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ファジル・サイ ~ バッハ=リスト編曲/前奏曲とフーガ BWV543
リスト編曲のバッハ《前奏曲とフーガ BWV543》の録音を探していたら、Youtubeでファジル・サイの音源を偶然発見。
聴いてみたら、"奇才"のサイにしては至極まっとうな演奏だった。
たしかサイのCDは以前何枚か買ったけれど、たぶん処分したはず...と思ってCDラックを探したら、モーツァルトとバッハのCDがまだ残っていた。
一番評判になったストラヴィンスキーのCDは見当たらなかったので、バッハとモーツァルトだけは、考え直して手元に置いておいたらしい。

シャコンヌ!~サイ・プレイズ・バッハシャコンヌ!~サイ・プレイズ・バッハ
(2004/03/24)
サイ(ファジル)

試聴する
国内盤(廉価盤)が8月17日に発売予定。HMVで予約可能。

《フランス組曲第6番》、《イタリア協奏曲》は、ノンレガートで切れ良いタッチ。
コツコツとした硬質なタッチなので、ガヴリーロフのレガートな響きのフランス組曲ばかり聴いていると、ちょっと雰囲気が違った曲に聴こえる。
CDジャケットを見ると鍵盤が逆立ちしたりしてちょっとアブナイ感じがするので、サイだから何か奇抜なアイデアがあるのかも...と思って聴くと、そういう点ではたぶん面白くはないと思う。
最後の《平均律曲集第1番》は、ゆったりとしたテンポとやわらかめのタッチ。
どちらかというと、とてもまともなバッハよりも、ロマン派的なドラマティックな編曲ものの方が聴いていて面白い。

リスト編曲の《前奏曲とフーガBWV543》が、個人的にはこのアルバムの中で一番良くて、特にフーガにちょっと感動してしまったくらい。
冒頭からゆったりとしたテンポで、インテンポで淡々と進んで、内省的な静けさが漂うところが予想外。
それほど起伏が激しくはないけれど、静かに歌うような滑らかな起伏があり、旋律の流れがとても自然。
特にニュアンス豊かな弱音のささやくような歌い方と澄んだ叙情感がとても綺麗。こういうところは何度聴いても美しい。
もともと力感の強いタッチの人なので、弱音から抜け出てしっかりしたと一音一音をマルカート気味で弾くと、切々と訴えかけるような音の圧力がある。
終盤にさしかかると、フォルテの打鍵がパワフルで、低音がとても力強く響く。弱音部分のタメがよく聴いているせいか、抑えられていた感情が内面から湧き上がってくるかのよう。
こういうドラマティックなところは好きだけれど、フォルテは力で押した威嚇的な感じがするのと、低音の響きが少し濁りがちであまり綺麗に響かないのがちょっと残念。
レーゼルのようなコントロールされた力感のあるタッチと深く澄んだ響きのフォルテだと、格調があるんだけど。
フォルテのタッチはともかく、静謐な叙情感の美しさとドラマティックな展開には"奇抜"を感じさせるところはなく、そのせいで曲そのものの美しさが伝わってくる。


FAZIL SAY PLAYS J S BACH FUGA A MOLL BWV 543


Liszt/Preludes and Fugues BWV 543 by J.S.Bach No.1 (S.462/1) [楽譜ダウンロード:IMSLP]



《前奏曲とフーガ》がとても印象的で気に入ってしまったので、それと比べると個人的な好みとしては《シャコンヌ》はもう一つ。
《シャコンヌ》は録音も多くて、いろいろ聴きすぎているし、好きな演奏がだいたい決まっているせいもあるかもしれない。
《前奏曲とフーガ》と違って、かなり起伏が大きく表現意欲が強くなっている。緩急のコントラストが強めで、ゆったりとしたテンポの弱音で弾くときは、打鍵もずっと丁寧で表現にも繊細さがありけれど、急速部分はちょっと速すぎてせわしない感じ。
ブゾーニ編曲なので重音が多く、もともと低音の和音に濁りがあるので、ペダルを使うとそれが目立ちやすく、これがかなり気になる。和声とか残響を美しく聴かせるというところはやや無造作かも。
パワフルで力感のある人なので、フォルテはよく鳴るけれど、勢いがつきすぎてタッチや表現ともやや雑な感じがする。特にテンポが速くなると、弱音でもタッチが粗くなりがちのような...。

《前奏曲とフーガ》のCDレビューは<Kyushima's Home Page>”J.S.バッハ/リスト 前奏曲とフーガ イ短調BWV543”
ファジル・サイの録音については、このレビューどおり。《シャコンヌ》のレビューもあり。


tag : バッハ フランツ・リスト

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(非公開コメント受付中)

ファジル・サイを聞いて
musicaさん、こんばんは。

最近まで、ほとんどクラッシクはあまり興味がなく聴くことが少なかったですが、ここで(musicaさんのHP)でとても興味を持てる曲が多い事を発見しました。このファジル・サイの演奏しているバッハも、現代的に聞こえてます。まるで、平和な日常を楽しく引いているような印象です。特に最初のアルマンドは、とてもリズミカルで楽しいとさえおもえます。ほんとうは、もっと違った背景があるのかもしれませんが。。。一人で、ゆったりと、そして静かに聴くにはとてもいい曲だと思いました。
バッハの世界
アメーバの友さん、こんばんは。

バッハは普遍性と多様性を持った音楽なので、現代人にも共感しやすいと思います。
ロマン派のようにウェットな個人的な感情を訴えることがないので(そういう風に弾く人もいますが)、押し付けがましさがなくて、聴きやすいですね。
一人静かに聴くのに向いていてますし、モーツァルトよりも癒し効果が高いです。

サイのバッハは、変なクセや奇抜さがなくて、至極まっとうな演奏だと思います。(「シャコンヌ」はベタっとロマン派的な演奏ですが)
「アルマンド」は舞曲なので、軽快で明るいタッチの曲が多いですね。
バッハの鍵盤楽器曲のなかでは、フランス組曲は優雅で優しい雰囲気なので、人気があります。
有名なのは第5番(特に第1曲のアルマンド)です。いろいろ聴きましたが、アンデルジェフスキの演奏が一番軽やかでリズミカルで、サイとはタッチが違って、音がふんわり羽毛のように軽く柔らかいです。
http://www.youtube.com/watch?v=ucb2vXSVvl0

バッハといえば、ピアノ演奏だとグールドが有名でファンも多いのですが、私はあまり好きではないので、まず記事に書くことはありません。
youtubeで Gould Bach で検索すれば、たくさん音源があります。有名なのはゴルトベルク変奏曲ですが、下の音源は晩年の再録音です。(これは例外的にわりと好きな演奏の一つです)
http://www.youtube.com/watch?v=g7LWANJFHEs

バッハの曲は管弦楽曲、協奏曲、器楽曲、室内楽曲、合唱曲など、膨大にありますし、バッハに限らず、クラシックの世界はとても広いので、お好みの曲はたくさん見つかると思います。
でも、あまりに曲が多すぎて探すのも大変ですね。クラシックの名曲ガイドはたくさん出てますし、お住まいの街の図書館でCD貸出サービスがあれが、それを利用すると便利です。
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Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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