減少するピアノ生産台数 ~ 製造拠点の海外シフト、電子ピアノの増加

2011.08.22 18:00| ・ 音楽(本&映画)
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減少の一途をたどるピアノ生産
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インターネットを検索していたら、たまたまピアノの生産台数の記事が目についた。
静岡県西部地域しんきん経済研究所のリサーチレポート(No.6/2010年03月17日)の「10万台を割り込んだピアノ生産台数」という記事。
そういえば、昔は街を歩いていると、どこかのお家からピアノを弾いている音がよく聞こえてきたのに、最近はめったに聞こえなくなくなった。
電子ピアノや消音機能付きのピアノが増えていることもあるのだろうけれど、少子化や、他のお稽古事(英会話とか)、塾通いに時間をとられて、アクティブなピアノ人口が絶対的に減っている気はする。
住環境の面でも、都市部は3階建住宅が増えて、ピアノが2階に置いてあるし、エアコンを入れていると窓も閉めたままだし、住環境も昔とは随分変わっているので、それも影響しているのかもしれない。

ピアノ生産は、浜松市に本社がある「ヤマハ」「河合楽器製作所」、磐田市の「東洋ピアノ製造」の3社で国内シェアの99%を占める。
静岡県楽器製造協会が毎年、生産台数統計をとっている。
それによると、平成21年の静岡県内のピアノ生産台数は平成20年に3割減(41,375台減)の93,390台となり、昭和37年以来、47年ぶりに10万台を割り込んだ。
高度経済成長期の昭和55年の年間39万台をピークに生産台数は減少の一途。
平成5年に20万台を割り込み、ピーク時の半分に。
近年は10万台を維持していたが、リーマン・ショック以降の景気低迷の影響で、昨年の生産台数が対前年比、3割の落ち込み。

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(出所:リサーチニュース「10万台を割り込んだピアノ生産台数」(2010年No.6)(静岡県西部地域しんきん経済研究所))


<ピアノ生産減少の要因>
-アップライトピアノ製造の海外シフト
-安価・省スペースで演奏を楽しめる電子楽器の普及
-自動車や家電のような買い替え需要が期待できない

<統計方法の見直し>
静岡県楽器製造協会は、製造拠点の海外シフトに対応して統計方法も2011年1月分より見直した。
従来は、国内製造した鍵盤やフレーム等の部品を海外工場で組み立てたノックダウン方式のピアノも「国内生産」としていた。
海外へ送るノックダウン部品も、以前はほぼピアノ1台分を出荷していたが、ここ数年はアクションや鍵盤の海外現地生産が進み、送るのはほとんどフレームのみにまで減少していた。
この見直しにより、完成品の出荷した場合のみ「国内生産」とカウントする。
この基準を適用すると、2010年の生産台数118,909台のうち、「国内生産」とカウントできるのは35%のみ。


リサーチニュース「10万台を割り込んだピアノ生産台数」(2010年No.6)(静岡県西部地域しんきん経済研究所)


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増加する電子ピアノ
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ピティナニュース「国内ピアノ販売台数統計」に、雑誌「ミュージックトレード」の国内ピアノ販売台数統計が引用されている。

機種別にみると、グランドピアノ、アップライトピアノとも減少基調、電子ピアノは減少・増加の波があるが、近年は増加傾向。
アップライトと電子ピアノでは、価格・機能面ではかなり違いはあるが、アップライトピアノが減少の一途を辿る一方、その需要の一部を取り込んだ形で電子ピアノが伸びているのだろう。

最近はクラシック・ピアノを練習している人でも、自宅では電子ピアノを使っている人が増えているようだ。
ピティナ専務の話だと、今やピアノ≒電子ピアノ。グランドピアノの普及を目指していたが、これだけ電子ピアノ使用者が圧倒的に多くなると、電子ピアノを前提としたピアノ指導も考えなくてはならない、という。

といっても、電子ピアノでしかできない練習というのもあるのだろうけれど(音楽ソフトを伴奏に使ったりとか)、本来練習すべきタッチや音色の変化、ペダリングなどは、アコースティックピアノを使わないと難しいことは多い。

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好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、ミンナール、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

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