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『レーゼルの芸術 室内楽曲編』 ~ シューベルト/ピアノ五重奏曲
『レーゼルの芸術 ~ 室内楽曲編』から、シューベルト《ピアノ五重奏曲》と《アダージョとロンド・コンチェルタンテ》。

レーゼルの芸術~室内楽曲編(8枚組) Peter Rösel : Chamber Musicレーゼルの芸術~室内楽曲編(8枚組) Peter Rösel : Chamber Music
(2007/01/01)
Peter Schreier

試聴ファイルなし
収録曲情報(HMVのCD情報)

ピアノ五重奏曲《鱒》 イ長調 D667[作品解説(Wikipedia)]
   (Violin:Susuke,Viola:Hallman,Cello:Timm,Double-bass;Hucke)

まず聴くことはないシューベルトなので、この曲にしても、最も有名な主題旋律のところを聴いたことがあるだけ。
5楽章構成で全楽章が長調、楽器編成が通常の五重奏曲とは違って、ヴァイオリンが1台でコントラバスが入っていることも初めて知ったくらいに、まともに聴いたことがない。
せっかくレーゼルのBOXセットを買ったので、第1楽章から聴いてみると、冒頭のピアノの甘く美しい音がとても綺麗。
若い頃のレーゼルらしい透き通るような硬質の音色と端正な演奏で、古典的な品の良さがある。

5つの楽章のなかでは、軽やかで優しげで、一番気に入ったのが第1楽章。
ピアノの高音のアルペジオはとても軽やかで、きらきら輝いている。
レーゼルのピアノは、シューマンのピアノ五重奏曲・四重奏曲を弾いていた演奏と比べると、少しタッチが軽やかで、響きもやや薄め。

とても有名な主題旋律の第4楽章は、全曲聴くと変奏曲形式だった。
旋律自体はあまり好きではないけれど、いろいろ変奏が展開していくところは面白い。

シューベルトのピアノ・ソナタを聴いていると、いつも"終るに終れない"ような冗長な感じがして、退屈してしまうことが多い。
でも、このピアノ五重奏曲ではそういうこともなく、最後まで飽きずに聴けたのがとても珍しい。
ピアノ五重奏曲ともなると、音色が豊富で色彩感豊かだし、各パートの合奏や掛け合いで表情がいろいろ変化するせいらしい。
それに、ピアノ五重奏曲はピアノパートのウェイトが重く充実した内容なので、ピアノ演奏がしっかり聴けるのが良いところ。
全曲聴いていると、イメージとして浮かんで来るのは、豊かな田園風景のなかを楽しそうにピクニックしているような、とてものどかな情景。

                    

ブレンデルが『対話録「さすらい人」ブレンデル』で、シューベルトについて書いている。
以下、引用すると

-(シューベルトとは違って) モーツァルトやベートーヴェンの場合は、「何をやっているんだろう?なぜこのようなことをするのだろう?」といった疑問をほとんど持たないと思います。おのずと説明がつく音楽的構造だからです。モーツァルトの場合は事前に完成されたパーツ、ベートーヴェンの場合は縫い合わせて展開していく部分で構成されています。ベートーヴェンは夢を見ているときでも建物を造っている人で、シューベルトはたまに働いているときでも夢を見ています。
(最後のベートーヴェンとシューベルトの違いの喩えが面白くて、納得)

ブレンデルは昔も今も、シューベルトのピアノ曲は、1822年以降の作品と、それまでの作品とでは、水準が全く違うという見解。
彼が、初期作品のなかで、後期ほど好きになった作品は少なく、その一つがこのピアノ五重奏曲《ます》。

-人生を完全に肯定している傑作です。五楽章形式で、最初から最後まで長調で書かれていて、疑問がいっさいわかないという音楽史上ほんとうに珍しい作品です。


 アダージョとロンド・コンチェルタンテ ヘ長調 D487
カップリングされているのは、あまり演奏機会が多くはない(と思う)《アダージョとロンド・コンチェルタンテ》。
メンデルスゾーンも、アダージョとロンドのような緩急を組み合わせた2曲構成の作品をよく書いていた。
ピアノ四重奏曲の楽器構成で、"コンチェルタンテ"というとおり、小さなピアノ協奏曲風。
緩徐楽章はあまり得意ではないので、やっぱりこの曲も後半のロンドが好みにぴったり。
ピアノがとても愛らしい旋律と軽やかな響きで、幸福感溢れる曲想がとっても素敵。
苦手なシューベルトとは言え、いろいろジャンルを限らずに聴けば、とても気に入る曲がいろいろあるかも。

Schubert - Adagio and Rondo Concertante in F for Piano Quartet, D487 - 2.Rondo
(演奏者不明)




tag : シューベルト レーゼル

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(非公開コメント受付中)

No title
Yoshimiさん、こんにちわ

鱒五重奏曲は私の好きな曲の1つです。録音では、パネンカ(pf)+スメタナSQ.のものが最も好きです。

この曲の第5楽章ですが、半分位の所で、終わりみたいな感じになるので、コンサートでは知らない人が拍手をしてしまうことがありますね。
拍手のフライング
matsumoさま、こんばんは。

この曲は録音が多いので、買うときに迷いますね。私はたまたまBOXセットに入っていたので、考えなくてすみましたが、ゼルキンとブレンデルが録音しているのもあって、異聴盤を買う気になったら悩もうと思います。
パネンカ(pf)+スメタナSQ.は、ドヴォルザーク&シューマンのクインテットのCDしか持っていませんが、パネンカのピアノは高音が綺麗なので、この曲に良く似合っているような気がします。

拍手のフライングは、この曲に限らず、ときどきあるようですね。
コンサートに行くのも段々面倒になって、このごろはCDリスナー専門ですが、ライブ録音を聴いていると、拍手をするのが早すぎる人が多いので、余韻に浸る間がなくて困りものです。

シューベルト
Yoshimiさん、こんばんは。

シューベルト。
有名だから名前だけは知っているけど、曲はほとんど聞いたことがありませんでした。アダージョとロンドは、とても僕も軽やかな感じだと思いました。そこで、少し別なピアノの曲もと調べてみたら、なんとなく飛び跳ねるような曲がいくつか見つかりました。全体的にそういう曲が多いのでしょうか。飛び跳ねていると感じるのは、演奏する手を見ているとそう感じてしまうのかもですが。。。

でもあえて、少し暗めの曲を選んでみました。
http://www.youtube.com/watch?v=sChVRfNIdOA&feature=results_main&playnext=1&list=PLF7737B1298A4C8CE
<Zimerman plays Schubert Impromptu Op. 90 No. 1>

あと「野ばら」というのがありましたが、これはなんか子供達が良く引いているのを聞いたことがありましたね。Youtubeでも初級編などとタイトルの括弧付けなどしてたりと。少し、シューベルトを楽しまして頂きました。
シューベルトの音楽
アメーバの友さん、こんばんは。

シューベルトは、小学校の音楽の授業(音楽鑑賞など)に何曲か聴いていると思いますよ。
《野ばら》、《魔王》、この《ます》、それに《未完成》交響曲は有名です。
《アダージョとロンド》は珍しい曲です。
ツィメルマンが弾いているのは、とても有名な即興曲(全部で8曲)のなかの一曲です。ひさしぶりに聴くと、やっぱり良い曲ですね。

>なんとなく飛び跳ねるような曲がいくつか見つかりました。全体的にそういう曲が多いのでしょうか。飛び跳ねていると感じるのは、演奏する手を見ているとそう感じてしまうのかもですが。。
"飛び跳ねる"曲が多い...という感覚は、よくわからないですね。
スタッカートや符点のリズムの曲が多いということなのかとも思いましたが、一体、他にどういう曲を聴かれたのでしょう?
シューベルト大好きの人に、そんなことを言ったら、怪訝な顔をされるかも。
少なくとも、"飛び跳ねる"と表現すべき曲は、絶対に多くはありません。
手元を見ずに聴いてみて印象が変わるなら、視覚が鑑賞の邪魔をしているはずなので、耳だけで聴いた方が良いですよ。

シューベルトは、私とは相性が悪いですが、音楽自体はベートーヴェンとは違って、個々人の心の奥深くに忍び込んでくるような音楽だと思います。とてもプライベートな音楽ですね。
シューベルトのCDのレビューを読むと、人生論めいたことを書いている人が多いのは、そのせいでしょうし、そう書きたくなるのはよくわかります。
No title
Yoshimさんのブログを拝見してレーゼルのレパートリーの広さを知りました。
レーゼルは地味なピアニストだと思っていましたが活発な活動をされているのですね。
「鱒」は私もパネンカ、スメタナ世代です。LPに総譜が添付されていた古き良き時代の(笑)。
リヒテル、ボロディンもロシアの武骨な演奏と言う先入観を裏切る(?)洗練された演奏で
気に入っています。
レーゼルのレパートリーはたしかに広いです
こた様、こんにちは。
ご訪問、コメントありがとうございます。

レーゼルの録音は、最近のベートーヴェンのソナタ全集以外は、旧東独時代のものがほとんどですね。BOXセットが3種類ありますから、かなりのボリュームです。
得意とするのは、ロシアとドイツの音楽ですが、ムソルグスキー、ブゾーニ、ドビュッシー、フランクなど、かなり違ったタイプの曲も録音しています。(ドビュッシーの独奏曲はもうひとつピンとこないものがありましたが)
社会主義国であっても、比較的枠にはめられずに演奏活動ができたのかもしれません。
さすがに(向いていないと思う)ショパンは録音してませんが、ちょっと聴いてみたい気がします。
地味といえば地味なのですが、今でもコンスタントに欧州(ドイツ中心)で演奏会をしていますね。アメリカではあまり弾いていないようですが、あの国ではあまり受けないような気がします。

私はCD世代なので、LPはほとんど聴いたことがなく、手元には1枚も持っていません。パネンカ/スメタナSQ盤はLP時代の名盤なのですね。
総譜がついているなんて、親切でお得で良いですね~。今は楽譜代だけでもバカになりません。IMSLPでかなりダウンロードできるものが多くて、助かってます。
リヒテルはソリストのイメージが強くて、室内楽の録音は聴いたことがありません。そういえば、カガンとは何曲か録音してましたね。
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Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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