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ジンマン&チューリッヒ・トーンハレ管 ~ ベートーヴェン/交響曲第7番
ジンマン&チューリッヒ・トーンハレ管のブラームス・交響曲全集がリリース予定という新譜情報をHMVのサイトでたまたま見かけて、そういえばジンマンのベートーヴェンのCDを持っていたような記憶が...。
ほとんど聴かないCDを保管しているラックを探すと、やっぱりありました。
でも、記憶では「運命」&「田園」のはずなのに、実際に買っていたのは、第7番&第8番。
それに買った記憶が全くなかった序曲全集のCDも発見。

ジンマン&トーンハレ管のCDは、廉価盤レーベルのArte Nova盤。かなり昔、発売当初に見かけて、随分安いのでつい買ってしまったもの。
当時はそんなに廉価盤が出回っていなくて、NAXOS盤くらいしかなかった。
あまり聴いた覚えがなく、そのままラックの奥深くで眠っていたので、予備知識もなく聴いてみると、これが今まで聴いたベートーヴェンの録音とは随分違った趣き。新鮮で刺激的。
紹介文やレビューを読んでいると、ベーレンライター版による初めてのモダン楽器による録音。(ただし、楽譜にはない装飾音がいろいろ入っているらしい)

何枚か持っているCDの演奏と聴き比べると、トーンハレ管は編成が小規模なせいか、響きがやや薄めで、軽やか。
古楽奏法を取り入れているらしく、モダンオケにしては音に透明感があり、速めの軽快なテンポとリズム感がよく、キビキビとしたフットワークのよさがとっても気持ちよい。
テンポはかなり速く、ゆったりスローペースのジュリーニやチェリビダッケの録音と比べると、なおさら速く感じる。機動的なセルよりもさらに速くてキビキビと切れ良く、快速テンポのクライバーと同じくらいか、楽章によってはそれ以上に速い。
これだけ速いわりに、各パートの旋律の動きや対話・受け渡しも明瞭に聴こえるし、弦楽が弾くフレーズ細部のトリル(というのか)なども音の粒がくっきり。
響きが薄めなので風通しもよく、聴こえてくる楽器の音がいつも多くて立体感もあり、ひたすら前へ前へと前進していく推進力や躍動感で颯爽としたベートーヴェン。
重厚長大というか、伝統的な"ベートーヴェンらしい"演奏を好む人には、ちょっと受け入れがたいらしい。音や演奏の重みで圧倒されることはなくても、この軽快な疾走感と響きのクリアさはとても爽快。一種の愉悦感があって楽しめる演奏でした。

ノリントン/シュトゥットガルト放送響の第7番のライブ録音があり、ジンマンと同じく古楽奏法を取り入れたモダンオケによるベートーヴェン交響曲全集のなかの一曲。
ライブ録音なのでかなりテンションの高さを感じる。管・打楽器が強奏してアクセントを強調するようなところがあって、これが結構煩い。
それに、トーンハレ管よりも厚みのある響きは、やや普通のモダンオケ寄りの重さやゴツゴツした厳つさを感じることがあるけれど、音も各楽器の旋律もクリアで聴きやすい。これはこれで面白いし、充分楽しく聴ける。
弦楽パートと管楽・打楽器パートのバランスは、ジンマン/トーンハレ管の方がずっと良い感じで、音楽の流れもしなやかで滑らか。
第4楽章はノリントンよりもジンマンの方が速いテンポで軽快。この推進力と疾走感が爽快。

Beethoven, 7th Symphony, 3rd Movement (David Zinman, Tonhalle-Orchestra, Zurich)



ベートーヴェンの交響曲全集。序曲(一部のみ)が収録された別盤もあり。
序曲全集(分売盤)は、ベートーヴェンが書いた序曲がほとんど収録されているという稀少な盤らしい。

Beethoven: The Nine SymphoniesBeethoven: The Nine Symphonies
(1999/03/26)
David Zinman ,Tonhalle-Orchester Zürich

試聴する(独amazon)



                     

この第7番について、ワーグナーは"舞踏の聖化"、リストは"リズムの神化"と言ったという。
私の記憶ではなぜか"舞踏の権化"という言葉が刷り込まれていて、それに、酒神バッカスを讃えているような祝祭的豊饒さのイメージもある。
特に好きな第4楽章といえば、真っ先に思い浮かぶのが、クライバー/コンセルトヘボウ管のライブ映像。今さら説明する必要がないほどに有名なライブ映像は、何度見ても凄い迫力。
ウィーン・フィルとスタジオ録音したCDと聴き比べると、このライブ映像の方がさらに疾走感と白熱感が増している。
指揮者は体力勝負と思ってしまったほどに、全身を使って(顔も含めて)表情豊かに指揮する姿に釘付けになってしまう。おかげで、音楽を聴いているよりは、指揮姿を見ている気がする。
このコンサートでは、クライバーのあまりの速いテンポにオケがついていけなかったり、ミスもあったりして、演奏直後の聴衆の大拍手の中で、楽団員に笑顔はなく呆然と立っている、という。(指揮者・金聖響氏の著書『ベートーヴェンの交響曲』に書いてました。)
ライブ映像では、演奏が終ったあとで、楽団員たちが白いハンカチや手で顔の汗を拭っている姿が映っていて、クライバーの指揮について行くのに必死だった様子が察せられるのでした。

Carlos Kleiber -Beethoven symphony No.7, Op.92 : mov.4 [Youtube]


tag : ベートーヴェン

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No title
yoshimiさん、こんにちわ

おっしゃられる通り、このジンマンによる録音は、発売当時、ベーレンライター版による現代楽器を古楽器的に演奏したものということで、結構、話題になったことを覚えています。私も1枚 800円位で、第9交響曲のみを入手しました。結構、いい演奏だと思いましたが、その後、似たようなことが行われるようになったためか、その後は、あまり、話題にならなくなったと思います。

すなわち、この録音、現在、流行の演奏法、すなわち、現代楽器を使った古楽奏法のハシリの演奏だと思います。
ノリントンよりも好きなのですが
matsumoさん、こんにちは。

HMVなどのレビューを読んでいると、コメントいただいている通り、古楽奏法を取り入れたモダン楽器による一番最初の演奏だそうですね。
そのあと、ノリントンの全集がでたり、ラトルなど(?)の有名な指揮者が古楽奏法を取り入れていった...と書いてました。

そういう意味では、古楽界のピノックをちょっと思い出しました。ピノックは今はチェンバロ演奏をメインにしてますが、昔は指揮活動も盛んでとても人気があったそうで、最近ピノックを知った私はCDをいろいろ買いました。

ノリントンのベートーヴェンも聴いてみましたが、どうも私の好みとは少し合わないものがあって、ジンマンの方が好きですね。
似たような演奏をする人が出てきたとしても、一番最初の演奏自体の価値が変わるものでもないですから、これはこれで楽しめば良いと思います。
ベートーヴェン
Yoshimiさん、こんばんは。

早速、Youtubeから見始めました。
演奏時間がながかったですねー。思わず途中で、何度か居眠りしてしまいました。(失礼)
というか、最近ちょっと夏バテ気味で疲れてるのもあるかも。。。
寝不足気味で、今も少し眠たいのです。

続くアルバムの方ですが、No.17:Allegro con brio この曲はもちろん良くわかります。運命ですよね。No.21:Allegre ma non troppo これはTVでも良く聞きき覚えのある曲です。No.26:これは、「のだめカンタビレ」というTVドラマで演奏しているのを聞いていたので、知っていました。No.39:Allegro assai vivace alla Maricaこれは昔から、何かの替え歌の曲として使われていた曲で、それをアレンジして演奏したものでしょうか。なにかそのような感じがしました。

Paul Jacobsの聴きながら、ちょっとうとうとしながらのコメントで失礼致しました。

ベートーヴェンの交響曲
アメーバの友さん、こんばんは。

ジンマン(クライバーではなくて)のYoutubeで、眠ってしまったのですね(^-^;
1つの楽章で8分くらいですから、交響曲としては全然長くはありません。20分かそれ以上かかる楽章も結構ありますから。聴き慣れれば、20分くらいでもそれほど大した長さには感じなくなります。
このごろ急に蒸し暑くなってきましたから、疲れもたまりそうです。平日はなるべく早めに寝られて、休日にゆっくり視聴された方が良いですよ。

>No.17:Allegro con brio この曲はもちろん良くわかります。運命ですよね。
はいその通りです。言わずと知れた第5番「運命」の第1楽章です。

>No.21:Allegre ma non troppo これはTVでも良く聞きき覚えのある曲です。
これも有名な第6番「田園」の第1楽章。よくCMなどで使われてます。

>No.26:これは、「のだめカンタビレ」というTVドラマで演奏しているのを聞いていたので、知っていました。
「のだめ」は見たことがありませんが、これは第7番の交響曲で、とても人気がある曲です。"リズムの権化"と言いたくなるような躍動感が素晴らしいです。

>No.39:Allegro assai vivace alla Marica
>これは昔から、何かの替え歌の曲として使われていた曲で、それをアレンジして演奏したものでしょうか。

この曲は年末に度々演奏される第9番の合唱楽章で、シラーの詩を歌詞に使った「歓喜の歌」と言われる部分です。
wikipediaによると、フランス革命時、シラーの原詩に「ラ・マルセイエーズ」のメロディーをつけて歌われていたらしいです。
つまり替え歌の歌詞に使われていたということですね。

シラーはこの詩を書き直して、その詩にベートーヴェンが自作の曲をつけましたので、アレンジしたわけではありません。
でも、この明るく楽しげなリズムとメロディを聴くと、古いドイツの大学で歌われる学生歌のような雰囲気がします。
歌詞を読めば、そういう連想はしないはずなのですが、私は、歌曲はメロディだけ聴くのが習慣化しているので、これはちょっと良くないところです。
ジンマン
こんにちは。
ジンマンのベートーヴェンは一時期話題になりましたね。ミサソレムニスは聴いたのですが、交響曲はまだ聴いていません。7番はよさそうですね~。
クライバーとコンセルトヘボウのものは、LDで視聴していました。4楽章のあの速さにファゴットがなんとかついていっているのは、さすがコンセルトヘボウ。
終わった後の団員の疲れきった表情は、たしかに印象に残ります。
第7番は聴き比べると面白いです
吉田さま、こんばんは。

ジンマンのベートーヴェンは、響きが軽やかで爽やか。重たく暑苦しいタイプの演奏は苦手なので、私の好みによく合ってました。
現代オケならセル/クリーブランド管が切れ良くて好きですが、スローな(といっても1970年代くらいまでの)ジュリーニも嫌いではありません。
第7番はもともと曲自体推進力がありますが、トーンハレ管は普通の現代オケよりはるかにフットワークがよいですね。第4楽章はノリントンよりも速いように思います。

クライバーとコンセルトヘボウのライブは評判どおり、凄いですね!
Youtubeで初めて見ましたが、手に汗握る...と言いたくなります。現代オケでこれだけスピード感があって、切れの良い演奏は、めったになさそうです。
でも、演奏する人たちは大変でしょうね~。弦楽器は手指や肩がかなり疲れそうですし、管楽器は息も絶え絶え(?)といったところでしょうか。
それにしても、全身運動で指揮していたクライバーが演奏後もわりと元気そうなのに、楽団員は疲労困憊....といった雰囲気と表情が何とも言えません。
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Author:yoshimi
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クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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