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シェーンベルク=シュトイアーマン編曲/浄められた夜(ピアノ三重奏曲版)
シェーンベルク作品で最もよく演奏される曲といえば、たぶん初期の頃に書いた後期ロマン主義的作風の《Verklärte Nacht》(浄められた夜、または、浄夜)。[《浄められた夜》の作品解説(Wikipedia)]

シェーンベルクは、ナチスが台頭したドイツを逃れて、米国へ亡命。
同じく亡命者であった指揮者のクレンペラーやワルターが、十二音技法による作品ではなく、《浄められた夜》や《ペレアスとメリザンド》など調性感のある初期の作品ばかり演奏することに対して、とても不満を抱いていたという。

クレンペラーやワルターにしてみれば、欧州と米国の聴衆の音楽的嗜好が違うので、米国の聴衆が聴きたがらないような無調の曲を積極的に演奏するわけにもいかなかったに違いない。
欧州で成功していた有名な作曲家や音楽家でも、米国では受け入れられなかった人は結構多く、作曲家ですぐに思い浮かぶのがバルトーク。逆に、ストラヴィンスキーは米国で大人気だった。
ピアニストならシュナーベル、ヴァイオリニストならブッシュ(ゼルキンの義父)。いずれも欧州では高く評価されていたが、米国では人気がなかった。
逆に、アラウとゼルキンは米国へ移住後、ピアニストとして人気が高くなり、ソリストとしてキャリアを積み上げていった。


もともとは弦楽六重奏曲である《浄められた夜》をピアノ三重奏曲版に編曲したのが、シェーンベルクの弟子でピアニストでもあるエドゥアルト・シュトイアマン。
弦楽オケや弦楽六重奏版で聴くと、濃密で妖艶な弦楽の響きに圧迫感を覚えることがあるけれど、ピアノ三重奏曲版になると、ピアノの音色がヴァイオリンやチェロとは全然違うので、響きの重層感が薄れてテクスチュアがすっきり。
声部の音色がそれぞれ違って、旋律が明瞭に聴こえるので、立体感も出て見通しもよく、聞き覚えのある旋律なのに、全然違った雰囲気がする。
ピアノパートは伴奏に加えて旋律部分も弾くこともあり、音が多くて響きに厚みがあり表現も多彩。全体を支えているような安定感があり、弦楽だけの演奏よりもシンフォニックに聴こえる。

特にピアノパートの美しさが目立っているのが、"Sehr breit und langsam (229-370小節)"のセクション。
このセクションだけで10分近くと、全体の1/3近い。
それまでの悲愴感漂う曲想とは違って、ヴァイオリンとチェロが弾く旋律はとてもロマンティック。
煌くように流麗なピアノ伴奏が入って、この調和した美しい叙情感はロマン派そのもの。
初めは多少違和感を感じたピアノトリオでも、何度も聴いているとそのすっきりとした涼しげな響きが聴きやすく思えてきて、このピアノ三重奏曲版が一番好きかも。

Trio Kandinsky - "Verklärte Nacht" - A. Schoenberg



原曲の弦楽六重奏曲版
Schoenberg Verklarte Nacht ( Transfigured Night ) Op. 4 Part 1





ピアノ三重奏曲版の録音は意外に多いけれど、ほとんどがマイナーレーベル。
こういう時はChandosかBISを選ぶことが多く、わりと好きなペンティネンがピアノを弾いているBISで。
ヴァイオリンはヴァーリンといういつものデュオに加えて、チェロがテデーンのピアノトリオ。
青みがかった白を背景にした冬の木立のジャケット写真がクールで清々しくて、シェーンベルクのピアノトリオ版の雰囲気によく似合っている。

シェーンベルク:浄夜 Op.4 ~シュトイアーマン編によるピアノトリオ版 他 [Import]シェーンベルク:浄夜 Op.4 ~シュトイアーマン編によるピアノトリオ版 他 [Import]
(2005/08/29)
Ulf Wallin, Torleif Thedeen, Roland Pontinen

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tag : シェーンベルク シュトイアーマン

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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
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