耳鳴り治療のための音響・音楽療法(トピックス) ~ フランシスコ・ロペス 『Through Looking Glass』 

2011, 05. 11 (Wed) 18:00

たまたま見つけた実験音楽のCD-フランシスコ・ロペスの『Through the Looking Glass』(ガラス越しに見ると)(KAIROS盤)。
サブタイトルは、「現象論的音響素材のリアリティとバーチャリティ・環境音の録音とその変容」。
副題の言葉どおり、シンセサイザーを使わず、自然や現実に存在する音だけを使って構成されている音楽。これを”絶対的具体音楽”と言うらしい。

作曲者のロペスは、環境音を使ったサウンド・アート、サウンド・インスタレーション、実験音楽を制作し続けており、フィールド・ワークは世界60ヶ国に及ぶという。(アリアCDの紹介文)
(インスタレーションというと、宇宙人の巨大なテント(?)のようなクリストの作品くらいしか知らない)

フランシスコ・ロペス:エクスペリメンタル・エレクトロニックミュージック界のブラームス(SHIFT 日本語版/世界のクリエイティブカルチャーを紹介するバイリンガルオンラインマガジン)

Through Looking GlassThrough Looking Glass
(2009/07/14)
Francisco Lopez

試聴する(米amazon)

マスキング用だけに購入するには、4枚組なのでちょっとお値段が高め。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)に登録されているので、有料会員ならば全曲聴けます。

また、米国のNMLサイトでは、会員ではなくても、このCDが合計15分間だけどのトラックでも無料で聴くことができます。
http://www.naxosmusiclibrary.com/home.asp?rurl=/default.asp
トップページ右下にある[Free Preview]をクリック⇒検索画面の右上にある検索BOXに"Lopez Francisco"を入力⇒リストの上から4番目”LOPEZ, F.: La Selva / Belle Confusion / Buildings / Qal'at Abd'al-Salam / O Parladoiro Desamortuxado (Lopez)”がこのCDです。


このCDは、チェンバロの倍音や周波数波形を調べているときに、検索でたまたまヒットしたページに紹介されていたもの。
この音楽(というか環境音録音集?)を聴いていると、耳鳴りのマスキングとして使われる種類の音が膨大に詰め込まれている。
耳鳴りの周波数が人によって違うので、相性の良いマスキング音もそれぞれ違う。音に対する好みもあるだろうし。
マスカーに使えそうなのは、《ジャングル》。リズム、音色、高低、音量など、音のバリエーションが豊富で、音自体が聴いていて面白い。
《ベルの混乱969》も面白いと言えなくもない音がするけれど、かなり不気味なので好みによる。
《無題》は、雑音のような単調な音なら使えるかも。


CD1《ジャングル》(1997年)
熱帯のジャングルに満ちている自然の音。これだけで延々1時間以上。
冒頭からカエルがゲコゲコ合唱しているのを聴くと、なぜかカポーティの《カメレオンのための音楽》がすぐに思い浮かぶ。カエルとカメレオンって、多分鳴き声が全然違うはずだけど。
さらに、雨音、川の流れる音、滝(それとも豪雨)の轟音、虫の羽音、鳥や小動物の鳴き声など。
これを聴いていると、本当に熱帯のジャングルにいる気分になる。
ブーンという虫の低音の羽音は、こちらに本当に接近してくると感じるようなリアリティ。
全くストーリー性のない環境音が単に繋がっているだけ(に思える)なのに、それぞれの音が結構面白くて、最後までじ~っと聴き入ってしまいそうになる。

CD2《ベルの混乱969》(1996年)
”Belle Confusion”が原題。綺麗な鐘の音どころではなく、空洞を流れる風の音、配管を空気が流れる音とか、人工物を媒介にして聴こえる音。
自然界にある音なら、鍾乳洞とかの洞窟を吹き抜ける風の音に似ている。水中の音もこういう感じかも。
ゴオオーン、ワオーン、シャーシャー、etc.と、とにかく不気味。SF映画やオカルト映画の効果音向き。

CD3《ビルディング》[ニューヨーク](2001年)
ニューヨークのビル群のなかで発生する音たち。
何かの機械が動く音、モーター音、エンジン音、地面に落ちる雨音(?)、とにかく金属的・人工的な硬い音が多い。ビル群を吹き抜ける風の音らしきものも。
このCDの音は、もう一つ面白く聞こえない。
機械の音自体、聞いていて楽しいものではないし、音があまり鳴っていない部分が多くて、音楽として聴くには、リズムとか音響面の面白さが感じられない。

CD4《ガラアト・アブダル・サラム》(1993年)
(たぶん)マドリッドにある"Qal'at Abd'al-Salam"のパブリックスペースで収集した音。音と音の関連性は緩い。
I. Seeds of bird
II. The game of the tree
III. Mesedra
IV. A call from the water of life
V. The thunder hall
VI. Horses
VII. The wind and sand machine

CD4《O Parladoiro Desamortuxado》(1995)
静寂/騒音を取り混ぜた音の集合。
I. Escape of cryocriatures
II. The game of mud
III. A time spirit in the body of the plant
IV. Twelve raging fishes
V. The dream of the coffee man

CD5《無題》(2008年)
No.217~No.219の3つの無題。No.217とNo.218は似たような音で構成。人工物から発生しているのか、自然の現象なのか、音の正体がもう一つよくわからないものが多い。
No.219は人工物の音らしい。遠くから聞こえる飛行機のエンジン音?、トイレの水を流す音?、正体不明。

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