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ヴィラ=ロボス/ブラジル風バッハ第3番&第4番(ピアノ協奏曲版,ピアノ独奏版)
ヴィラ=ロボスといえば、まず《ブラジル風バッハ》。特に第5番の美しいアリアは有名で、ベスト盤とか名曲集で、この曲(楽章)だけとりだして録音しているCDをよくみかける。
《ブラジル風バッハ》は全9曲。楽器編成が曲ごとに違うという面白い構成。
こういうタイプの作品ですぐに思い浮かぶのは、ヒンデミットの《室内音楽集》とラーシュ=エーリク・ラーションの《12のコンチェルティーノ》。

私がまず一番先に聴くのはピアノが入った曲なので、《ブラジル風バッハ》では、ピアノ協奏曲の第3番、それにピアノ独奏版と管弦楽版がある第4番。

Heitor Villa-Lobos : The Complete Choros & Bachianas Brasileiras (7CD BOX) [Import]Heitor Villa-Lobos : The Complete Choros & Bachianas Brasileiras (7CD BOX) [Import]
(2009/07/13)
Various

試聴する(米国amazon)
ショーロスとブラジル風バッハ全曲を収録したBOXセット。NMLのリスナーレビューによると、NAXOSのシャーマーホーン盤よりもスイング感が薄く、ラテン音楽にしてはかなり洗練されたタイプの演奏らしい。ブラジル人のミンチェク&サンパウロ交響楽団の演奏とはいえ、BIS盤なのでインターナショナル志向なのかも。(ピアノはJean Louis Steuerman)


ブラジル風バッハ第3番(1938)

9曲中、唯一のピアノ協奏的な曲。どちらかというと、ピアノ・ソロが華やかに主題となる旋律を弾くというよりは、オーケストラの1パートを担っているような協奏的交響曲風。ロマン派とバロックが融合したような趣き。
主題旋律はロマンティシズムを感じさせるところはあるけれど、ピアノソロで聴いた第4番に比べると、あまり強い印象がない。
たぶん第1楽章~第3楽章の曲想が良く似ているので、個々の主題旋律の印象が薄まってしまったのかも。

第1楽章 Preludio: Ponteio
プレリュードらしく、ドラマティックな幕開けのような雰囲気。

第2楽章 Fantasia: Devaneio (Digression)
この楽章は、ピアノが煌くように華やか。それほど幻想的というわけではないけれど、終盤のサビのところは映画音楽のようにロマンティックな盛り上がっている。バッハの前奏曲のコラール風な静寂さも。

第3楽章 Aria: Modinha
この楽章を聴き始めると、第1楽章~第3楽章まで曲想がかなり似ているような気がしてきた。
アリアにしては、かなり力強いタッチで、行進曲風なところもあって、映画音楽風にドラマティック。

第4楽章 Toccata: Picapu
この楽章だけ、随分雰囲気が違うトッカータ。
ブロッホの《コンチェルト・グロッソ》を少し連想させるような古典的な旋律と和声が主体かと思うと、シンフォニックなサウンドはどことなく映画音楽風だし、様式が折衷的な印象。


ブラジル風バッハ第4番(1939)

この曲は、なぜか管弦楽版とピアノ独奏版がある。最初に書いたのがピアノ独奏版、管弦楽版はその2年後。

第1楽章は珍しくLentoで、Prelude (Introduction)
やや神秘的で憂いを帯びたとてもロマンティックな主題。ロマン派音楽の旋律といっても、なるほどと思えてくるほどに繊細で綺麗な旋律。
この旋律がゆったりとしたテンポで、ひたすらリフレインされるので、頭の中にこびりつきそう。
管弦楽版とちがって、ピアノ独奏だと静謐さのなかに情熱が秘められているような趣きがあり、それでいてさっぱりとした透明感もある。

第2楽章もゆったりとLargoChorale (Canto do Sertao)

第3楽章も相変わらずまったりとmoderatoAria (Cantiga)
アリアにしては、かなり力強いタッチで、これを歌にしたものをどこかで聴いたような..。記憶を辿ると、どうもジェフスキの《不屈の民》変奏曲らしく思えてきた。
ジェフスキはアメリカ人でも、《不屈の民》の元ネタの旋律は、チリの作曲家セルヒオ・オルテガが民衆歌をもとに作曲したものなので、ラテン的な音階や旋律が似ているかも。
ただし、ピアノソロで聴くとそういう気がするけれど、管弦楽版だと響きが全然違うので、それほど似た感じはしない。

第4楽章は、ようやくテンポがあがって、Miuto ritmado e animado
軽快なテンポとタッチのDance (Miudinho)。冒頭からラテン風(とでもいうのか)のリズムと旋律は、アルベニスの《イベリア組曲》を連想させるような港町の爽やかな風が流れているような曲。
この楽章だけとりあげて、ジャズのピアノソロなんだよと言われても、そんなに違和感がない。

管弦楽版とピアノ独奏版を聴き比べると、ピアノ独奏だと音も少なく響きがずっとシンプルなので、静謐さと透明感があって、やや冷んやりしたさっぱりとした叙情感。
第1楽章などはモノローグ的ノクターン風といった雰囲気。

管弦楽版の方は、色彩感が豊かで響きに厚みがあるので、叙情感が深くてとてもロマンティック。
弦楽器が奏でる低音~高音の響きの色彩感と流麗な流れが、哀愁溢れた曲想と旋律に良く似合っている。
ゆったりとしたテンポで緩急の変化が少ないのに、飽きることなく惹きつけられてしまう。
特に、第1楽章の深い叙情感がとても美しくて、交響曲よりピアノが好きな私でも、第4番は管弦楽版の方で聴きたくなる。

第2楽章と第3楽章はどちらの版でもそれほどこだわりはないけれど、第4楽章はピアノソロが素晴らしく良くて、煌くような輝きと軽快な躍動感がとても爽やか。
管弦楽版とはかなり違った趣きで、全く違う曲のように聴こえる。第4楽章だけでも、ピアノ独奏版で聴いてほしいと思うほどに魅力的。

第1楽章(管弦楽版)
Bachiana Brasileira No. 4 for piano (1930-41) - orch. in 1941, I. Prelúdio (Introdução)



第4楽章(ピアノソロ)
Youtubeのライブ映像ではあまり良い演奏がなく、このGabriel Ferrazのライブ映像が、一番音響的にすっきりして、テンポやリズムなども他のピアニストよりもずっと良かった。

H.Villa-Lobos - Bachianas Brasileiras 4 - Dansa


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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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