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キース・ジャレット 『ケルン・コンサート』
今、NHKの深夜放送では、1時、2時...と正時に10数分放送される震災関連ニュースの間に、天気予報や募金情報などが、音声案内なしで画面に次々に表示されている。
その時にBGMで流れていたのが、ジャズのピアノ・ソロ。
ああ、どこかで聴いたことがあると思ったら、硬質で弾力のある音とオスティナートが続く曲は、明らかにキース・ジャレット。それに、いつものようにキースの唸り声や叫び声とかが聴こえてくる。
演奏が終った後の拍手まで放送されているので、これはインプロヴィゼーションのソロコンサート。
※毎日ジャズなのかはわからない。22日午前(深夜)に聴いてみたら、イージーリスニング系だった。23日は再びキース。最初はパリ・コンサートの<Wind>、続いて<October 17,1988>。

この曲はケルン・コンサートらしいけれど、ケルンはずっと昔に聴いたきりで、ここ数年は全然聴いていないので、違うかも...。
少なくとも、私が好きなパリ、ブレゲンツ、スカラでないのは確か。
サンベアとか他のソロコンサートの可能性もあるけれど、BGMで使うなら一番有名なケルンの可能性が高い。
でも、ケルンだとしたら、昔聴いたときの印象とは大分違う。
昔は聴き疲れしがちでかなり苦手意識があったけれど、このBGMにはそういうところがなくて、緊張感と集中力を持って聴かずとも、自然に入り込んでくるようなとても心地よい響き。

ということで、ケルンのCDを久しぶりにひっぱり出して聴いてみたら、やっぱりケルンだった。
<PartIIA>の冒頭のリズムは特徴があるので、間違いようがない。
キースの伝記を読んでいたら、このコンサートの直前はほとんど眠っていなくて、頭がぼ~っとした状態だったので、なかば意識朦朧として弾いていたという。

多用されるオスティナートと筋書きの見えない展開のせいか、夜の海の波間に漂っているような浮遊感というか、思考とか意識とかから解放されていくような感覚。
窓の外が明るい日中ではなく、真っ暗な夜中に聴くと、ミニマル的な音の流れのメカニカルな単調さがとても心地よい。
曲想が変わると、ケルンコンサートってこんなにポジティブな雰囲気だったかしらん..と思うような爽やかな躍動感と開放感。


<PartⅠ>は内省的で少しまどろんでいるかのよう。21分くらいから曲想が変わって、夢の中から覚醒したように、ミニマル的な和音の連打で、リズミカルで明るい。
昔聴いた時からずっと記憶に残っていたのが前半部分だったので、この終盤部分を聴いたら、ケルンてこんなに明るい雰囲気だったかなあと思い直した。
<PartⅡA>は、PartⅠの終盤の続きのような軽快なタッチで始まって、中盤までは同じような曲想が続く(これが結構長い)。
中盤過ぎるとテンポが落ちてゆったり。少し不協和的な響きの和音が入って、モノローグ的に。
<PartⅠ>の前半に少し似ていて、しっとりとした湿り気が漂うような音色の音は水滴がしたたり落ちてくるような。
<PartⅡB>はそのままアタッカのように繋がって、徐々にエンジンがかかっていくような序奏的な始まり。
キースのソロリサイタルを聴いていると、よく浮かんで来る情景が人の全くいない静かな湖。蝶が飛び交っていたり、植物が静かに呼吸してゆっくりと姿形を変えていくような自然観察フィルムを見ている(聴いている)ような感覚を覚える。
一番短い6分弱の<PartⅡC>は、フィナーレらしく、4曲中で最もジャズ風なノリのよさがあって、右手の主旋律のメロディも、左手の伴奏との和声もとても綺麗。爽やかな開放感もあって、この曲が一番聴きやすい。

久しぶりにケルンを全曲通して聴くと、昔から感じていた苦手意識はすっかり消滅。
ケルンと比べると、後年のパリやスカラのソロではクラシック的・古典的な叙情感のなかに一種の堅苦しさや理屈っぽさがあるような気がしてくるほどに、すんなり自然に馴染めてしまったのでした。


Keith Jarrett - The Koln Concert Part 4 (PartⅡC)


Koln ConcertKoln Concert
(1994/02/15)
Keith Jarrett

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tag : キース・ジャレット

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独盤で聴くケルン
こんにちは。
昔から幾度となく聴いたアルバムです。クラシックを聴きはじめてから、音の響きの美しさに惹かれつつも、旋律から旋律へと遷移するときの軽い「もたつき」感が気になりました。最後の曲がその点で一番好きです。
つい最近,当時の西独プレスのLPを入手しました。CDや日本盤LPとは隔絶した音世界で、ピアノの音の艶に痺れています。ほんとうにお聴かせしたいくらい。
ピアノの音、響きに気になりだしたのも、クラシックを聴きはじめてからなんですが。
LPの音
ken様、こんにちは。

クラシックと違って、キースの即興はぐるぐる循環しつつ、どこかまさぐりながら進んでいくところがありますね。
あまりスラスラ弾かれてしまうよりは、かえって面白いとは思います。

LPでも、盤が違うと音質も違うのですね。よくCDよりはLPの方が音が良いと言われますが、私はCD世代なので、LPの音の良さというのがもう一つよくわかりません。
そんなに凄い音なら、一度聴き比べてみたいものです。


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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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