノック、フー・ツォン、レーゼル)
珍しくも初めて書くハイドンのピアノ作品はピアノ/チェンバロ協奏曲。
ピアノ・ソナタは子供の頃のピアノのレッスンでよく弾いていたので、馴染みのある曲が多いわりに、それ以来聴くこともなく、CDもほとんど持っていない。
自分の下手なピアノで曲のイメージを作ってしまったのが、そもそもの間違いのもとだったと最近良くわかったけど。
ハイドンの鍵盤楽器曲で今まで一番よく聴いた曲は、なぜか昔は全然知らなかったチェンバロ協奏曲。

この曲を聴いたきっかけは、たまたま見かけたミケランジェリのEMI盤。
その頃はミケランジェリの演奏ならなんでも素晴らしいはず...という思い込みをしていたし、この曲の録音が少ないこともあって、期待してミケランジェリを聴いてみると、なぜか全然面白くない。
こういう曲なんだろう..と思って、それ以来この曲は長い間聴かずじまい。
記憶をたどると、ブラームスとベートーヴェンの曲でも、同じような経験をしたので(他のピアニストで聴くと全然イメージが変わる)、初めて聴く曲はミケランジェリで聴かない方が私には良いらしい。

次に聴いたのは、ピノックのチェンバロ盤。
ちょうどピノックのパルティータの新盤を聴いて、これがとても気に入って、バッハのチェンバロ協奏曲集とかも集めていた頃。
ハイドンが入っていたアルバムには、パッヘルベルのカノンが入っていて、これが好きな曲だった。
ついでにハイドンのチェンバロ協奏曲も聴くと、これがミケランジェリのピアノ盤とは全く別の曲に思えるほど、元気な男の子が走り回っているようにはじけていて、明るく楽しい曲。
チェンバロの軽い鍵盤でクルクルと指が良く回って、さらに甲高い高音域の軽めの音が多いせいか、ちょっとコミカルなくらいに陽気。
ピアノではこんな雰囲気はなかなか出せないんじゃないかと思ったくらい。

Canon / Queen ShebaCanon / Queen Sheba
(1990/10/25)
Trevor Pinnock,The English Concert

試聴する(米amazon)



ミケランジェリのスタジオ録音は、DGへ移籍する前後の録音だと思うので、契約上いろいろゴタゴタがあって、シューマンの謝肉祭と同様、あまり気が進まない録音だったのかもしれない。
いつものような精妙なタッチではないし(ちょっと無造作というか)、色彩感もそれほど鮮やかではなくて、無愛想な仏頂面で弾いているような気がする。
これを名演と言う人もいるので、何度も聴きなおしてみたけれど、どうしてもこのハイドンは好きになれない。

数日前、ミケランジェリとクーベリック(らしいけど)のライブ録音をたまたまYoutubeで発見。(この年代のライブ録音にしては音が良いので、放送用のスタジオ録音かもしれない)
これがEMIのスタジオ録音とは全然違っていて、結構な驚き。
録音年がかなり離れているとはいえ、とても同じピアニストが弾いているとは思えない。
録音状態はそれほど良くはないけれど、タッチが多彩で、色彩感のある綺麗な音だし、音が歯切れ良くてリズミカル。
ちょっとテヌート気味に弾いたり、装飾的に弾くところなんか、とっても甘~い感じ。表情も元気で快活だったり、可愛らしかったり、クルクルと変わるところはいつものミケランジェリ(かそれ以上?)。
カデンツァもとっても素敵。アルペジオの響きが優雅で、スケールも洒落たタッチで(なぜかガーシュウィンの《ラプソディ・イン・ブルー》に出てくるカデンツァに似ている気がする)、かなり楽しんで弾いているみたい。
これを一番最初に聴けば、この曲のイメージが全然違っていたはず。

Haydn piano concerto no.11 Michelangeli /Kubelik

[注記]Youtubeのコメント欄を読んでいると、この音源は”This was recorded on 18 December 1959 in Turin.Orchestra Sinfonica di Torino,Mario Rossi.Nuova Fonit Cetra spa CDAR2006.”と指摘している人がいる。
CDの音質・演奏内容を試聴するとよく似ているので、クーベリックの指揮ではない可能性(それもかなり高い)があります。


ピノックの次に聴いたのが、フー・ツォンの録音。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番が目的で手に入れたCDだったけれど、カップリングされていたハイドンはとても表情豊か。
感情移入の激しさを感じさせるベートーヴェンとは違ったタッチで、快活で躍動感があって、歯切れの良いタッチで弾くところは軽快、柔らかい弱音で弾くと優しくしとやか。何よりピアノの音が綺麗で流麗。

Beethoven / Haydn: Piano ConcertosBeethoven / Haydn: Piano Concertos
(2005/10/11)
Fou Ts'Ong

試聴する

このフー・ツォンの録音のレビューは、Daisyさんのブログ《ハイドン音盤倉庫 - Haydn Recordings Archive》の記事”フー・ツォンのピアノ協奏曲、快演”に載ってます。ピアノ協奏曲以外にもハイドン関係の記事がたくさん。名盤や異聴盤を探すのにとても参考になります。


このハイドンのコンチェルトを意外にもレーゼルが録音していた。
これは思いもかけない贈り物のように素敵なハイドン。
とても真面目なレーゼルらしく、羽目を外したような明るさとか機知に溢れた演奏...というわけではないのは予想どおり。
全ての音を安定したテンポとリズムで確実に抑えていくので、隅ずみまで曖昧さがなくてとてもきっちりとした演奏。
少し丸みを帯びた濁りのない音がとても清楚に聴こえるし、柔らかい弱音はとっても奥ゆかしく優しげ。
喩えていえば、スミレのように可憐で優しく微笑みかけてくるよう。
こんな清楚な雰囲気の演奏は、ソコロフが若い頃に録音したショパンの《ピアノ協奏曲第1番》を聴いて以来。
ピノックのチェンバロ版の演奏が記憶に刷り込まれているせいか、どちらかというと、この曲は弾けるように明るい表情で快活に弾かれるべき曲なのかなというメージがする。
それと比べると、レーゼルの演奏はは大人しくて地味な気はするけれど、こういうハイドンはとっても好き。
あまり陽気な演奏ばかり聴いていると、ちょっと疲れるものがあるので、たまには落ち着きのある演奏を聴きたくなるかららしい。

Piano ConcertosPiano Concertos
(2006/10/24)
Peter Rosel, 他

試聴する(allmusic.com)

tag : ハイドン レーゼル

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(非公開コメント受付中)

ハイドンっておしゃれ!
私も子供のころに弾いていたソナタのイメージから、ハイドンにはずっと関心なかったのですが、ヨーロッパに住んでいた時には、ハイドンを聴く機会がすごく多くて、このコンチェルトも、(日本では一度も聴いたことがなかったのに)案外多くの機会がありました。
高校生の時に習った記憶があるのですが、その時は好きではなかったのに、ヨーロッパのコンサートで聴いたら、とってもおしゃれな曲で、感激!
このyoutubeも軽快でカデンツァとかとってもいいですね。
他にも室内楽や、ソナタアルバムにない大人のピアノソナタなど良く演奏されていて、ハイドンが最もヨーロッパ的な音楽のイメージなんですよ、私にとって。
リヒテルもハイドンが好きと語っていたような…。
これからも、いろいろ紹介してくださいませ。
ミケランジェリ
こんばんは。
ハイドンのピアノ協奏曲は、ピノックの演奏で知りました。これはとても演奏なので、ピアノによるものも聴きたくなっています。ミケランジェリのものはライヴがよいのですね。対して、彼のEMIの録音は、総じて、なにかちょっと伝えきれていない感じがありますね。
ミケランジェリとクーベリックの組み合わせは聴いてみたいです。
ハイドンイヤーはもう終ってますが
マダムコミキ様、こんにちは。

ハイドン、子供の頃にソナタアルバムで練習しましたよね。
モーツァルトよりは好きな曲だったので、わりと楽しんで弾いていたのですが、レッスンをやめてからは長い間ご無沙汰してました。

このコンチェルトは、日本では実演をほとんど見かけないですね。
日本では、交響曲の方がはるかに有名で人気があるからなんでしょうか。
ハイドン=ヨーロッパというイメージは、欧州に住むと実感としてわかる感覚なんでしょう。

ミケランジェリのハイドン、やっぱり良いですよね~。カデンツァもお洒落というか、颯爽としていて。
リヒテルは、ハイドンのソナタの録音がいくつかあります。
伝記でも「優しいハイドン」とか言ってましたし、ハイドンが好きだったのは間違いないです。

リヒテルのハイドンは、好みとはちょっと違うので、ブレンデルのBOXセットを数日前手に入れたところです。
音がとても綺麗ですし、ハイドンのイメージが随分変わりそうで、これは結構楽しめます。

2009年がハイドンイヤーだったのを思い出しましたが、遅ればせながら、ハイドンのピアノ曲について、今年はいくつか書こうと思ってます。
ミケランジェリのライブ、とても良かったです
吉田様、こんにちは。

先日のピノックの記事を拝見したおかげで、長い間下書きのまま置いていた記事を思い出して、あれこれ加筆してようやくアップできました。

そのときに、たまたまミケランジェリのライブを発見したのですが、これはEMI盤よりもずっと良いと思います。
ミケランジェリとクーベリックというのは、珍しい顔合わせですね。ディスコグラフィを調べても、CDでは出ていないようです。
コメント欄を読んでいると、この音源は
18 December 1959、Orchestra Sinfonica di Torino,Mario Rossi.Nuova Fonit Cetra spa CDAR2006
と書いている人がいます。
このCDは持っていないので、確認できませんが、試聴すると音質は似てますね。演奏内容もほとんど同じかも...。クーベリックの指揮ではなさそうな気がしてきました。

ミケランジェリのEMI時代最後の頃の録音は、伝記とかを読むと、契約関係のゴタゴタがあって、キャンセル料も馬鹿にならないらしく、あまり気が進まなかったようです。
EMI盤でも、初期のパガニーニ変奏曲とかシャコンヌなどは音質は悪いですが、演奏は素晴らしいものだと思います。両曲とも、キーシンと同じくらいに好きな録音です。
流石ミケランジェリ
yoshimiさん、いつもコメントありがとうございます。
ミケランジェリの演奏、ミケランジェリの良いところが出た素晴らしい演奏ですね。これはチェトラのアルバムを探してみたくなります。
ハイドンのピアノ曲の記事楽しみにしております。こちらのブログからリンクをはらせていただきました。今後ともよろしくお願い致します。
このミケランジェリは本当に冴えてますね
Daisy様、こんにちは。

ミケランジェリのハイドン、やっぱり凄く良いものなんですね。
このコンチェルトにお詳しいDaisyさんがそうおっしゃるのなら、太鼓判です。
音源がはっきりしないので、Cetra かどうかは確実ではなさそうですが、試聴した限りでは、内容は良いように思えました。
調べてみましたら、Cetra盤は廃盤のようですが、Tahra盤が同一音源をリリースしています。
Cetraより音は良さそうです。音に輝きがありますし、第3楽章のピアノを聴くと、切れ味がとても良くて、私も欲しくなりそうです。

http://www.amazon.com/Haydn-Beethoven-Arturo-Benedetti-Michelangeli/dp/B0044FEZB2/ref=sr_1_4?ie=UTF8&qid=1295321374&sr=8-4

HMVでは2月リリース予定。音源情報が確認できます。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3977489

ミケランジェリのハイドンの音源リストはこちらにあります。
http://www.andrewfwilson.co.uk/abm1.htm

リンクの件、ありがとうございました。私の方からも相互にリンクさせていただきますね。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。

ミケランジェリ
大変ご無沙汰しています。
以前に教えていただいたミケランジェリのアルバム、ようやく手に入ったのでレビューで取りあげました。ミケランジェリ独特の輝きのある峻厳なピアノが印象的な演奏ですね。
ただ、パソコンで聴くYoutube のほうが音楽としては良く聴こえるのが不思議なところ。tahraのアルバムの録音はちょっと古びて聴こえるものでした。いろいろなことが微妙に影響するものですね。
お元気そうで何より。新生姜を使ったご飯、美味しそうですね。

http://haydnrecarchive.blog130.fc2.com/blog-entry-497.html
ミケランジェリのハイドン
Daisy様、こんばんは。
ご無沙汰しております。ブログはずっと拝見しているのですが、最近はとてもお忙しそうですね。

ミケランジェリの録音については、同一音源でも、Cetra盤とTahra盤の違いで音質が変わっている可能性がありますし、さらにYoutubeで圧縮され、パソコンのサウンドカード&スピーカーの性能が影響しているのではないかと思います。
特に、ステレオで聴くと音がまろやかなのに、パソコンだと音がシャープで輪郭がくっきりすることがよくあります。古い音源はその傾向が強いように思います。

以前記事に書かれていたフー・ツォンのハイドン、Daisyさんと同様、今月号のレコード芸術でも高評価で、評者2人が推薦して、特選盤になってました。
私も試聴は何回もしたのですが、どうもいろんなピアニストのハイドンを聴いたせいか、もう少しカチッとした端正な演奏が好みに合っているような気がして、まだツォンのCDは未聴です。
記事は読んでいたのですが、記事のコメントに書くには、ちょっと後ろ向きの内容だったので、書きそびれてしまいました。すみません。

生姜ご飯はさっぱりしていて、簡単に作れるので、このやたらに暑い梅雨にはおすすめです。
新ショウガはちょうど旬なので、水分も多くて美味しく感じます。

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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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