和田慎二『あさぎ色の伝説』 

2011, 08. 25 (Thu) 18:00

新撰組漫画の傑作といえば、少女漫画の世界なら、木原敏江『天まであがれ』と和田慎二『あさぎ色の伝説』
10代の頃に両方とも読んだけれど、『あさぎ色の伝説』の方がストーリーにオリジナリティがあり、人物の絵柄も設定もしっかりしていて、私の新撰組イメージの原形。
大学時代に司馬遼太郎の『燃えよ剣』を読んだとき、なんだか漫画とは全然違う...と強い違和感を感じてしまったくらいに、すっかり記憶に刷り込まれている。

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和田 慎二

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『あさぎ色の伝説』は全4巻。LALAから大判コミックスが2巻出て、そのあと、花とゆめコミックスとして、既刊2巻分に加えて、さらに2巻分の話を加えた全4巻が出版されている。
第3巻と第4巻の間には、たしか10年近い空白期間があったはずなので、第4巻が出版されているのは長らく知らず。
最近、なぜか突然第4巻を読んでみたくなって、古本を探していたら、作者の和田慎二先生(漫画家は先生と呼ぶことになっている)が、先月7月5日に急逝されたというニュースを見つけてしまった。
まだ61歳で、『傀儡師リン』という漫画を連載中。40年近い漫画家人生で、今でも現役第一線で描いていた漫画家だった。

和田先生は、男性漫画家なのに、少女漫画の世界でアクション物を中心に連載していた異色の漫画家。男性にしては、シンプルだけど綺麗な絵柄で、何と言ってもストーリーが抜群に面白かった。
小学生の頃から、別冊マーガレット~花とゆめ時代にかけて連載された作品はずっと読んでいたし、同じようなファンは多いに違いない。
ブログを検索してみると、新撰組関係のブログで追悼記事があちこちにあるし、他にも昔からのファンの人たちが追悼記事を書いている。
代表作といえば、実写ドラマにもなった長編の『スケバン刑事』。ドラマは見てないけれど、連載は欠かさず見ていた。
最後は、主人公のサキも私立探偵の神恭一郎も亡くなってしまったので、すっかり気が抜けてしまい、それにそろそろ漫画を卒業する時期にもなっていたので、それ以降は(一部の長編連載を除いて)少女漫画はすっかり読まなくなってしまった。

『超少女明日香』シリーズ『ピグマリオ』、『怪盗アマリリス』などの長編シリーズが多いけれど、初期の頃の短編連作シリーズや前後編ものが好きだと言う昔からの読者は多い。
善悪の単純明快な構図、スピーディでスリリングな展開、独創性とアイデアなどが盛り込まれたストーリーの面白さは、当時の他の少女漫画家では描けない世界だった。

初期作品は、『愛と死の砂時計』、『大逃亡』、『銀色の髪の亜里沙』、『わが友フランケンシュタイン』シリーズ、『呪われた孤島』、『オレンジは血の匂い』、『左の眼の悪霊』、『バラの追跡』、『炎の剣』、『快盗アマリリス』、『校舎は燃えているか』、『白い学生服』、『クマさんの四季』、など。
和田作品では、神恭一郎、沼先生、西園寺美尾など、同じキャラクターがいろんな話に登場することが多い。
『スケバン刑事』の番外編には、同じく「花とゆめ」誌上に連載していた美内すずえ先生の『ガラスの仮面』とコラボした『ガラスの仮面編』という作品もあり、サキ、北島マヤ、月影先生に「劇団つきかげ」のメンバーが総出演。2種類の異なった絵柄が混在するのはちょっと不思議な感覚がした。

手元に単行本で持っているものもあるけれど、一部は引越しの時に処分してしまい、それでも、ストーリーも絵も今でも良く覚えている作品は多い。やっぱり子供の頃に熱中して読んだものはなかなか忘れない。『大逃亡』と『わが友フランケンシュタイン』は、もう一度買い直したい気がしてきた。
『超少女明日香』は最初に2巻が凄く面白かったのに、それ以降の巻の話はほとんど記憶にない。
長いキャリアのなかで、途中、画風が少し変化して、キャラクターが子供っぽい感じの丸っこい顔になってしまったのが、個人的にはちょっと残念だったところ。

『あさぎ色の伝説』は、第4巻が稀少本。オークションでもめったに出てこない。
和田先生と白泉社との間で何らかの問題が発生して、先生が白泉社から自作品の版権をひきあげてしまったそうなので、白泉社から再販されることは、現状ではありえない。
他の作品も絶版が続出しているので、どこからでも良いので、まとめて再販して欲しいものです。

 『ミステリーボニータ』2011年9月号<和田慎二追悼特集>
和田慎二追悼特集。50人近い漫画家が、追悼漫画や追悼文を寄せている。在庫切れで、すでにプレミアム付き。

 和田慎二追悼座談会[コミック RYU web]
漫画家の安彦良和先生、ささやななえこ先生、元「JUNE」編集長佐川俊彦氏の3人が和田先生の思い出を語っている。

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