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オリヴァー・サックス著 『火星の人類学者-脳神経科医と7人の奇妙な患者』
オリヴァー・サックスの著書『音楽嗜好症』を読んでから、人間の脳のメカニズムの不思議さに興味を引かれて、サックスのほかの著作も数冊読んでみた。
大学時代に話題になっていた『妻を帽子とまちがえた男』、映画の原作にもなった『レナードの朝』(英題は"AWAKENINGS(めざめ)")、症例解説というよりルポルタージュ的な物語ような『火星の人類学者』。
いずれも米国で大変評判になった本ばかり。日本では映画『レナードの朝』が一般に知られているけれど、原作まで読んだ人は少ないに違いない。

症例として頻繁に取り上げられているのは、過去をすぐに忘れてしまう記憶障害とサヴァン(天才児)に関するものが多い。記憶障害の場合、音楽だけはなぜか記憶に残っていくのが不思議な現象。サヴァンのケースは驚異的な記憶力で絵を描く視覚サヴァンが多いが、音楽サヴァンも登場する。

『火星の人類学者-脳神経科医と7人の奇妙な患者』で取り上げられているケースは7つ。
全色覚異常の画家、トゥレット症候群の外科医、視力を回復したことで社会に適応できなくなった盲人、過去の記憶が失われる記憶障害、驚異的な記憶力の画家、自閉症の視覚サヴァンの少年、人間の感情を理解できない自閉症の動物学者。
症例数は少ないけれど、その分個々のケースが詳しく紹介されている。
それまでの著作が、どちらかというと神経学者の視点による症例報告的な筆致で書かれているものが多く、サックス自身の共感が感じられるものと、そうでないものと、症例や患者によっても、かなりトーンが異なっていた。
それに比べて、『火星の人類学者』では、語り口がかなり物語的なタッチになっているせいか、個々の患者の内面に深く踏みこみ、サックスと患者との距離感が縮まっている。
医学的に"異常"な症例としての分析も入っているけれど、それ以上にその"異常"さと共存し、やがて欠くことのできない独自の個性になっていたプロセスを追い、彼/彼女たちの生き方に関する洞察が多くなっている。

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者
(1997/03)
オリヴァー サックス

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これはハヤカワNF文庫版。
火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)
(2001/04)
オリヴァー サックス

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個人的に一番興味を引かれたのが、色覚を失って全てが白黒の世界になってしまった画家と人間の感情が理解できない自閉症の動物学者。

画家の話が印象に残ったのは、絵を見ることが好きなので。
後天的全色覚異常という稀な状況に陥った画家は、白と黒だけを使った絵を描くことで新しい創造力を開拓したために、再び色覚を蘇らせる手術を拒否して、白黒だけの世界で生きることを選ぶ。
色彩感覚を喪失してもカラーの世界に拘っていた時期は、絶望感からネガティブで陰鬱な絵画表現に繋がっていた。
やがて、色覚の回復を諦めて白黒の絵を描こうと決心してから、誰にも書けないような斬新で個性的な作風に変わって行く。
残された機能を最大限に生かしていくことで、全色覚異常という障害を個性に変えてしまったというストーリー。

それ以上に印象が強く、共感のようなものを感じたのが、自らを"火星の人類学者"と喩えた自閉症の女性動物学者テンプル・グランディンの自伝的ストーリー。
理由を考えてみると、感情という観点から人間性というものについて考えさせられるテーマであったこともあるけれど、テンプルが女性だったので、男性の場合よりも心情的にシンクロしやすいため。(サックスの著作で取り上げられているケースは、どちらかというと男性が多い)
それと同時に、動物学者であるテンプルの価値観と信条やそれにまつわるエピソードに共感できることが多かったこと。
テンプルは、『我、自閉症に生まれて』という有名な自伝を書いているし、それをもとにした伝記映画『Temple Grandin』も製作されている。この映画は、第62回(2010年)エミー賞のテレビ映画部門で作品賞・主演女優賞などを受賞。

                         

「火星の人類学者」に登場するテンプル・グランディンは、自閉症患者には稀なことに、大学で学位ととって動物学者となり、州立大学で教え、自ら会社を設立・経営し、家畜用施設専門のコンサルタント・設計士として世界中を飛び回っている。
自閉症には、大きく分けてカマー型とアスペルガー型の2種類のタイプがある。「高い機能を持つ」自閉症はアスペルガー型症候群と呼ばれて、言語能力が発達し、社会生活を送る技術を身につけ、なかには知的な業績を残す人もいるという。

3歳頃までは言葉を全く覚えられずに感情的な衝動で暴力的な傾向があったテンプルが、言葉を覚えて以来、精神的な落ち着きを見せ、強い集中力と意志で"アニマルウェルフェア"を実践する動物学者になる。
テンプルは、人間の感情的側面が全く理解できないという自閉症に特徴的な症状を持っているけれど、なぜか動物に対しては深い愛情と思いやりを持り、動物の持っている感情を理解できる。
彼女は、動物と人間とは(基本的な知覚と感覚が)共通だと考えているので、人道的な扱いを主張している。
テンプルが強く望んでいるのは、畜産業が動物の感情に対する感覚を取り戻すこと。そのため、家畜を最終的に苦痛なくして死なせる"処理方法"やプラント建設のコンサルティングのために世界中を飛び回っている。

欧米では、家畜の快適性に配慮した飼育管理を行う"ファームアニマルウェルフェア(家畜の福祉)"という思想が近年強まっている。
このテーマについては、興味があって以前に調べたことがあり、EUでは、「農業目的で保持される動物の保護に関する理事会指令」(98/58/EC)や、子牛・鶏・豚に関する家畜別理事会指令により、家畜に関する飼養管理についての最低基準を定めている。
また、2006年には、「EU動物福祉5カ年行動計画2006年-2010年」が発表されている。
畜産業で"有機畜産"という思想が広がっていることを考えれば、テンプルのように動物に深い愛情を持ち、動物の感情や行動に対する理解に優れ、"アニマルウェルフェア"の発想でプラント・設備設計ができる動物学者は、とても貴重なのかもしれない。

テンプルにとって、人間社会のコミュニケーション方法やルールなどを理解するのには大変な苦労があるが、動物の気分やしぐさは直観的にわかるという、動物とのコミュニケーションに優れた能力を持っている。このギャップがサックスには衝撃的だった。
テンプルの思考は"視覚的"であり、頭になかで常にあるシーンを思い浮かべて「シミュレーション」している。
サックスは、ビジュアルにだけ考えるとしたら、非視覚的な思考はわからないのではないか、言葉の持つ豊かさや両義性、文化的な含意、深みなどは理解できないだろう、と書いている。

テンプルは自らを"火星の人類学者"と喩えている。
まるで火星から来た人類学者が行うように、ヒトの言動やヒト社会におけるコミュニケーションのパターンを観察し、頭に中に膨大なデータベースを構築している。
そのデータベースを常に参照して、似たような状況で人がどのように行動するのか予測できるという。さらに、業界新聞や経済専門誌、本を読むことで、ヒトに関する知識を拡げている。これは彼女にとって「完全に論理的な作業」。
知識はストックできても、いわゆる"気配り"とか"社交的なやりとり"ができないため、ビジネスライクというか、真面目だけれど、面白みがなく、素っ気ない印象を与える。

テンプルは、「単純で力強く、普遍的な」感情なら理解できるが、「複雑な感情やだましあい」といったもの理解できないし、深いところで感情的、主観的な反応が起こらないために、音楽や美術に対して感動することもない。
感情というものを感じなければ、精神的に抑圧するものがないため、言動に表裏がなく、ある種の純粋さと率直さにつながっている。
人間社会での社交的な行為(社交活動、交友関係、恋愛など)はどうしても理解できないものなので、そういう関わりを持つことはすっかり諦めて、「仕事がわたしの人生のすべてです」と言う。
その言葉のなかには、苦痛とあきらめ、決意、そして容認がない交ぜになっていると、サックスは感じている。

テンプルは人間の感情は理解できないけれど、スター・トレックの登場人物でアンドロイドの"データ"のことはわかるという。
サックスによれば、自閉症の人で、スポック(スター・トレックシリーズで登場するキャラクター)やデータと同一視する人は多いという。
アメリカで"STAR TREK"を知らない人はまずいないだろうし、スポックやデータは特に人気のあるキャラクター。
地球人とヴァルカン人の混血であるスポックは、人間的な感情に左右されることは非論理的であり、ヴァルカン人的な理性と論理を重んじる思考・行動パターン。
データの場合は、アンドロイドなので、そもそも感情というものを持っていない。人間のようになりたいという願望が強いため、常に人間を観察して、その言動(社交面や人付き合いなど)を模倣している。
後に、"感情チップ"を回路に挿入すれば、感情を味わうことができるようになる。このチップはON/OFFできるので、状況に応じて感情を感じないようにもできる。
テンプルは、感情というものに対する感覚や他者の言動を観察・分析し模倣するという点では、まだ人間社会に慣れていない頃のデータにとてもよく似ている。
この本でスタートレックの話が出てくるとは思わなかったけれど、子供の頃から"トレッキー"の私としては、テンプルがデータを理解できると感じている理由がよくわかる。私は子供の頃からスポックが好きで、彼のように論理的かつ理性的で、感情をコントロールできるようになりたいと思ったものだった。

テンプルが神の存在や宇宙論について話すたびにサックスは驚いた。自閉症患者がそのような概念を持っているとは思いもしなかったから。
そして、感情な関わりは理解できないはずのテンプルなのに、ラストシーンでは自らの感情に突き動かされたような言動を見せる。
これは、テンプルと数日間行動を共にしていたサックスにとっては、思いもかけないことだった。
感情といっても、簡単に定義できないほどに多種多様で、テンプル自身が自覚していない感情的なものを感じさせる言葉や行動が文章から読み取れるし、おそらく疎外感のようなものを感じることはあったのでは...と思わせられるエピソードもある。
そもそも、動物に対する愛情をもつこと自体はきわめて人間的な感情であるし、自分に対してシンパシーのようなものを感じている人間に対して、なんらかの感情が湧き出てくるのも不思議ではない気はする。
読めば読むほど、ごく普通の感情を持っている人間とは違った形で、テンプルはある種の感情的なものを持っていると思えてくるし、それ以上に、彼女の動物に対する愛情と信条、そして自らの信念を実現していく行動には、人間的な深みを感じさせられる。


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備考:アニマルウェルフェアに関する参考文献
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「アニマルウェルフェア畜産物の生産・流通・消費拡大の可能性と課題」
((独)農畜産業振興機構、2010年3月)

「海外駐在員レポート/EUにおける家畜の動物愛護に関する規則について」
(月報「畜産の情報」(海外編)、(独)農畜産業振興機構,1999年8月)

『日本とEUの有機畜産―ファームアニマルウェルフェアの実際』
(松木洋一・永松美希編、農山漁村文化協会,2004年4月)

『動物感覚―アニマル・マインドを読み解く』
(テンプル・グランディン,キャサリン・ジョンソン著、日本放送出版協会、2006年5月)


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これは楽しみ
Yoshimiさん、こんばんは。

今日は久しぶりに遅くまで残業で、くたくたでした。
帰宅途中で、ブログの更新通知が届いているので、その一部だけがメールで読めるのですが、なんとも興味彈かれる本のタイトルが出ているではありませんか。帰宅する前に早速、書店に行ってこの本を探したのですが、単行本、文庫本共に在庫無しでした。残ねーん。でも図書館には、しっかりありました。もう予約済みですので、日曜日には手に入るでしょうから、仕事帰りに借りてこようと思います。Yoshomiさんの詳しい解説のおかげでたいへん興味を持ちました。それに、タイトルそのものが、僕の興味をそそりました。出版社の早川文庫。沢山持ってましたけど、もう部屋中本だらけになり、数年前にかなり多くの本と一緒に断捨離してしまいました。一部は、ブックオフに売りましたがが、100冊程度で700円~800円程度と運ぶ苦労の割には収入少なく、最近はそのまま捨てていまっています。

1997年頃は、僕はA.C.クラークやJ.P.ホーガンを主としたS.F本を読みまくっていました。どちらも、ただ単に面白いとかではなく、現実感を伴うそう遠くない未来を連想させる期待感や宇宙における人の行動形態、特にクラークの傑作「RAMA」では人類が途方もなく巨大な宇宙船で滞在した時、時間と共に人間の興味が、最初は宇宙や宇宙船といった見慣れる環境から、次第に地球での暮らしと同じ次元の意識へと傾いていき、宇宙や宇宙船には興味を持たなくなり、日々の生活の事に終始すし、地球上での生活形態となんらかわらなくなっていく様を異星人が建造した超巨大(HUGE)な宇宙船のなかで繰り広げていく様は、実に人間の本質をうまく描いていると感じさせるものでした。日本語約での文庫本総ページ数は、3000ページ弱ありますが、1995年頃から現在まで、7,8回(もっとかな?)は読み直しをしています。一度、お気にりの本を見つけると何度も長い期間をかけて何度も読み返しをしてしまう方なのです。「RAMA」などは、読み返し1回につき、数ヶ月は必要ですので、読み終わった頃には、季節が変わっているなんてことが良くあります。

少し本題からずれてしまいましたが、早川文庫から出版されている本ということもあり、楽しみです。
SF小説
アメーバの友さん、こんばんは。

暑い最中に、頭の中もさぞ騒々しいことと思いますが、遅くまでの残業、大変お疲れさまでした。

この本は、とてもおすすめです。タイトルはSF的ですが、もちろんSFじゃありません。でも、SF的にも読めてしまうので、複雑な気持ちになりますね。
文庫・単行本とも絶版らしく、私も図書館で借りて読みました。テンプルの話がとても好きなので、古本でも良いから買うかもしれません。

ハヤカワ文庫の海外の翻訳ものは、良いものが多いですね。
私もSF、冒険小説、推理小説といろいろ持ってます。昔、引越しした時にかなり処分しましたが、それでもハヤカワだけで数百冊は手元に残ってます。

断捨難、流行ってますね。昔、『「捨てる!」技術』とかいう本も流行ってました。
昔、やむをえない事情で数千冊の大量廃棄をしたので、その時から本に執着することは少なくなりました。
今でも2千冊くらいは持ってますが、ほとんどの本はいつでも捨てようと思えば捨てられるので、当分持っておくと思います。
そういえば、立花隆が『「捨てる!」技術』を徹底的に批判したエッセイがあって、面白いです。「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本・・・・・」に収録されてます。

アメーバの友さんは、SF少年ならぬ、SF青年(?)だったのでしょうか。
私は小学校~高校生まで、文学&SF少女でした。なにぶん古い時代のことなので、スペースオペラとか古典SFが主流でした。そのうち、ホーガンなどのハードSFが流行りだしました。
エドモンド・ハミルトンとスター・トレックシリーズが大好きで、全シリーズ持ってますし、未訳のペーパーバックも数十冊読みました。もう小学生時代から何十回も読んだので、今は憑き物が落ちたように読まなくなってます。
でも、スター・トレック(TNG)と映画シリーズのDVDは全部持ってますので、今でもたまに見て楽しんでます。
他に読んだのは、カート・ヴォネガットやフィリップ・K・ディック、レンズマンシリーズとか。いろいろ思い出しますね~。

クラークは、昔から人気がありましたよ。「幼年期の終わり」や「宇宙のランデブー」とか、何冊か読んだ覚えがあります(でも中身は忘れてます)。昔はクラーク、ハインライン、アシモフが大御所の御三家でした。

SFマンガとSFアニメにも、かなりはまりましたから、昔の話なら結構詳しいですよ。
今でも時々読むSFマンガ(アニメの方ではなく)は、萩尾望都の「11人いる!」(続編あり)と、竹宮恵子の「地球へ…」。少女マンガの域を超えた、SFマンガの傑作です。

SFを読むということは、地球に居ながらにして、異世界や未来の世界にトリップしているようなものですね。
追伸:RAMA
「Rama」って、クラークの小説なのに聞いたことがないタイトルだと思ったら、「宇宙のランデブー」のことだったんですね。
クラークおじさん(と当時は親愛の情を込めて呼ばれてました)が断筆宣言をして以降は、私もSFを読まなくなったので、 「宇宙のランデブー」がシリーズ化されていたのは知りませんでした。
このストーリーは、竹宮恵子の『地球へ...』の冒頭の設定とちょっと似ている気がします。「RAMA」(または「幼年期の終り」)をヒントにしているのかもしれません。
楽しむことを忘れた読書
Yoshimiさん、こんばんは。

昨日か、一昨日に気づきましたが、「お知らせ」の下に見慣れない「天気予報」がありますねー。前からありましたでしょうか。僕が気付かなかっただけかな~・・・

さて、僕がまだ小学校~中学校までの頃は、一応、文学少年でした。とは言っても読書量はかなり少なかったとおもいます。きっとその頃の分全部を合わせてもA4ストック用紙1箱分にも満たなかったかもしれません。あと、SFというよりは、科学系の書籍「実験と科学」だったかな?を毎月購読しておりました。中学の時には、既に自分の理解には到底及ばないのに、ブルーバックス社の「相対性理論」を買ったり(読みきらずに終わったような気がします。)、プロ向けの電気工事専門書や電子工学書を購入したりしてましたね。その内、次第にSFにハマって行くようになったと思います。きっかけは、たぶんエドモンハミルトンのキャプテン・フューチャー(当時NHKで漫画で放送されてましたね。それからドラマ物が始まったように思います。)か、スタート・レックです。本が先かTVが先だったかはもう、思い出せませんが、とにかくTVでは欠かさず見ていました。スタートレックは、初期の頃のものはもちろん、1995年頃に放送されたスタートレック・ボイジャーが、個人的には一番好きでした。唯一の女性艦長で、ストーリもそれまでの初期ものに比べ、その当時の科学論文で掲載されていた内容をふんだんに取り入れ、応用しており、見ていてとてもわくわくしたものです。また、艦長が女性ということもあり、女性ならではの物語の面白さがありました。もちろん、カーク船長もカッコ良くて好きでしたよ。

ところで、YoshimiさんがSF好きだったとはとても以外でした。クラッシクファンとSF。なかなか想像し難かったです。とくに巨匠ハインラインのお名前が出てくるとは・・・。女性では少ないですよ。僕の周辺でも、社会人になっていらい、ハインラインの本を読んだことのある女性は、わずかに1名のみです。最近ですが、「夏への扉」という猫が主人公のような物語のものがありますが、ハヤカワからではなく、別の出版社から女性の翻訳者が新訳として初版を出版していました。女性ならではの味付け的な内容であったのとその頃読み通せるような事情では無くなってきたため、途中で断念して、これもまた捨ててしまいました。(もったいない。どこかの国の女性大臣にそう言われてしまいそうですが。。。)

近年は、これはという作品に巡りあえず、どちらかというと中途半端な医学書やら精神論に終始した書籍など、楽しむというより、実用的?、いやお悩み解消的書籍ばからりに目が行き、楽しむ読書というのが、ほとんど無くなってきたように思いました。
読書あれこれ
アメーバの友さん、こんばんは。

”天気予報”、やっぱり目に付きますよね。これは一昨日つけました。
コメントいただいた方のブログで発見して、気象庁サイトからもらってきました。デザインが綺麗だし、とっても便利です。

子供の頃から、「実験と科学」やブルーバックス愛読者だったなんて、やっぱり理系人間なんですね~。
私は小学生低学年くらいの時に、望遠鏡(当時3万円くらいの小さいのですが)を買ってもらって、夜な夜な天体観測に励んでました。月のクレーターや土星の輪の形が見えて面白くて、将来は天文学者になりたいー!などと夢想しておりました。
たぶん、SFに興味を持ったのは、この体験がきっかけでしょう。小学生の頃からSF小説を読み始め、スター・トレックの深夜放送(関西TVだけだったはず)と宇宙戦艦ヤマトの再放送を見て、どっぷりSFに浸かってしまいました。
大きくなると、天文学者になるには、理数系が必須-というより大得意でないといけないのがわかり、文系人間の私は歴史学か社会学の方へと進路変更。高校時代は、空の上の遠い宇宙のことよりも、地べたの社会システムの方へと興味が移ってました。

ボイジャーはセブンが登場してからは、ほとんど見てました。小説も数冊持ってますが、初代STとTNGの2つにすっかりはまってしまったので、それ以外のシリーズにはのめりこめないようです。
科学考証の方は私にはさっぱりわからないので、そういう点を楽しめるというのは、やっぱり理系特有の強みと利点ですね。
私はキャプテン・カークはそれほど好きではなくて、やっぱりスポックとデータ、それにライカー副長が好きですね。私は艦長役よりも、代々副長職にあるキャラクターが好きなのですが、なぜかチャコティ副長は影が薄くて残念。

音楽と本の趣味は全く別ものですから、両方とも好きというのは特に矛盾することもなく、普通にあると思いますよ。
SF、クラシックのどちらかが好きな人は、私の周囲には皆無に近いので、両方好きな人は少ないのかもしれませんが。
ハインラインも何冊か読みました。有名な古典ものは一通り読むようにしてました。比較的印象的だったのは「宇宙の戦士」。戦争SFとしては面白かったですね。戦争ノンフィクションも良く読んでましたから。
アメリカ的価値観が随所に見られ、ベトナム戦争のアナロジーを感じるところがあるので、社会学的分析の対象としては良い題材だったからかもしれません。

子供の頃から大学時代までは、ほんとによく本を読みました。いわゆる濫読。4本柱が、SF、海外文学(ドイツ・フランス・アメリカ文学中心)、歴史小説(司馬遼太郎、山岡宗八、新撰組関係とか)、冒険小説(マクリーン、ヒギンズなど)。アーサー・ヘイリーのビジネス小説もとても好きでした。
大学に入って、哲学・社会学が加わり、好きではなかった日本文学なども読み始めました。
今は、ノンフィクション・伝記・評論中心。「小説よりもノンフィクションを読め」と先輩記者に言われたという立花隆の言葉に影響されたせいでしょう。実際、事実は小説を凌駕していると思うので、昔読んだもの以外の小説は、ほとんど読まない(読めない)です。

今の読書は、楽しむためとか感情的に共感したいためではなくて、知識欲というか、事実のもつ意外性や驚異というものに興味を引かれるので、昔の小説中心の読書傾向とは違ってます。
楽しみの方は音楽を聴くことから得ているので、読書には違うものを求めているのでしょう。
最近は、耳鳴りとサックスの本がきっかけで、脳科学(音楽関係)や音楽療法、アスペルガー症候群、サヴァン関係の本を読んでます。専門書を読むことが多かった大学時代に戻ったような感じがします。

読書するにも、精神的な落ち着きと集中力が必要ですね。頭の中の騒音や気持ちがもやもやしていると、勘も鈍るのか、必要としている本に出会いにくくなりますし、読んでも内容が頭の中に入ってこないような気がします。
私が集中して本を読めるときは、精神的に安定してエネルギーも高くなっている時なので、自己診断のバロメーターになってます。
追伸:ハインラインの『人形つかい』
昔はどんなSFを読んでいたかな~と記憶をたどっていると、ハインラインの『人形つかい』を思い出しました。
人間を襲うナメクジ状生物を壊滅させる戦い...という、いかにもハリウッドの侵略SF映画的ストーリーですね。この単純さが面白くて、何度も読みました。
ラストは未完というか、敵の母星を攻撃するために宇宙船で旅立つところだったと記憶してます。

ハミルトンは、キャプテン・フューチャー・シリーズ(だけ)が有名ですが、他に、『スターウルフ』シリーズ、長編の『時果つるところ』(これは名作)、『銀河大戦』シリーズや『フェッセンデンの宇宙』などの短編もあります。
”宇宙破壊者”と称されるほどアイデア豊かで、どこかしら宇宙的虚無感が漂った作品も多くて、いまでもSF作家では一番好きです。

それ以外に愛読したのは、ヴォークト『宇宙船ビーグル号の冒険』、アシモフ『鋼鉄都市』、ル・グウィン『闇の左手』『所有せざる人々』、ヴォネガット『タイタンの妖女』、ステープルドン『シリウス』、スミス『レンズマン』シリーズなど。
とても懐かしいですね~。今読み直せば、10代の頃には気がつかなかったことが見えてくると思います。でも、昔のように熱中することはないはずなので、長い歳月の間に得たものもあれば、失われてしまったものもあるということなのでしょう。


アドバイスをありがとうございました
Yoshimi様、こんばんは。
何度もごていねいなアドバイスをいただき、本当にありがとうございました。
Yoshimi様からいただいたコメントは、別途抜粋して何度もお読みしています。
初心者にもできるだけわかりやすいようにとのお心配り、本当に感謝いたします。
読書のスピードがおそいので、
ご紹介いただいた本にもなかなか取り掛かれないと思いますが、
自分なりのペースで勉強させていただこうと思っています。

サックスの『火星の人類学者』はおもしろそうですね。
Yoshimi様のご紹介文がたいへん詳しくて、
もう全部読んでしまったかのような気になってしまいました。
私は、テンプルの『我、自閉症に生まれて』を二年半前に読みました。
自伝では豊かな内面が示されていましたので、
サックスにはテンプルがどのように映っているのか興味深いですね。
図書館で借りて読んだのですが、私にしては珍しく読書メモを残していました。
テンプルは、最も大きな喜びは「ひとりで自分の能力いっぱいに設計を考えているとき」、
最も苦痛なのは「スモールトーク、対人関係」と語っているようです。
彼女が才能を発揮できたのは、理解あるお母さんのおかげかもしれません。
「自分の違いを誇りに思いなさい」と話していたそうです。

それにしても、Yoshimi様の広範な知識とご興味には驚かされます。
"アニマルウェルフェア"についても調べられたことがあったのですね。
蔵書2千冊にも仰天いたしました。
CDはどのくらいお持ちなのでしょうか?

SFについてのお話はとても懐かしかったです。
私は高校生のときに夢中になっていました。
市立図書館のSF全集を読んでいたのですが、
書庫から出さないといけないものばかりだったので、
図書館の人によくイヤな顔をされましたね。
肝心の内容はすっかり忘れてしまいましたが、
クラーク、アシモフ、ハインライン、スミス……懐かしい名前ばかりです。
ブラッドベリも好きでした。

けれども、大人になってから読んでみると楽しめなくてがっかりしたことがあります。
熱中できるときにとことん浸っておいたほうがいいのかもしれないなあと思いました。
ですから、ちょうど今、音楽関係の興味が高まっているときに、
Yoshimi様のお力も借りて新分野を開拓しようと思います。
もう、これが最後でしょうね。

お天気時計の設置、さっそくにありがとうございました。
ほんのわずか、お役に立ててうれしいです。
サックスとテンプル
さと子様、こんばんは。

クラシックの世界はあまりに広すぎて、初めのころは何を聴けばよいか見当がつきにくいですね。
私はピアノを習っていたせいで、多少は基礎知識があったので、ベートーヴェン・ブラームス・ショパンのピアノ曲とピアニストから入っていきました。交響曲も有名なものはほとんど聴いていますが、やっぱりピアノが入った曲を一番よく聴きます。
今はガイドブック以外にも、試聴ファイルやYoutubeの音源が聴けますし、ネット上のレビューが充実していますから、昔と違ってほんとに便利になりました。
本のことについては、あまりに詳しく書きすぎて、ちょっとおせっかいだったかなあ...と後で思いましたが、ご参考にしていただければ幸いです。

サックスの著作なら、『火星の人類学者』と『音楽嗜好症』の2冊が私にはとても勉強になりました。
特に、テンプルの話がとっても印象的です。ご本人にとっては、辛いこともあるとは思いますが、他人に無いユニークな能力を最大限に生かすことができたという意味では、幸せな人でもあると思いました。
私はベジタリアンではありませんが、ベジタリアンに興味があって、本もいろいろ読みました。そのせいか、アニマルウェルフェア的信条を持っているテンプルには、親近感と敬意を感じるものがあり、彼女に共感する理由の一つだと思います。

『我、自閉症に生まれて』、読まれたことがあるのですね!
タイトルは聞いたことがあるのですが、昔はあまり医学関係の本には興味があまりなかったので、スルーしてしまったようです。今度、図書館へ行ったときに探そうと思ってます。
サックスの場合は、神経学者の視点からテンプルの性格や行動を分析していますので、筋道が通っていて、テンプルの言動の理由や背景がよくわかります。
また、テンプルの自己理解や言葉・行動が、彼の経験や医学的通説とは違っていることに度々驚いてます。そういう意味では、彼の意識のなかで、"自閉症"もステレオタイプ化されていたのかもしれません。
初対面の頃と、テンプルと過ごした数日間とでは、サックスのテンプルに対する理解はもちろん、共感も深まっているように感じます。それをテンプルも直観的に察したので、ラストのような言動に繋がったのではないかと思います。

>テンプルは、最も大きな喜びは「ひとりで自分の能力いっぱいに設計を考え
ているとき」
>最も苦痛なのは「スモールトーク、対人関係」と語っているようです。
『火星の人類学者』を読むと、これは納得できる言葉です。それに、お母さんが「自分の違いを誇りに思いなさい」といったのは、全くその通りですね。
テンプルの場合は他人との違いがあまりに大きかったので、そう考える必要があったのでしょうが、テンプルに限らず、元々その人に無いものを求めるよりも、備わっている優れた資質や能力を伸ばす方が実り多いですね。

蔵書は今の倍くらいは持っていたのですが、事情があって大量に処分してしまいました。でも、どうしても読みたくなって買い直した本もあります。
本にしてもCDにしても、資料として考えるなら、一度買ったものはなるべく手元に残しておいた方が良いですね。
今は保管スペースがなくなってきたので、本もCDも厳選して買うようにしてます。図書館で借りたり、ナクソス・ミュージック・ライブラリのストリーミング配信を利用しているので、買うよりも多くの本やCDが読めるし聴けるので、昔よりも効率的になりました。

CDはたぶん2000枚以上は持っているでしょう。正確に数えたことはありませんが、ラックのスペースから計算すると少なくともそのくらいはあります。
大半は1度か2度聴いただけだったり、昔は良く聴いたけれどもう聴かなくなったCDです。今後も10回以上は聴くと思うCDとなると、そのうち1割くらいでしょうか。

さと子さんも、SF少女だったのですね~。
SF全集というと、あの早川書房の『世界SF全集』でしょうか。文庫版で持っていなかった作品は、全集でほとんど読んだと思います。ブラッドベリはその頃は(今も)人気がありましたね。
子供時代にSFにはまった人は、大きくなるとSFから卒業する人が多いですね。昔のように熱中できないのは私も同じです。
逆に、昔とは違う読み方ができそうなので、社会論や文明論的なテーマを扱うSFなら、もう一度読んでみたい気がしてます。

お天気時計、とっても重宝しています。機能も良いですが、デザインや色合いが綺麗なので、ビジュアル的にもとっても気に入っています。どうもありがとうございました。
入手しましたよ
Yoshimiさん、こんばんは。

やっと一週間の仕事が終わり、明日から変則的な夏休みです。
後からつけがまわってくるので、あまり嬉しくない夏休みです。

さて、「火星の人類学者」先ほど図書館で入手してきました。
本事態がかなりの年数が経過している為と、大勢の人の手を渡り歩いてきたせいでしょうか、、、一部、分解しそうな箇所があります。また、図書館員の方が補修して箇所もあります。まだ、1ページもめくっていません。今日は、疲れたので、明日からのお楽しみにしております。実は、既に先週図書館から借りてきて、まだ読んでない本があと2冊あり、期間内によみ終わるかどうか、疑問です。残り2冊の本については、また後日ご紹介致します。それにしても、他にもSFファンの方が集まられて、うれしい限りですね。

それでは、今日は流石に疲れましたので、もう少ししたら寝ようと思っています。

お休みなさい、Yosimiさん。

http://www.flickr.com/photos/tinnitus000/5946552558/in/photostream
文庫版のイラストが素敵です
アメーバの友さん、おはようございます。
昨日の休日勤務、お疲れさまでした。

ずっと昔に働いていた会社では、土日出勤、平日休日というシフトだったので、休日に働くのはわりと好きなのです。逆に平日がお休みなので、どこへ行っても空いていて、映画館や美術館によく行きました。

「火星の人類学者」は、文庫版の方を借りられたのですね。ほんとに表紙が傷んでますね。でも、表紙のデザインは文庫版の方が素敵です。
私の市の図書館は、単行本を所蔵している場合、文庫版は購入しないことが多いです。
それに、私がリクエストする本は読む人がほとんどいないような本が多いらしく、蔵書がなくて、府立図書館から取り寄せることがほとんどです。

世のSFファンは少なくはないと思うのですが、ここはSFや読書中心のブログではないので、このブログでお知り会いになることは珍しいです。いろんなご縁があるのも、インターネットのおかげでしょう。
そういえば、ずっと昔に勤めていた会社で、同僚の男性と部下の女性がSFファンだったでした。
彼女はいろんな点でテンプルによく似ていました。他の社員とは上手くコミュニケーションできないのですが、なぜか私とはとても相性が良かったのでした。テンプルの話を読んでいた時に、すぐに彼女のことを思い出しました。

久しぶりの休日ですから、読書三昧、楽しんでくださいね。
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プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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