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吉田秀和著『世界のピアニスト』(新潮文庫版、ちくま文庫版)
音楽関係の本のなかで私が一番よく読んだのが、新潮文庫から出ていた『世界のピアニスト』。
ピアノ好きの人なら、この本を読んだことがある人は多いでしょう。

大学時代にCDを買い集め始めたときに、新潮文庫版を購入。それ以来、興味を持ったピアニストや初めて聴いたピアニストのことを調べるときに参考書代わりに読んでいる。

巷のピアニストガイドとは違って、録音に関する評論が多くて詳しい。
章立ては「世界のピアニスト」「ピアニストの横顔」「ピアニストを語る」の3章から構成。
取り上げているピアニストは59人と多いけれど、ピアニストによって頁数と内容にかなりの濃淡がある。
特に「ピアニストを語る」はエッセイ風のものが多い。
ピアニストの名盤と言われるものでも、取り上げていないことが結構あるので、ガイドブックがわりには使いづらい。

頁数が多いのは、バックハウス、ミケランジェリ、グールド、グルダ。
1980年代に出版されているので、内容的にはかなり古い。1980年代以前に亡くなったピアニストについては、最近CDリリースが多い古いライブ音源には言及されていなくても、特に気になることはない。
今でも現役で活動しているピアニストについては、最近の録音に関する評論がないけれど、これは仕方がないこと。
それに、アラウ、ルドルフ・ゼルキン、ケンプが「世界のピアニスト」と「ピアニストの横顔」のいずれにも入っていない。

これは新潮文庫版。巻末に紹介されたレコード一覧が付録でついている。今では絶版。
世界のピアニスト (新潮文庫)世界のピアニスト (新潮文庫)
(1983/08)
吉田 秀和

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ちくま文庫の「吉田秀和コレクション」にも、『世界のピアニスト』という巻がある。
新潮文庫版がベースにはなっているけれど、収録内容はかなり違う。
新潮文庫版の「世界のピアニスト」に登場したピアニスト全てと、「ピアニストの横顔」からはブレンデル、エッシェンバッハ、ルプーを掲載。
一部のピアニストについては、朝日新聞に連載された「音楽展望」の評論を追加収録している。
新しく追加されたピアニストは、ガヴリーロフ、内田光子、ツィメルマンの3人。
その一方で、「ピアニストを語る」と「レコード一覧」は削除されている。

追加されたガヴリーロフ、内田光子、ツィメルマンの3人。
リリースされたCDがあまりに印象的だったのか、ガヴリーロフは《フランス組曲》、内田光子は《クライスレリアーナ》と《謝肉祭》、ツィメルマンは弾き振りしたショパンの再録盤《ピアノ協奏曲集》に関する評論が中心。

《フランス組曲》の中で最も好きなのはガヴリーロフの録音。
この録音を取り上げている評論がとても少ないので、それが追加収録されているのが、個人的には嬉しい点。

とても残念だったのは、新潮文庫版に収録されていた「ピアニストを語る」は全く収録されていないこと。
頁数も少なく評論としては内容的にやや薄かったとはいえ、カッチェン、フライシャーやピーター・ゼルキン、アラウ、アンダなどが取り上げられていて、特にカッチェンに関する文章はとても好きだった。

世界のピアニスト―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)世界のピアニスト―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)
(2008/05/08)
吉田 秀和

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tag : 吉田秀和 伝記・評論

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茶色です
こんばんは。
吉田秀和の「世界のピアニスト」は、「世界の指揮者」、「LP300選」とともに愛読していました。とくにミケランジェリとグールドの章は何度も読み返したものです。作者の好みとページ数が比例しているのか、もしくは重要と思われる人に多くを割いているのか?
もう茶色になってしまった本を取り出して、パラパラと読んでみました。カッチェンのブラームスに対しては、大変な賛辞を送っていますね!
必読書ですね!
吉田さま、こんばんは。

「世界のピアニスト」、「世界の指揮者」、「LP300選」は、クラシック好きならどれか読んだことはあるでしょう。
私は交響曲には疎いので、「世界の指揮者」は読んでませんが、他に「私の好きな曲」なども読みました。
「LP300選」が「CD300選」に変わっているところに、時代の違いを感じてしまいます。

頁数の差は、重要度と著者の好みの兼ね合いなのでしょうが、どちらかというと、好み&執筆する頃に聴いて感動したCDとかが、優先されているような気がします。
それにしても、アラウ、ケンプ、ゼルキンが、ひとまとめにして5頁に詰め込まれているのはどうして?と思えます。
バックハウスは当然のこととして、グルダ(のベートーヴェン)にかなり頁数を割いているので、やっぱり好みの問題なのでしょう。

吉田氏も、カッチェンのブラームス全集を高く評価しているところが、とっても嬉しいですね!
昔からの定番ですし、今でも定番だと個人的には思ってますが、レーゼルの全集を聴いている人が多そうです。
私は両方の全集を持っていて、どちらも好きなのですが、あっさりしたレーゼルよりは、コクのあるカッチェンの演奏が刷り込まれてます。
それに、吉田氏は、カッチェンならベートーヴェンも立派に弾くでしょう、と書いてますね!
私は彼のベートーヴェン録音もとても好きなので、これも嬉しい賛辞でした。
No title
yoshimiさん、こんにちは。
この本、私はちくま文庫の方を持ってます。
というかそっちしか持ってないし読んでないんですが
新潮文庫とそんなに違いがあったとは全然知りませんでしたー!
てっきり絶版になった新潮文庫の代わりをちくまが出したのかと…
新潮文庫の方も読みたくなってしまいます。
でもほんと、ページ数の差と内容の濃淡が激しいですよね。
ああ、これは本当に感動したんだなあ、なんて読んでて微笑ましくなってしまいます。

先日のレッスンの時「そういえばCDは誰のを聴いてる? これは聴いた?」と
先生が出してこられたのが、ガヴリーロフのフランス組曲でしたよ。
普段先生とCDの話をしたことって全然ないんですけど
以前ペライアのバッハのCDが置いてあったのを見かけたことがあるし
ちゃんと話をしてみたら、案外好みが合うのかも~。^^
新潮文庫版も面白いですよ!
アリアさん、こんにちは。

新潮文庫版は随分昔に絶版になっていましたから、最近はちくま文庫版しか買えないでしょう。
新潮文庫に入っている「ピアニストの横顔」「ピアニストを語る」は、内容がやや薄くて、頁数も少ないですが、好きなピアニストが載っているなら、一度読んで見られても良いと思います。
もしかしたら、ちくま文庫の他の巻に収録されているのかもしれませんが..

吉田氏の好みは、頁数でよくわかりますね~。
あいにく私が特に好きではないピアニストが多いですが、いずれも重要度が高いピアニストなので、これは仕方がないかと。
それよりも、頁数の少ないピアニストの方に、私の好きな人が多いです。オーバーラップしている部分はあれど、好みという点では基本的に吉田氏とは違うかなあという感じですね。
ベートーヴェンについていえば、彼がグルダややアルゲリッチ(のヴァイオリンソナタ集)を絶賛していたので、買ってみましたが、これは大失敗。
以来、評論家の推奨盤もかなり好みの問題があると思ってますから、自分の好みと方向性が似ているかどうか気をつけてます。
でも、吉田氏の推奨盤や批評を読んで、同感することも多いです。
CD買うときは、試聴して自分で判断するしかないですね。

ガヴリーロフのフランス組曲をお勧めされるとは、先生もピアニストにこだわりがありそうですね!
シフあたりがポピュラーで勧める人が多いみたいですから。
ペライアは、なぜかフランス組曲だけ録音していなかったような..。
先生のお好きなピアニストが誰か、一度聞いてみられたら、好みがわかりますよね。
ドビュッシーなら、どのピアニストの録音がお好きなのでしょう?

そういえば、来年は生誕150年のドビュッシー・イヤー!
いろいろCDもリリースされるでしょうから、また新しい出会いがあるかも。
私は今年はジェイコブスのドビュッシーに偶然遭遇。これはとても良い出会いでした。
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プロフィール

yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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