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新譜情報:カッチェン『Ica Classics Legacy』(ライブ録音集) ~ ブラームス/ピアノ協奏曲第1番、他
昨年に続いて、初出音源を収録したジュリアス・カッチェンのライブ録音集が11月16日にリリース予定。

前回リリースされたCDは、ベートーヴェンとバッハのライブ録音集。カナダのdoremi盤。

Julius Katchen Vol. 1Julius Katchen Vol. 1
(2010/09/14)
Katchen(piano), Casals(cello), Jochum(conductor)

試聴する(米amazon)

良かったのは、バッハの《パルティータ第2番》とベートーヴェンの《創作主題による32の変奏曲WoO.80》。珍しいレパートリーだったことと、カッチェンらしいピアニズムが楽しめたので。バッハでは、(いつものことながら)スタジオ録音以上にテンポが加速して、ロンドはやや"暴走"ぎみ。

今回のライブ録音集は、ICA Classicsからのリリース。
HMVサイトにあるICA Classicsの紹介文によると、経営母体であるICA (International Classical Artists)は、英国ロンドン本拠のクラシック業界最大手のマネージメント・カンパニー。音楽レーベル"ICA Classics"を新規設立し、2011年1月からリリース開始。契約ピアニストのなかには、デミジェンコ、コワセヴィッチの名前もある。音源はBBC放送、ケルンWDR、ボストン交響楽団などの過去アーカイブを利用。ICA Classicsのサイトを見ると、リヒテル、アラウの過去のライブ録音もリリース予定。

カッチェンの新譜の収録曲は、ブラームス《ピアノ協奏曲第1番》(1967年)、ショパン《バラード第3番》、リスト《メフィスト・ワルツ第1番》(以上、1965年)、シューマン《森の情景》から「予言の鳥」、アルベニス《イベリア第2集》から「トゥリアーナ」(以上、1958年)。

Ica Classics Legacy/Brahms Piano Concerto No.1 Ica Classics Legacy/Brahms Piano Concerto No.1
(2011/11/15)
Katchen(Piano), Kempe(Conductor), BBC Symphony Orchestra

試聴する
 HMV,amazonで予約受付中。

ICA Classicsは、NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)の参加レーべル。NMLに登録されたCDは、会員なら全曲聴くことができるはず。
CDリリース前にNMLで聴けることもたまにあるので、まめにチェックしておくととっても便利。(私はカッチェンのCDコレクターなので、NMLで全曲試聴しても、必ずCDは買いますが)

ブックレットのダウンロード(ICAのウェブサイト)

カッチェンのブラームスの《ピアノ協奏曲第1番》は、スタジオ録音(1959年)、ライブ録音(1951年、60年)の合計3種類のCDがリリースされている。

 1951年 ブール指揮南西ドイツ放送交響楽団(ライブ録音)
 1959年 モントゥー指揮ロンドン交響楽団(ステレオ録音)
 1960年 コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(ライブ録音)

Julius Katchen " Piano Concerto" No 1" Brahms (1.Mov.)(1959)


これ以外に、1968年ハノーファーでのライブ録音もあるらしい。これは市場に出回っていないし、まだ聴いたことがない。
音質の問題などのため、手持ちの録音では100%満足できるものがまだない。今回は1967年録音と既出録音よりも新しく、41歳頃の演奏なので、期待してよいかも。
伴奏はルドルフ・ケンペ指揮BBC交響楽団。モノラル録音だけど、ロンドンのBBCマイダ・ヴァレ・スタジオでのライブ録音ということは、放送用録音なのかもしれない。それならモノラルでも音質は良さそう。

独奏曲4曲のなかで、《メフィスト・ワルツ第1番》は、モノラルのスタジオ録音がある。それ以外の曲は、既存録音がない。
ソロの収録曲で聴きたいのは、ショパン《バラード第3番》。《ピアノ・ソナタ第2番&第3番》の方を若い頃にモノラル録音していて、これがかなり変わった(大時代がかっていた)ショパン。リスナーのレビューはかなり不評だけれど、ショパンらしくないところが面白い。バラードはどんな風に弾いているんでしょう?
アルベニスの「トゥリアーナ」は、《イベリア第2集》の1曲。スペイン風哀愁漂う《イベリア》は、アラウのコロンビア録音で初めて聴いて以来、比較的好きな曲集。

さらに、ボーナストラック(約5分30秒)として、1967年12月のBBCスタジオでのインタビューを収録。
モーツァルトの《ピアノ協奏曲第20番》とブラームスの《ピアノ協奏曲第1番》について語ったもの。カッチェンの肉声を聴くことができるのはとても珍しい。

年1回ペースとはいえ、初出音源のライブ録音のCDがリリースされるのは、とっても嬉しい。カッチェンは年間100回以上、演奏会で弾いていたし、亡くなる4ヶ月前までスケジュールが演奏会で埋まっていたという。昔のライブ音源がさらに発掘されて欲しいものです。

<関連記事>
 カッチェン~バッハ&ベートーヴェン/ライブ録音集

 カッチェン~ブラームス/ピアノ協奏曲第1番

 『ジュリアス・カッチェンにまつわるお話』

 ジュリアス・カッチェンのディスコグラフィ



[2011.11.22 追記]
MP3ダウンロードの試聴ファイルが発売前なのに公開されていた。ダウンロードはできない。
ブラームスのコンチェルトの音質はまずまず。同じモノラル録音でも、コンヴィチュニー指揮盤とははるかに良い音質。
第3楽章の演奏時間は、拍手の時間を考慮すると、コンヴィチュニーのライブ録音とそう変わらないはず。
実際、試聴してみるとやはり同じくらいにテンポは速い。オケがついていけなくなりそう。
いつもながら、カッチェンの力感・量感のあるタッチは、まさにブラームスらしい重みがあって、とっても良い感じ。
それでいて、テンポは速いので、鈍重ではなく勢いのあるところが爽快な演奏。
音質も良く、最後まで聴いた演奏内容が良ければ、カッチェンのこの曲の録音ではベスト盤になるかも。

ショパンの《バラード第3番》は、ちょっとタッチが硬いかも。しなしなしたショパンを聴くよりは、ちょっとブラームスのピアノ・ソナタのようで面白い。
《メフィストワルツ》も骨太の重みのあるタッチで迫力がある。(でも、この曲好きじゃないので)
シューマンの《予言の鳥》は不可思議な曲。そもそもシューマン自体が合わないので、これももう一つピンと来ない。
ラストは《イベリア組曲第2巻 Ⅲ.Triana》。これは曲集自体が好きなのと、南国の情熱的でエキゾチックな雰囲気が漂っているところが良い感じ。
ボーナス・トラックらしきインタヴューで、カッチェンの肉声が聴ける。思ったよりも高めのテノール。
ちょっとせわしないというか、畳み掛けるような早口で、語り口はとても明快。外交的な性格で、迷いが少なく、思い込んだらまっすぐ一直線のような...。これはとても興味を惹かれるインタビュー。
古いライブ録音だけでなく、こういう稀少な録音まで入っているというのは、商品企画としてはとても良いアイデア。
この内容のCDが1300円前後で手に入るのだから、コストパフォーマンスも良く、カッチェンのCDコレクターとしては、とても満足できるに違いない。


tag : カッチェン ブラームス ショパン シューマン フランツ・リスト

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こんばんは
久しぶりにブログを拝見しましたら、この新譜のことを初めて知りました!早速オーダーします。
ルドルフ・ケンペは大好きな指揮者なので、カッチェンとケンペの共演がCD化されたというのは、私にとっては夢のような話です。
カッチェンらしいブラームスです
Akiraさん、こんばんは。

時々ブログを見ていただいているようでしたので、ご存知かと思っていました。
Akiraさんのブログへコメントして、お知らせしておけば良かったですね。
気がつかなくてすみませんでした。
私はamazonで購入したので、入荷・発送が遅れて、CDはようやく今日届きました。

ケンペがお好きだったのなら、本当に夢の共演ですね!
そういえば、カッチェン&マークのモーツァルト/ピアノ協奏曲第20番のCDも最近リリースされてます。
このところ、カッチェンのCDのリリースが続いているのは、とても嬉しいですね!
まだまだライブ録音が発掘されるのではないかと、大いに期待してしまいます。

早速、このCDを聴いてみましたが、ブラームスは、1967年のライブ録音にしては音質がもう一つという感じです。音が高めでやや上ずった感じがします。
カッチェン特有の力感と量感がしっかり捉えられていないのが、ちょっと残念ですね。
これと比べると、コンヴィチュニー指揮のモノラル録音の方が、生の音に近い感じがします。

演奏の方は、他の録音と比べて演奏時間が短く、テンポが速いので、やや前のめり気味のところが多い気はしますが、いつもながらカッチェンらしい弾きぶりです。
ピアノ・ソロも、初めて聴くレパートリーが多くて、とても楽しめました。
特に、普段はあまり聴かないショパンの『バラード第3番』が一番気に入りました。
アルベニスの『イベリア組曲』をレパートリーにしていたのは、ちょっと驚きです。
この曲集は、アラウも若かりし頃に録音していて、それを聴いてからとても好きになったのです。
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yoshimi

Author:yoshimi
<プロフィール>
クラシック音楽に本と絵・写真に囲まれて気ままに暮らす日々。

好きな作曲家:ベートーヴェン、ブラームス、バッハ、リスト。主に聴くのは、ピアノ独奏曲とピアノ協奏曲、ピアノの入った室内楽曲(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ、ピアノ三重奏曲など)。

好きなピアニスト:カッチェン、レーゼル、ハフ、コロリオフ、フィオレンティーノ、パーチェ、デュシャーブル、アラウ

好きなヴァイオリニスト:F.P.ツィンマーマン、スーク

好きなジャズピアニスト:バイラーク、若かりし頃の大西順子、メルドー(ソロのみ)、エヴァンス

好きな作家;太宰治、菊池寛、芥川龍之介、吉村昭、ハルバースタム、アーサー・ヘイリー
好きな画家;クリムト、オキーフ、池田遙邨、有元利夫
好きな写真家:アーウィット

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