ホルスト/惑星(2台のピアノ版) 

2011, 03. 02 (Wed) 18:00

ホルストといえば《惑星》。
原曲の管弦楽版以外に、作曲者自身による2台のピアノ版もある。
最近、たまたまエンリコ・パーチェ&イゴール・ローマのライブ演奏の一部を聴いて、このピアノ版があるのを知ったところ。

探してみるとパーチェ&ローマの録音はなかったけれど、すぐ見つかったのは2つのスタジオ録音。(両方ともNMLで全曲聴ける)
演奏時間が1時間近くかかるので、あまり録音がないらしい。
NAXOS盤は、レン・ヴォースター&ロバート・チェンバーレイン。
Delos盤は、リチャード・ロドニー・ベネット&スーザン・ブラッドショウ。
両方の盤とも全然聴いたことがないピアニストが弾いている。(デュオの世界では有名なのかもしれない)

ホルスト:2台のピアノのための作品集 組曲「惑星」Op.32 他ホルスト:2台のピアノのための作品集 組曲「惑星」Op.32 他
(1998/09/01)
Robert Chamberlain, Len Vorster

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Planets (Original 2 Piano Version)Planets (Original 2 Piano Version)
(1992/12/14)
Richard Rodney Bennett,Susan Bradshaw

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こういうオーケストラで聴き慣れた曲をソロや室内楽に編曲すると、原曲よりも迫力不足で聴き劣りするので好まない人も多いらしい。
編曲物には全然抵抗がないので、面白そう~と思って聴いてみると、最初聴いたときはやっぱり原曲のオーケストラの厚く色彩感のある響きが記憶に刷り込まれているので、かなり違和感が...。
ピアノ2台だと、オケと比べて色彩感がかなり不足するし、スケール感も弱い。
オケで聴くと、それぞれの惑星のイメージが絵のように浮かんでくるけれど、ピアノ版だとイメージ喚起力が原曲ほどには強くないような気もする。(最初に聴いたのがピアノ版なら、また印象も違っていたと思うけど)

それでも、長い間《惑星》を聴いていなかったこともあって、やがてピアノの音に耳が慣れてきて、原曲とは別の曲と思って聴けば、これはこれで面白い。
特に、緩徐系の幻想的な雰囲気の曲は、ピアノの響きがとてもよく映えて、これはピアノ版の方が気に入ったりする。
といっても、この編曲版は管弦楽曲よりもピアノ曲がずっと好きな人にだけおすすめ。管弦楽曲を聴き慣れていると、ピアノ版では曲によってはかなり物足りなさを感じると思うので。


Gustav Holst, The Planets (version for 2 pianos) (1/4)



I. Mars, the Bringer of War
火星。軍神マルスらしく行進曲風。《惑星》の中では、この火星と木星は迫力満点。
この曲はボリュームを上げて聴くと、ピアノ2台だけでも、和音連打は結構勇壮ではあるけれど、威圧感というか凄みがもっと欲しいかな。(やっぱりオケ版の迫力にはかなわない)
子供の頃によく読んだSF小説だと、火星はかつて古代文明が栄えていたが、今はすでに年老いて枯れた星...という設定が多かった。
この曲は厳つく、オドロオドロしい曲想で、そういう朽ちた星という雰囲気は全くない。

II. Venus, the Bringer of Peace
金星。こういう緩徐系の曲は、ピアノの透明感のある響きが静謐で美しく聴こえるので、原曲よりも好き。

III. Mercury, the Winged Messenger
水星。伝令の神ヘルメスの星なので「翼のある使者」。
細かいパッセージが続き、ピアノのタッチがとても軽やか。風のように舞ったり、駆け抜けていくような雰囲気がよく出ていて、躍動感のある軽やかさがとても良い感じ。

IV. Jupiter, the Bringer of Jollity
木星。ローマ神話の主神ユピテルのごとく、堂々として壮麗な曲。
ピアノ2台だけだと、オケ版よりは重厚さと色彩感が薄くはあるけれど、それでもかなり華やか。
中盤に出てくるサビの有名な旋律は、堂々とした響き。火星と同じく、こういうところは、やっぱりオケ版の方が良い。

V. Saturn, the Bringer of Old Age
土星。時の神が司る”老い”をもたらす星。
冒頭は怪しげで不気味だし、全体的に沈滞というか淀んでいるような重たさ。
ピアノだと、低音の不気味さや威圧感がもう一つ。

VI. Uranus, the Magician
天王星。ピアノ版だと響きがとても軽やかで、軽妙さと不可思議さがブレンドしたような、ちょっと調子が外れたところがあって、面白い曲。
オケ版だと響きがかなり重く、低音のホルンもいかめしくて、随分雰囲気が変わる。

VII. Neptune, the Mystic
海王星。原曲は、ハープ、弦、チェレスタがとても夢想的で、女声合唱も幻想的な美しさ。
透明感のあるピアノの響きも、煌くように瞬いて、時にハープのようにも聴こえる。クリスタルブルーの海中のイメージが浮かんでくるように美しく、ファンタスティック。


火星と木星のように勇壮、華麗、堂々とした雰囲気や、土星の不気味さや重苦しさは、やっぱり原曲の管弦楽版で聴いた方がよくわかる。
天王星は、オケ版とピアノ版では、印象がかなり変わるので、どちらで聴いてもそれぞれ面白い。(どちらかというとピアノ版の方が好きだけど)
神秘的でファンタスティックな雰囲気の金星、水星、海王星は、ピアノの音の方がクリアな透明感があって好きなので、これはピアノ版で。


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