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ポール・ジェイコブス ~ ドビュッシー/映像第2集
ドビュッシーの映像第2集は、第1集の『水にうつる影』に輪を掛けて幻想的。
そのせいか、捉えどころがなくてあまりきちんと聴いていなかった。
好きなはずのアラウの演奏だとちょっと重たい感じがして、ぴたっとこないところがあったので、こういう時は一番相性の良いピアニストの演奏で聴いてみるに限る。
現代曲を得意としたジェイコブスの演奏は、第1集よりも第2集の方が色彩感と響きの両方が多彩で、さらに冴えている。
ファンタスティックではあるけれど、音の視覚喚起力が強く、曲のタイトルとなっている情景がとてもリアルに浮かんできそう。

Debussy: Images/EstampesDebussy: Images/Estampes
(2002/08/04)
Paul Jacobs

試聴する(米amazon)[Nonesuch原盤にリンク]



《映像 第2集》 "Images 2" [ピティナの作品解説]

1.葉ずえを渡る鐘の音 "Cloches a travers les feuilles"
冒頭は、シサスク風の神秘的な和声でとても幻想的。
まるで宇宙のどこかで物質が徐々に融合し化学反応を起こして、新しい何かが生成していくようなイメージが湧いてくる。
やや冷たく硬い音色の高音が宇宙の冷たさを感じさせる。
"葉ずえを渡る鐘の音"を思い浮かべるなら、細かい伴奏的なオスティナートのパッセージが葉のざわめきで、高音の旋律線が鐘の音なんだろうと思う。
やがて、アルペジオと重音で動的なパッセージに変わり、フォルテで音がキラキラと輝いてくると、これは地上の世界のイメージ。
鐘の音が葉の間をするすると駆け抜けていくようなスピード感と方向感がある。
この曲は特に音色と響きが多彩で、葉が風に揺れるさわさわざわざわ感と、硬くて煌きのある鐘の音との質感の違いがよくわかる。
ジェイコブスの演奏は色彩感豊かで、単に音が並んでいるのではなく、歌うような細やかなニュアンスと流麗な旋律の流れがとても綺麗。
水・風・樹木などの自然をモチーフにしたドビュッシーの曲のなかでは、、最も一番ファンタスティックできらめくような色彩感があるので、一番好きな曲の一つになってしまった。

2.そして月は廃寺に落ちる "Et la lune descend sur le temple qui fut"
この曲は初めて聴いた時は、やたら音のまばらで隙間だらけの曲だな~と思ったもの。
朽ち果てた寺が人気のない静寂さのなかで佇んでいる雰囲気は"pagoda"とは違って、"temple"のイメージ。
時折現れる高音の旋律は東洋風で、これは月明かりに照らされたお寺の情景?
旋律や和声がとてもファンタスティック。残響が消えて音がほとんどない時間が挟まれていて、静(白黒)・動(カラー)が交錯していくのが面白い。

3.金色の魚 "Poissons d'or"
とても具象的なモチーフなので、幻想性が稀薄で、活動的で質感・量感のある具体的なイメージが湧いてくる。
金色の濃いが水の中で跳ね回って、水しぶきがあがったり、鱗が明かりに反射してきらきら輝いている様子。


tag : ドビュッシー ジェイコブス アラウ

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宇宙からのお便り
ムジカさん、こんにちは!

ドビュシーって名前は聴き憶えがあるけど、初めて聴かせていただきました。

天国に昇天するときって、きっとこんな混じりけのない透明な視覚世界に包まれるのかなぁ~
そして、下界の地上世界を眺めている・・・きらきらとした光が反射する木々のざわめきと鐘の音
一枚のステキな抽象画が浮かんで来ます。

Musica解説の表現力はすばらしいです。
導かれて、涼やかに鑑賞できました。

蒸し暑い夏に、天国(宇宙)からファンタスティックなお便りが届きました。
それでは、また。。。
別の惑星の音楽
ゆりさん、こんにちは。
今日も暑いですね~。このところは湿度がそれほど高くはないので、少しだけ過ごしやすく感じます。

ドビュッシーはとっても人気のある作曲家です。
名盤も多いですが、ミケランジェリが一番有名でしょう。それにツィメルマンも評価が高いです。

この曲、綺麗でしょう!アラウの演奏は、響きが厚くてタッチもちょっと重たくて好みが分かれますが、それでも充分綺麗です。
アラウは、ドビュッシーの音楽を"別の惑星の音楽"と言ってました。
別世界のプリズムを通して、こちらの世界を見ているような感覚がします。
それに、どこか冷たい響きがするせいか、夏に聴くと涼しさを感じます。

ロマン派のような感情移入の世界とは違って、ドビュッシーの曲は音そのものの美しさが際立っていますし、自然の(それも目には直接見えないような)動きや情景を連想させるところが面白いです。
聴き手の想像力で、いくらでも多様な解釈が成り立つように思います。

私の文章は理屈が先にあって、それにあてはまる言葉を考えるというパターンなので、ゆりさんの表現の方が、ずっと詩的で文学的だと思いますよ!
ゆりさんの文章を読むと、いつも素敵なセンスを感じます。こういうところは天性というか素養の問題なので、誰でもすぐ書けるものではないですね。

これはとても有名な「月の光」です。タイトルどおり、夜空から月の光が舞い降りてくるような曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=-LXl4y6D-QI
「月の光」聴きました
ムジカさん、ドビュッシーの「月の光」聴かせてもらいました。

月の光が舞い降りてくる・・・その光の中で愛を語る恋人たち・・・綺麗なメロディーなのに、何故かつかみどころのないを不安定さを感じてしまう。
印象派というよりコンテンポラリーな現代絵画が宙に浮かんでくる。

ベートベンのピアノソナタ「月光」も聴いてみました。文句なしの美しい曲です。

初めて聴いたドビュッシーに、現代的な「人間存在の不確かさ」を垣間見てしまいました。その一方に、「愛」を求めて行く強力な「意志」も伝わって来ます。

「月の光」も「月光」も私のFAVOURITE CLASSICS になりました。

ムジカさん、音楽って自由に聴いていいんだよね。
私に音楽の喜びを授けてくれるムジカ女史に「ありがとう!」
音楽の聴き方
ゆりさん、こんばんは。

「月の光」、早速聴かれたのですね~。
おっしゃるとおり、”現代的な「人間存在の不確かさ」”がドビュッシーの音楽にあるように私も思います。
初期の作品は調性が安定していて綺麗な曲が多いのですが、それでも、どこか漠然とした不可思議なものを感じますね。
「映像」⇒「前奏曲」と後年の作品になるにつれ、その傾向が顕著で、最後は現代音楽の無調の世界に近づいていきます。

ドビュッシーは、印象派的絵画のような音の美の世界と考える人もいれば、アラウのようにその奥には「感情」が潜んでいるに違いないと解釈する人もいて、その解釈によって演奏も違ってきます。

ドビュッシー自身は、「前奏曲集」では、楽譜の最終頁の右下のところに、«  »で題名を書いているだけです。演奏者や聴き手が、曲名が喚起するイメージに捉われて欲しくないからでしょう。ドビュッシー自身は”印象主義”と言われることを嫌がったそうです。

ベートーヴェンの「月光」は第1楽章がとっても幻想的ですね。
ピアニストによって、冷たく光る湖畔の「月光」だったり、暖かい春の夜空の「月光」だったり、いろんな「月光」があります。
私は怒涛の第3楽章が好きなのですが、自分の持っているイメージにピタっと合う演奏を見つけるのに苦労しました。

ドビュッシーに限らないですが、音楽を聴いてどう感じるかは聴き手によって違いますし、こう感じなければならない...と枠にはめるものではないですね。
様式や奏法などの決まりごとはありますが、批評家などの専門家や自分で演奏する人以外は、そういうことを気にして聴く必要はないと思いますし、自分の感じたまま、思い浮かぶままに自由に聴かれれば良いと思います。
他の誰が何と言おうと、まず自分がどう感じたかが、一番大切なことです。
(岡田暁生氏の著書『音楽の聴き方』は、クラシック音楽を聴く上で、いろいろ参考になることが書いています。)

私は好きな曲をいろいろご紹介している単なる水先案内人であって、"音楽の喜びを授けてくれる"のは、作曲家とその作品自身です。(それに、良い演奏者と聴き手の感性も大事なんですが)
こんな素晴らしい音楽をたくさん残してくれた作曲家に「ありがとう!」と言いたくなりますね!
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プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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